三人寄れば文殊の知恵!?の効果

 かなり前に出版された「読むクスリ」の文庫本を、先日電車の中で読んでいたら、阪大の三隅ニ不二先生(社会心理学)が「バズ学習」のことを紹介している節があった。

 「バズ学習」とは、「小グループでの話し合いや教え合い」を取り入れた学習の手法のこと。今の言葉でいえば、共同学習、協調学習とよんでも差し支えないだろう。効果的に行えば、通常の講義を行うよりも高い学業成績を達成することができる。

 バズ学習では、まずクラスを6人のグループにわけて、自己紹介を6分程度でおこなう。自己紹介が終わったら、各グループのひとりひとりに1から6までの番号を強制的にふっていく。

 次に講義を行う。講義は、普通に行って良い。
 で、講義が終わったら、いよいよバズ学習のセッションがはじまる。先ほど講義で扱われた内容に関する質問やコメントなどを相互に行う。セッション内では、「必ず全員がしゃべること」が原則である。全員が自分の意見をとりあえずは話す。

 セッションの途中では、「質問を3番の人がしてください」という具合に、先ほど各人にふった番号をつかって、半ば強制的にインタラクションをおこすこともある。

 セッションが終われば、いよいよ発表だ。発表は、できれば「さいころ」などを用いて、先ほどの番号ごとに指名をする。
 もちろん、全てのグループにあてることを規範としてしまうと、間延びしてしまうので、4グループぶんくらいしか指名しない。「間延び」の雰囲気を先読みし、授業を引き締めて運営することが重要だ。

 さて、このような工夫を行って、どの程度の学習効果の向上が見られただろうか。
 三隅先生のご報告に寄れば、通常の講義の平均点が44点であったのに対し、バズ学習の場合は59点であったのだという。どの程度厳密なテストを行ったのかはわからないが、うまく用いた場合、それなりの効果をもつようだ。

 ちょっと今手元に文献がない(研究室にある)ため、出版年がわからないのだけれども、きっと、この節はかなり前に書かれたものだと思う。そのころから、いろいろな協調学習が提唱されていたのだなぁ・・と改めて思った。

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投稿者 jun : 2006年3月19日 00:09