医療現場の学びをみんなで探求する:ハイブリッドな知のエコシステムをいかにつくるか?

 昨日は、日本医療教授システム学会という学会が、今年9月から発刊する「日本医療者教育雑誌」の第一回編集委員会に参加しました。獨協医科大学の池上先生、慶應義塾大学の杉田先生、筑波大学の松本先生、神戸学院大学の内海先生、東京大学の大西先生、熊本大学の鈴木先生、篠原出版新社の井澤さんなどがご出席なさっていました。

日本医療教授システム学会
http://www.asas.or.jp/jsish/index.html

日本医療教授システム学会:ミッションと行動目標
http://d.hatena.ne.jp/ikegamik/20100418

 当然のことですが、僕は「医療」に関しては、ズブのド素人。その知識は、最近、ER(Emergency room)を第3クールまで見終わったくらい、はっきりいって「血」は怖いです(笑)。
 そんなわたくしですが、自分としては皆さんとの議論を踏まえながら「勉強」ができるといいな、という感じで、最初はおそらく「貢献」はできないでしょうけど、このたび参加させていただくことにしました。

 編集会議自体は、非常に「なごやかな雰囲気」のもと行われました。
 この学会では、医療従事者のみならず、人文社会科学の論文投稿も受け付けてくださるようですので、その観点から、いくつか論文投稿規約についてコメントをさせていただきました。
 参考文献の付け方、論文の枚数、論文の形式・・・分野によって、かなり違うんだな、と実感しました。おそらく昨日の議論が反映されれば、これで人文社会科学の方からも、投稿もかなり融通がきくのではないか、と思われます。

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 個人的には、「医療学習」の興隆は、「医学を中心としつつ、経営学、人類学、教育学、薬学、社会学、心理学、経済学など様々な学術背景をもった研究者と、実務家がまじわるクオリティの高いオープンアリーナをいかに生み出すか」にかかっていると思います。
 つまり、運営や参加を、「ひとつのディシプリンの人たちだけに閉鎖せずに、それでいて、一定のクオリティを担保するというアポリア」にいかに挑戦するか、ということです。

 別の言い方をするならば、

「クオリティの高い研究知見」と「インサイトに富む現場の経験」の二つを「コア」にした「ハイブリッドでオープンな知のエコシステム」をいかに構築するか

 ということになるのかな、と思います。

 いいえ、もしかすると、これから「実践現場をもつような学問のあり方」としては、程度の差こそは、あれ、このようなスタイルが増えていくのかもしれません。すべての学問分野で、このような動きがでてくるとは思いませんし、また、そうなるべきだと思いませんが、何となく、僕の目には、近い将来の学会が、そう映るのです。
 世の中の動きと同時に、研究のあり方も、学会のあり方も、少しずつ変わっていくのではないか、と思います。

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 ともかく、創刊号の第一回編集委員会というのは、なかなか「新鮮」でした。自分たちが社会に物事を発信していく「舞台」を、自分たちで創る感覚が気持ちよい、と思いました。「そうか、自分たちの手で舞台をつくり、歌を歌えばよいのか、、、そういうことか」と思いました。

 また、ひとつ腹をくくった一日でした。

 他人が笑おうが笑うまいが
 自分の歌を歌えばいいんだよ
(岡本太郎)

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■2010年5月24日 中原のTwitterでの発言

  • 22:47  アラサーおめでとう、ひひひ(笑)。あのね、これから10年は、ギアを4速にいれて、アクセルをいっぱいまで踏み込んだくらい、早く過ぎるよ(笑)、ひひひひ。RT @yohei917: ただいま @YukiAnzai のアラサー祝いをしました。
  • 22:45  日本を洗濯致したく候!RT @makimuramaho: 龍馬パーマをあてた上田先生。 RT @tatthiy: 上田先生はいつも楽しそうだwRT @YukiAnzai: 上田先生 at MITメディアラボとskypeで乾杯! http://twitpic.com/1qm64j
  • 22:44  海外でいろんなものを見て、ぜひ「シャケ」のように戻ってきてください(笑)。 海外でシンドイ思いをすることは「リスク」だと感じる人が多いようですが、実は、国内にとどまっていることも、それ相応の「リスク」だと僕は感じます。RT @tatthiy: 海外の大学にいきたくなる。
  • 22:39  RT @YukiAnzai: real time documentation = capturing and sharing our experiences as they happen
  • 22:37  コメントありがとうございます。@Setsuko_412さんは、自らの経験に照らして、教えられるものだとお考えですか? RT : エッジな学びをいかに組織に根づかせるか悩む企業が多い。そもそも教えられるものでしょうか?RT 「フラットな学び」と「エッジな学び」
  • 22:36  個人的には、医学教育の興隆は、医学、経営学、人類学、教育学、社会学など様々な学術背景をもった研究者と、実務家がまじわるオープンアリーナをいかに生み出すか、にかかっていると信じます。RT @GenTarumi: @medicalcafe 日本医療教授システム学会 日本医療者教育雑誌
  • 12:03  RT @masugit: ダイヤモンドオンライン連載「スパルタ研修と対話型研修ではどちらが新入社員を成長させるか?」 http://diamond.jp/articles/-/8201
  • 11:52  「日本医療者教育雑誌」という論文誌が、今年9月に創刊されます(日本医療教授システム学会)。年に2回程度の発刊になる予定です。編集方針は「読んでためになる、すぐに役立つ内容」だそうです。
  • 11:32  なるほど!RT @kmatsu1129: 学術出版は出数が少ない=電子化最大のメリットである複製コストほぼ0が活きない、専門故に代替品がない=他に逃げられないので強気価格が維持できる、ってとこですね。RT @nakaharajun: なぜ、学術雑誌は高額なのか?
  • 11:16  なぜ、学術雑誌は電子出版になっても高額なのか?・・・そういえば、先日、図書館に、ある学術雑誌を収録してくれるよう依頼したのですけど、年間で100万になるので、とても無理です、と言われたなぁ・・・。 http://ow.ly/1OT7p
  • 11:12  学術雑誌について議論。医学、経営、教育、救急、看護・・・分野が違うので、新たな「発見」や「気づき」があり、面白い。
  • 10:56  なるほど!RT @mHigano:「フラットな学びとエッジな学び」拝読しました。これはコッターのマネジャーとリーダーの区別とぴったり対応しているように思えて腑に落ちます。 つまりマネジャーはフラットな学び。リーダーはエッジな学び。
  • 10:22  RT @carzoo_k: 2者が必要なのは同感。ただ循環が機能しないからイノベーションのジレンマに陥る。これを組織としてどう解決するかが鍵かと思う。RT @nakaharajun 「フラットな学び」と「エッジな学び」。循環する関係にある。 http://ow.ly/1OS1f
  • 09:43  ブログを書きました。「フラットな学び」と「エッジな学び」です。組織、あるいは、個人には、今、二つの学びのあり方が求められているのではないか、という仮説的妄想を書いてみました。これらは、どうも循環する関係にあるようです。 http://ow.ly/1OS1f
  • 08:48  楽しみにしています。RT @makimuramaho: 準備が整い次第公開するつもりです! RT @nakaharajun: Youtubeとかで公開すんの RT 今日はサードプレイスコレクション2010の動画 RT @junofusa @yukianzai @tatthiy
  • 08:31  なるほど、薬剤師の方々の学びか・・・RT @tackasy 病院薬剤師さん中心に教育やってますが、まさに、現場で悩んでいます。どのように、教授というか、教育をすべきなのか。やっているものを、客観的に評価するのもまた難しく... >医療の世界にも学習研究がもっと増えるといいですね。
  • 08:30  Youtubeとかで公開すんの?RT @makimuramaho: できたてです!みましょう RT 見たいです!それにしても、もう4ヶ月もたつのね・・RT 今日はサードプレイスコレクション2010の動画RT @junofusa @yukianzai @tatthiy
  • 07:54  ほほー、「世界を変えるデザイン展」とは。こんな面白そうなイベントがあるとは、、、仕事のスキマに立ち寄るか。「世界を変えるデザイン展」:生きていくためのデザイン。発展途上国の人々の生活視点に基づいたデザインとは? @saobeeさんよりご案内 http://ow.ly/1OQQz
  • 07:31  新原稿着手。組織の中で人はなぜ、凝り固まっていくのか? なぜ、保守化し、指導、管理という美名のもとに、新たな試みを摘み取るのか?。この問題を、それじゃ、いかんでしょと糾弾するのは簡単。僕は、逆に、そうせざるを得ない合理的理由をいったん認めて、そこからの解放を論じようかと思案中。
  • 06:50  ハビトゥスとは、社会の中に構造化された関係を個人の中に内面化しながら、また他方で、その制約の中で無限にかつ自由に実践を次々生み出すことを可能にする身体の発生図式あるいは傾向性。(田辺 2003)
  • 06:34  今日は日本医療教授システム学会誌の編集委員会に参加する予定。編集委員長は、東大の大西先生。医療の世界にも学習研究がもっと増えるといいですね。
  • 06:26  君の頭も楽しみにしています!RT @mitsuru_3261: 記録を残し、振り返るって大切ですね。私の頭がうんざりするほど映っているのが難点ですが、すばらしい出来の動画でした。 RT: 見たいです!RT @makimuramaho: TPC2010 video
  • 05:54  平松・鵜飼他著「社会ネットワークのリサーチメソッド(http://ow.ly/1OPpg)」読了。ネットワーク・つながりを調査するための具体的手法について、実際の質問紙調査の質問項目をひきあいにだしながら、解説した本です。類書に比べ、非常にわかりやすいと感じました。
  • 05:49  見たいです!それにしても、もう4ヶ月もたつのね・・RT @makimuramaho: ご無沙汰しております。今日はサードプレイスコレクション2010の動画を見ながら振り返っていました! RT @junofusa: @makimuramaho @yukianzai @tatthiy
  • 05:46  RT @haraken_tokyo: コミュニケーション戦略などと言う言葉ははずかしい。伝達戦争をしているわけではない。いい表現を作ってきた才能ある人たちはみな、人の心を捉えるものごとの機微をわかっていて、何かを共振させようと努力している。これを「戦略」とは思っていない。
  • 05:44  「その問題の解決が、なぜ社会から求めらているのか=誰が救われるのか?」「今までの研究と何が違うのか?」RT @takashiiba: 研究計画書にコンテンツだけ書いても、So What? だよ。学術や社会との接点となるコンテクストを書かないとさ、その研究の意義や魅力が示せないぜ。
  • 05:42  RT @takashiiba: 研究計画書へのアドバイス:「コンテンツ」と「コンテクスト」は別物。例えば、ブキャナンの『Ubiquity』を、べき乗分布の普遍性の話だと思っているなら、コンテンツに目がいっている。どんなコンテクストでそれが語られているか考えてごらん。
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追伸.
@clioneさんに教えてもらったサイト:授業で統計に悩んでいる社会人や大学院生に紹介しようと思っています。ありがとうございました。

心理データ解析A(小塩慎司先生)

http://psy.isc.chubu.ac.jp/~oshiolab/index.html

心理データ解析B(小塩慎司先生)
http://psy.isc.chubu.ac.jp/~oshiolab/teaching_folder/data_b/top.html

浦上先生のWeb

http://www.nanzan-u.ac.jp/~urakami/index.html

  

投稿者 jun : 2010年5月25日 09:41