"大人の学び"って何だろう!?ワークショップ

 今年最後のLearning bar「"大人の学び"って何だろう!?」ワークショップが、終わった。

 今回のLearning barは、ホームグラウンドである東京大学・本郷キャンパスを離れた、はじめての会であった。

 非常勤講師をつとめる、青山学院大学 社会情報学研究科 ヒューマンイノベーションコースの主催で、下記のような体制で実施された。
 このコースには、僕の学部時代の指導教員の佐伯胖先生、コースの助手としてご指導いただいた高木光太郎先生、そして、卒業論文時にフィールドワークを受け入れていただいた苅宿俊文先生が、教員として着任なさっている。僕にとっては、大変御世話になった方々ばかりである。
 今回のLearning barは、夏頃に、苅宿先生から「ご依頼」をいただき実現した。そういうこともあり、会場は東京大学を離れ、青山「子どもの城」であった。

○主催:
 青山学院大学大学院 社会情報学研究科
 http://www.gshi.aoyama.ac.jp/

○共催:
青山学院大学ヒューマン・イノベーション研究センター
 NPO法人 Educe Technologies Learning bar
 東京大学 大学総合教育研究センター 中原淳研究室
 産業能率大学 情報マネジメント学部 長岡健研究室

 ---

 今回のLearning barには、386名の方々からご応募いただいた。厳正な抽選の結果、150名の方々に来ていただけることとなった。

 ワークショップは3つのアクティビティから構成されていた。企画は、苅宿先生、産業能率大学の長岡先生、中原が何度も話し合って決めた。

 当日は、総合ファシリテータを僕がつとめた。余談だが、このところ、企業組織からの依頼を受けて、ワークショップとか、ファシリテーターをつとめることが増えているような気がする。理由はあまりわからないけれど(笑)。
 青山学院大学教授 苅宿俊文先生、産業能率大学教授 長岡 健先生、青山学院大学准教授 山下 勝先生、青山学院大学教授 高木光太郎先生、青山学院大学研究員 高尾美沙子さんも、ファシリテーションいただいた。特に、苅宿先生、長岡先生には、要所要所で的確なコメントをいただいた。

junshikai.jpg

 1つめのアクティビティは「ビタハピ」を使った「アイスブレーキング」。ビタハピは、今年のグッドデザイン賞を受賞したコミュニケーションツール(ハッピ)である。当日は、ビタハピをデザインした東京芸術大学博士課程の西尾さんにもお逢いした。

ビタハピ
http://www.g-mark.org/search/Detail?id=34905&sheet=designer

 このハッピは「襟」「背中」「袖」などが異なる色で塗り分けられており、ワークショッパーの指示によって、ワークショッパーの望む人数のグルーピングが、できるようになっている。

 たとえば、ワークショッパーが今、こう指示するとする。

「襟の色が同じ人たち、集まってください」

 そうすると、24名のメンバーからなるグループができる。

「背中の色のパターンが同じ人たち、集まってください」

 と指示すると、6名のグループができる。

 大規模な人数のワークショップで、適当な人数のグルーピングを行い、メンバー間にコミュニケーションを行ってもらうことは、結構難しい。ビタミンハッピは、これを可能にするコミュニケーション支援ツールである。

bitahapi2.jpg

bitahapi3.jpg

 今回は、ビタハピを使って、この後のアクティビティに必要なグループ分けとアイスブレイクをおこなった。

 ▼

 アイスブレーキングを終え、第二のアクティビティがはじまった。

 第二のアクティビティのインストラクションは下記である。

①「大人の学び」と「子どもの学び」のそれぞれの特徴をグループで話し合いながら、できるだけ多く、とにかく多く付箋紙に書き出し、ポスターにはってください。

②付箋紙をポスターに貼り、グルーピングなどを行ってください。マジックでいろいろと書いても結構です

③ポスターの一番上に、うまい比喩をつくってください。「大人の学びとは○○のようである・・・なぜなら○○のようだから」
「子どもの学びとは○○のようである・・・なぜなら○○のようだから」

 このインストラクションに従って、一斉にグループでのディスカッションがはじまった。

psps1.jpg

psps2.jpg

psps3.jpg

 中には、

 大人の学びとは太陽である
 子どもの学びとは月である

 という喩えもあって、面白かった。「その心」はわかりますか?

 ▼

 あっという間に時間が過ぎて、最終アクティビティへ。このアクティヴィティでは、LEGOブロックを使って、自分の学習や成長を表現してみる、ということにチャレンジした。

 LEGO社では、マネジメントプログラムとして「LEGO SERIOUS PLAY」というものがある。今回のアクティビィティは、ここからインスピレーションを受けてつくった。具体的なインストラクションは、下記のとおりである。

LEGO SERIOUS PLAY
http://www.seriousplay.com/

①仕事をしていく上で(学校を出た後で)、あなたが、これまで「最も学んだ、最も成長した!」と思える印象的な出来事を思い浮かべてください。

②その様子をレゴブロックを使って、つくってみてください。レゴで表現できないのなら、何を使っても結構です。
以上を15分間でお願いします。

③順番に、自分のつくった「オブジェ=出来事」にまつわるストーリーをオブジェを使って話し合ってください。

④多くのストーリーには、どんな共通点がありますか?話し合ってみてください。

legolego1.jpg

legolego2.jpg

 一斉に作品作りにとりかかる。皆さん、最初は「うそー」とか言っていたけれども(笑)、愉しんでいただいているようで、ホッとする。

legolego3.jpg

legolego4.jpg

legolego5.jpg

 皆さんの作品を見ていて、苅宿先生、長岡先生と話し合っていたのは、作品の中で自分をおく場所が"はじっこ"になる人が多いね、ということ。つまり、自分の成長するときには、何かに追い込まれなければダメなのかな(笑)。子どもでやると、また違うだろうね、と話していた。

 そして子どもの城の夜は終わった。

 ---

 いつものことながら、今回のLearning barでも、反省するべき点が多々あった。

 Learning barでは、なるべく多くの参加希望者のご要望に応えるため、何割かの欠席者を見込んで、定員より多くの募集を受けているが、今回、これがうまく機能せず、スムーズな運営ができなかったなぁと反省している。多くの方々から「人数が多すぎる」とのお叱りをいただいた。

 インストラクションの問題、スペースの問題など、他にも問題点をご指摘いただいたが、その問題のほとんどは、この「人数」の問題に起因している、と考えられる。

 これらの点について、反省して、改善策を考えます。具体的には、さらに厳密に定員制限をおこなう他はないのだけれども。

 ---

 最後になりますが、今回のワークショップを側面で支えてくれた、青山学院大学の学生諸氏、また、学習環境デザイン工房のスタッフの方々に感謝します。

 次回のラーニングバーは、1月30日金曜日、「クリエィティブオフィスで人を育てる!?」というテーマで、日本コムシスの潮田邦夫さん、東京工業大学の妹尾大先生(経営学)に、ご登壇いただきます。

 お楽しみに!

  

投稿者 jun : 2008年12月 7日 08:41