教師をどのように育成するべきか?

 昨日は「教師の専門性・育成に関する勉強会」が開催されました。参加人数は予想以上に増え、合計26名になりました。関心の高さが伺えます。

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 内容は、「教師の学習」について坂本君(東大大学院)が、「教師とメディアテクノロジー」について酒井君(東大大学院)が、「中堅教師の成長と、他業種の民間人が教育現場に入ったときに感じるコンフリクト」について深見君(大阪市立大学大学院)が報告してくれました。

 その後は、

「教師は、誰が、いつ、どこで、どのように育成しうるのか? 社会的コンセンサスがとれそうな案を提案する」

 というミニワークショップをやりました。教育研究の人、民間企業におつとめの方、教員の方という風に、敢えてグループを構成し、ディスカッションをしました。

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 短い時間だったので、なかなかコンセンサスをとるのは難しかったと思うのですが、このグループ構成こそが、まさに「現在の教師をとりまく社会的状況」だと僕は考えています。そうした状況で、いかにコンセンサスをつくるか。

 グループ発表では、「授業研究を中核にすえて教員の成長をめざすべきだ」という案、「自分の授業を自分の力量にあわせて公開するプラットフォームをつくるべきだ」という案、など様々な案がでました。どれも、ほほーと思えるような案でした。

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 以下は、研究会を終えた個人的感想。

 ひとつめ。

「かつては、お菓子が職員室のある場所に置いてあって、みんながそこに集まってきていたのに、今は、個別包装のものが好まれ、各教員にデスクに個別に配られるようになった」

 というある方のお話が印象的でした。

 米国から見れば、もともと同僚性が確立していると言われる我が国ですが、上記のような話はよく聞く。でも、実際、ホントウのところ、どうなっているんだろう?

 このあたり、社会関係資本の概念を用いて、教員の緊密ネットワークを調べたりする調査研究なんかは面白そうだな、と思った(もうあるのかもしれないけど)。

 あとは、教育工学っぽい?話だけど、「職員室のリデザイン研究」ってオモシロそうだと、いつも思っています。

 そもそも職員室の机の配置とかが、教員相互間のコミュニケーションを促進するような仕立てになっているのだろうか。

 奈良県のある学校では、職員室の中に、「カフェ」をつくったのだとか・・・。教員の仕事場をワークプレイスに見立てた研究ってのも、意義があるんじゃないか、と思いました。

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 ふたつめ。

 深見さんの話で、「初任教師が一皮むけるためには、同学年や専科の教師との対決と協力」が必要という指摘が興味深かった。

 「協力」は何となくわかるんだけど、「対決」っていうのが、興味深かった。

 成長するってのは、甘くないとうことですね。

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 みっつめ。

 Bollough and Knowles(1990)の「他業種民間企業の人が、教育現場にきたとき葛藤」の話が面白かった。

 生物学を専攻し、研究所の技術者として勤務していた37歳の人が、困難高へ赴任。得意分野以外の授業を担当することになる。

 生徒に厳しい対応をしなくてはならない。学級統制ができない。メンターと仲間の存在は十分機能していない中、Helplessnessの状況におかれる、というのは、十分我が国でもありえる話だと思った。

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 とにかくいろいろなことを考えさせられました。休日の今日になっても、いろいろな考えがアタマを巡ります。

 ともかく、参加していただいた皆さん、お疲れ様でした。そして発表してくれた酒井君、坂本君、深見君に重ねて感謝します。ありがとうございました。

 ほんじゃ、よい休日を。

  

投稿者 jun : 2007年2月24日 10:17