「おやこ」、初日ワークショップ終わる!

 「おやこdeサイエンス」ワークショップは終わった。
 なんだか、興奮状態でというか・・・。僕は、今、大地に足がついてないような感覚のまま、この日記を書いている。

 ワークショップは終わった。
 だけれども、「おやこdeサイエンス」が終わったわけじゃない。
 今回のワークショップを皮切りに3週間の自宅での学習がはじまるそして、3週間後にはもう一度都内でワークショップを行う。
 サポートは気を抜けない。
 そう、「終わりははじまり」なのである。

 とにかくこのプロジェクトは大変だった。というか、大変である。
 カリキュラム開発、システム開発、コンテンツ開発、ワークショップ開発、テキスト開発、テスト/評価手法開発という6つのエレメントを「統合」しなければならなかった。関与したスタッフはゆうに50名近い。僕もいろいろ修羅場をくぐり抜けてきたけど、これほどまでに、多くの人々がかかわり、そして統合が大変だったのは、はじめてだった。結果、及ばずながら、うまく統合できなかったところもいくつかあったが、それは今後の僕の課題としたい。想像力が働かなかった。

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 11月3日、もちろん休日返上である。

 舞台関係のスタッフが東京大学に集まっている。リュックの準備等。みんなの労を労いつつ、暇を見つけて手伝う。ひっきりなしに、問い合わせ電話がかかる。MLに流れるメールだけでなく、個人宛にもメールはくる。すごい量だ。ネコの手も借りたいほど、忙しい。

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 夕方には、研究者チームでTV会議を行った。
 前日、寝る前、質問紙を前に分析のことを考えていて、不備を見つけた。ここまで後手後手にまわってしまったのは残念だったけど、本当に時間がなかった。ここはプロジェクト全体の位置づけにかかわるだけにやむなく質問紙を調整することにする。印刷所との交渉などを担当してくれた方には、本当に申し訳なく思う。

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 11月4日
 朝から、会議の連続である。
 自分の研究である「おやこdeサイエンス」があるからといって、僕の会議の数は減らない。スケジュールは、僕のものであって、僕のあずかり知らないうちに決まっていく。学内の他の業務は待ってくれない。メンバーには迷惑をかけているのはわかっているが、どうしようもない。

 8時、某会議を終え、神保町へ。リハ最中だった。いよいよ明日である。イヤでも興奮は高まる。

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 11月5日

 今日もやっぱり朝3時に目が覚める。このところ、なんだかアタマの中が張りつめていて、ほとんど眠れていないけど、なぜか覚醒してしまう。台本を最終チェック。プレゼン作成、これは僕が、今回の参加者に語りかける最後のチャンスである。何度も何度もつくりなおす。やがてカーテンが明るくなる。

 朝、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲2番」をipodでききながら、会場の神保町へ。2つの旋律が、絡み合っている。もう、何がなんだかわからない。もうどうにでもしてくれ、ラフマニノフ。

 9時集合、技打ち。
 みんなが、自分の役割に従って動いている。会場の12時になるに従って、鼓動が高まる。「何人きてくれるのだろうか・・・」ちょっと不安がよぎる。だんだん胃が痛くなる。でも、僕はハッタリをこく。実は不安で押しつぶされそうだ。

 最近、講演とかすることも結構多くなってきたけど、講演ではこういう緊張感はない。数百人いるところで話しても、何とも思わない。だけれど、僕はほとんど出番がないのに、何でだろう?胃に加えて、ポンポンも痛くなってくる。僕のカラダは正直だと思う。ていうか、我慢がない。憎めない。

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 12時会場。まだ、お客さんはこない。
 12時30分・・・ようやく1件目。この30分間、胃が痛くて痛くて、今にも吐きそうである。
 12時45分・・・突然堰をきったかのように、ものすごい人がくる・・・よかった・・・。
 受付の山本さんたちが、大忙しである(ありがとう)。
 結局、これなかったのは風を引いた1組の親子だけ。補欠の親子は全員きているから会場は満員になる。都内で無料のイベントは3割は欠席が常識である。その心配は取り越し苦労におあった。結果はほぼ満席だった。

 まりおさん、MC開始!
 質問紙調査、事前テストを終え、いよいよワークショップがはじまった。

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 もう僕にはどうにもできない。ひたすらバックヤードの情報のやりとりが円滑にいくよう、努力する・・・ウロウロしているだけっていう噂もある。いてもたってもいられない。

 ガリレオさんのワークショップが始まった。
 さすがはガリレオさん。子どもたちの注意を引きつけている。「光」は子どもの素朴概念がとっても多い単元である。その素朴概念をナントカ再構成するべく、様々な実験が繰り広げられる。とはいえ、今日の段階では、あと、今後3週間行う実験の「つかみ」となればよい。

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 いよいよワークショップも最後の段階。携帯電話の説明。

 ここでハプニング発生。大房さん、山内さんと対応を話し合う。ここは、素早く意志決定を行い、この場をおさめることが重要だということなる。3者の意見は信じられないほど、一致する。

 何かが起こる。思い通りにならないことが起こる。予想外の展開で、誰かが苦労してしまう事態にもなってしまうかもしれない。
 だけれども、起こったことをグダグダピーピー言っていても仕方がない。誰が悪い、彼が悪い・・・そういうことを言っていても、覆水盆に返らずである。重要なことは、そして、素早いリカバーを、前向きに前向きにいかに進めるか、である。そして、それより重要なことは、こんなときこそ、チームの結束を深めることである、と僕は思う。

 これまで、僕も、多くの人たちと一緒に、数多くのプロジェクトに参加してきた。とにもかくにも、プロジェクトに失敗はつきものである。僕自身も、大きな失敗もしたし、小さなウッカリもしてきた。他人が失敗するのもみてきた。
 だけれど、そんな失敗を前に、「あのとき、オマエがあーしたから、こんな問題が起こった」とか「そのときから、ずっとオレは○○した方がいいと思っていたのに・・・」なんていう「場の読めない子ちゃん」には、正直辟易としてきたし、願わくば、今後は一緒に仕事をしたくない、といつも思ってきた。

 苦渋の決断。

 幸い、その後のチェックによって、対応をはやく行うことができた。
 「おやこdeサイエンス」は、スケジュールどおり進行することになった。
 週末だというのに、汗を流してくれた人たち、メールや電話をくれた人たちに、この場を借りて感謝します。本当にありがとうございました。

 また、もし「おやこdeサイエンス」に参加いただいた方で、このblogを読んでくれている方がいらっしゃいましたら、本当に不手際申し訳ございませんでした。
 次回からは、皆さんにより快適に、楽しい時間を過ごしていただけるよう、全員努力いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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 それにしても、いやー、ワークショップは生ものですね・・・勉強になりました。僕自身、本当に反省するべきところが多い。

 しっかし、この研究、僕は本当に学ぶことが多いです。
 F2Fのイベントだけでもなければ、ネットワークだけでもない。アナログメディアもあれば、デジタルメディアもある。
 しかも、F2Fのイベントは、講義とか講演のOne way communicationじゃない。オープンエンドで結果が何かは、よめないワークショップ。さらには、ネットワークは、いまや安定しているPCじゃない。発展途上のケータイ電話。

 いやー、ここまで組み合わさってしまうと、本当に違った世界がある。学問的にも得るものは大きい。だけども、スタフィッング、予算、運営、組織、そういうものも、いわゆる「実験室」の研究とは全く違ったものを要求される。それは僕が全く知らなかったものかもしれません。
 その意味では、本当に僕自身が学習者です。
 胃痛な学習者だけど。

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 終わりははじまりですね。
 ワークショップは「終わった」。
 だけれども、長い3週間が「はじまった」ということです。

 この3週間、まだ浅い眠りが続きそうです。

  

投稿者 jun : 2005年11月 7日 21:37