しろいかみのままでいたかった

 本日の朝日新聞に載っていた谷川俊太郎さんの詩。ちょっとステキだな、と思ったのでご紹介。

 「ことばあそびうた」「わらべうた」など、彼が子ども向けに書いた詩が、僕は好きです。「声にだして読んで楽しい」一方で、オトナでも、とても考えさせられる。

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 ほんはほんとうは
 しろいかみのままでいたかった
 もっとほんとのことをいうと
 みどりのはのしげるきのままでいたかった

 だがもうほんにされてしまったのだから
 だから
 むかしのことはわすれようとおもって
 ほんはじぶんをよんでみた
 「ほんとうはしろいかみのままでいたかった」
 とくろいかつじでかいてある
 わるくないとほんはおもった
 ぼくのきもちをみんながよんでくれる
 ほんはほんでいることが
 ほんのすこしうれしくなった

(谷川俊太郎「すき」所収)

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 「ほん」は最後に「ほんのすこしうれしくなった」と語る。この「ちいさな幸せ」を「あぁよかったな」と歓迎しつつも、どこか切なくなるんだよなぁ。

  

投稿者 jun : 2006年7月 4日 20:00