「学び続ける歯医者さん」を探して:歯科医師の能力形成・専門性向上・技術伝承

 歯学・歯学教育・歯科医学教育・歯科医院・・・いずれも、僕は、全くのドシロウトなので、全く無責任に言い放ちますが、最近、考えていること・思っていることを書きます。あくまで一人の「患者」の立場から。

 実は、「身からでた錆」と申しましょうか、小生、先日、「奥歯」のカブセモノが、突然、「もう無理っす・・・」とばかりに、ポロリと取れちゃいました。で、その「奥歯」の虫歯が、「マリアナ海溝なみに深く、予後が悪い」というので、抜歯を余儀なくされてしまったのですね。

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 でも「抜歯」って、勇気いるじゃないですか。小生は「極端なビビリ」なので、「抜かんでもよい方法は、他にあるんじゃないんですか?」と思わず聞きたくなる。そこで、ふんぎりをつけるまでに、歯医者さんを回るはめになったのです。

 で、そこで見聞きすることが、あまりに面白くて、また「ヘタの横好き」で、歯医者さんのことが気になっています。

 歯医者さんの能力形成は、どうなっているんだろう(笑)、と。

 本格的な研究には、することは1ミリもないけど、せめて治療が終わるまでに、歯が取れたんだから、そのくらいの「モト」は取ろうと(笑)。

 僕がもっとも疑問に思っていることは、下記のことです。

 大学を卒業してから、開業して、歯科医院を経営していく中で、歯医者さんは、どのように、自分の専門性・技術を向上させていくのか。そのための仕組みが、どのように、業界内部にビルトインされているのか。

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 歯医者さんは、多くの場合、個人で開業ですよね。その資格は一応、一度とってしまえば、失われることはない。
 たとえば、インプラントをはじめとして、様々な技術が生まれてくるときに、そうした技術をどこで、学び、自分の技術をどのように高めていくのか。だって、10年も20年もたてば、技術だって、材料だって変わるでしょ。そういう技術を、どこで、どのように学ぶことができるのでしょうか。

 個人で開業が多いならば、「組織で体系だった育成システムを用意する」ということも期待できないし、そのあたりはどうなっているのだろう、と。
 
 もし、専門的技量を高めるシステムがあるのだとすると、どの程度の歯医者さんが、それを利用しているのか。それがないのだとすると弊害はないのか。

 一番知りたいのは、患者としては、「学び続けて、技術が高い歯医者さん」に出会いたい。それを、どのようにして、見抜けばいいのか。

 今回、複数の歯医者さんを訪れましたが、症状の説明・予後の予想・治療の具体的な計画にいたるまで、全く判断は異なりました。まー、それもしょうがないところはあるのかもしれませんが、こちらとしても、それでは意志決定ができないのです。

 あるところでは、「このまま、蓋をして、上に、金かセラミックをのせましょう」という。金、マジすか。オレ、この年で金歯かよ。セラミック、マジすか、なんか、名前からして、高そうだよね。

 他の歯医者さんでは「残念ですが、抜歯ですね」と告げられました。結局は、僕は、様々なリスクを考え、「抜歯」の選択をしましたけれど。

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 ちなみに、実は、今回取っちゃった、その「歯」というのは、実は、もともとは、大学院生の頃に、ある歯医者さんで「治療中のミス」があった歯なのです。

 僕は、大学院生の頃、あまりに不摂生をしていて虫歯になった。そこで歯医者さんに行って、根の治療を行ったのですが、その歯医者さんが、ミスって、歯に横穴をあけてしまった。

 治療中に

 「あっ」

 と歯医者さんが声をあげたのを、僕は憶えています。

 治療中に「あっ」て叫ぶなよ(笑)。
 めちゃめちゃびびる。

 結局、いろいろ説明がありました。僕は心の中では「これって、医療ミスじゃないのかな」と思ったけど、当時は、学生だったので、「まー、いいわ」と軽い気持ちで考えていた。

 別の歯医者にいって、その穴を無理矢理セメントでかためて、今まで、使っていました。

「この歯の治療、どこで治療しました?  参ったなぁ・・・もう無理ですけど、セメントで固めて、使えるところまで、使うしかないですねぇ」

 「参ったなぁ・・・もう無理」って(泣)。「どこで治療しました?」って聞かれてもなぁ。

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 それから15年・・・セメントで蓋をした歯にも限界がきたようです。今回、「本当に、もう、マジ無理っす」ということで、結局、抜くハメになってしまった、というわけです。
 今現在は、いろいろ紆余曲折あって、研究室の大学院生さんの旦那さま(歯医者さん)のご紹介で、素晴らしい歯医者さんに出会い、治療に行っています(ご紹介いただいた大学院生のIさんと旦那様、ありがとうございました!)。

 その旦那さま、と、今僕がお世話になっている先生は、ある民間の研修会(志ある歯医者さんが集まる勉強会・技術伝承会)でのご学友だそうです。
 先ほどの「問い」に戻ると、そういう民間の技術伝承会があることはわかっています。でも、そうした学習機会に、どの程度の人がアクセスしているのかは、わかりませんが。

 ともかく、小生、今は「学び続ける歯医者さん」にようやく敢えて、幸せです。先生は、僕と同じ年齢ですが、ひとつひとつデータをもってお話してくれて、ネガティブなリスクも包み隠さず教えてくれる。診療時間も、1時間もとってくれる。様々な雑誌等で、自分の技術等について執筆なさっているようです。

 今回は、根気よく治療に専念したいと考えています。また、治療は、幸か不幸か、まだまだ続くので、少しずつ興味本位で、いろんな人の話を聞きたいと考えています。

「歯」を失ったからには、「知的好奇心」でモトとらな。
 そして人生は続く

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追伸.
・歯学教育の本って、医学教育の本に比べて、本屋さんでも圧倒的に少ないですね。というか、国試の参考書みたいのくらいしか、見つけられません。

・米国の歯医者さんは、専門分化が進んでおり、かなり日本より高度なようです。

・先ほど文部科学省のページを見ておりますと、どうやら、大学の入試が機能していない状態も出てきているようですね。でも、これって、高等教育における「歯学教育」の話ですよね。大学を出たあとは、どうするんですかね?

平成21年1月歯学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議第1次報告を踏まえたフォローアップ状況
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/koutou/035/toushin/1308394.htm

・ちなみに、まだ読んでいませんが、こんな文献も発見しました。

大山喬史(2011)歯学教育の現状と課題. IDE. Vol.529 pp41-47
http://ci.nii.ac.jp/naid/40018778542

あと、日本歯科医学教育学会というのも。

日本歯科医学教育学会
http://kokuhoken.net/jdea/index.html

 うーん、謎深い。

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■2012/02/16 Twitter

  • 17:57  3月19日「学びの魅力をスチルカメラで伝えよう」ワークショップ、満員御礼です。http://t.co/5PneZyMw また、同日・テアトロフォーラム「人材育成をACTする!」も満員御礼です。事務局の方より、近日ご連絡させていただきます。http://t.co/8eqqALZQ
  • 07:12  面白そうな本>山崎亮・長谷川浩己 (編) (2010)「つくること、つくらないこと」学芸出版社:プロダクト、建築・都市デザイン、社会学までデザインを率直に語る。皆が共通して求めているのは「楽しめる状況」をつくること: http://t.co/mgduy15f
  • 07:05  そんなに増えたんですね>大企業の60歳以上雇用数、5年で2倍。従業員500人以上の大企業で働く60歳以上の雇用者は、2011年で119万人。06年に比べ倍増。大企業の従業員に占める高齢者割合も06年の5%から9%へ。(日経)
  • 07:02  大学生に成長度テスト検討 「勉強しない」汚名返上へ(asahi):http://t.co/VTy5yoxd
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■2012/02/15 Twitter

  • 16:42  メディア表現、メディアリテラシーなど、デジタルストーリーテリングなど。メディア表現とリテラシーの「広場(プラッツ)」。面白そうですね> 3/10-11 MELL EXPO2012 開催 @東京大学:http://t.co/PduWGOJk
  • 11:34  興味深い>イノベーションランキング、日本は世界3位。「企業同士の提携の組み合わせ」がイノベーションを牽引すると意識。日本の経営幹部は、自国のイノベーションに対して悲観的な見方。(GE・世界意識調査:日本人材ニュース): http://t.co/kmSn8DFu
  • 10:34  概算要求ヒアリング終了。
  • 07:37  想定問答、作成中。
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投稿者 jun : 2012年2月17日 06:10