NAKAHARA-LAB.net

2019.1.21 06:56/ Jun

「組織開発の探究」を肴に「オンライン読書会」をやってみたい!

 最近、「オンライン読書会」というものに興味をもっています。
 オンライン読書会とは、ZOOM(ズームでいいのでしょうか・・・汗)といった多地点接続できるオンラインテレビ会議システムを利用した、読書会のことをいいます。多地点接続って、今、言わないよね?(笑)。要するに多くのひとびとが、同時に接続できるビデオ会議のこと。
     
 こうしたツールを使って、僕の本を読んでくださる地方の方々、ないしは、僕の研究に興味をもってくださる地方の方々と、読書会などができれば面白いだろうなぁ、と考えているのです。これがオンライン読書会。
    
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 このようなことを考えるようになったきっかけは、2つの理由があります。
 ひとつめは、僕が「出張を控えなければならない事情」があり、地方への出張を控えなければならない状態にあること。
   
 僕は、今、共働きの子育てをしておりますので、なかなか、自宅を空けることが難しい状況にあります。
 話すと長いので、それは他の本に譲りますが(たとえば「育児は仕事の役に立つ」:浜屋祐子さんとの共著:ここには我が家の赤裸々な育児経験がのっております)、そのような我が家の綱渡り育児のすえ、僕が控えているのが、地方や海外への出張です。
   

    
 もちろん、すべてを控えられるわけではないのですが、極力、東京をあけないようにして、日々の仕事を何とかこなしています。
  
 しかし、一方で、地方の皆さまから、講演会や勉強会へのご依頼など、多数のご依頼をいただいております。まことに心苦しいのですが、そのほとんどを今は一律にお断りせざるをえない状況です。オンラインではございますが、こうしたニーズにお応えできればな、という思いがございます。
    
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 もうひとつは、やはり僕自身が「地方出身者であり、地方と都市のあいだの距離」を感じているからです。
  
 インターネット通販が普及した現在では、書籍・本は、全国に広くあまねく流通しています。しかしながら、書籍は手に取ることができるものの、「書籍をネタに読書会をする機会」は地方には限られています。
   
 都市では、年がら年中、本読み会や勉強会が、多くの人々によって開催されています。誰かが、「この本を使って勉強会をしよう!」といえば、人口が数百万人近くいる都市では、誰かが反応することもありましょう。
 が、地方では、これがなかなかままなりません。勉強会をしたいと思っても、地方の都市と都市の距離すら離れています。たとえば、僕の故郷の北海道の場合、札幌で勉強会を開催しても、函館、稚内、釧路の方々は、それぞれ数時間をかけて札幌に出向かなくてはなりません。
   
 オンライン読書会は、これを変えることができるのではないか、と考えています。
   
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 また、オンライン読書会は、もしかすると、オーサーシップ(著者であること:Authorship)やエディターシップ(編集者であること:Editorship)の意味も変えるかもしれません。
  
 これまでは、取材を行い、自分の考えをまとめ、文章を書くことが本の著者の仕事であり、著者からうけとった原稿をレイアウトし、校正して、本に仕立て上げるのが編集者の仕事でした。
   
 しかし、オンラインで多くの読者とつながることができるのだとすると・・・新たなオーサーシップ(著者であること)やエディターシップ(編集者であること)は「本を通じて、読者とコミュニケーションすること / 読者コミュニティをつくること」になります。
  
 わたしは出版社の人間ではないので、「商い」には直接タッチしません。ですが、こうした著者や編集者の概念を変えることが、不況に苦しむ出版業界のチャレンジのひとつになるのではないか、と思っています。
    
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 一番最初のオンライン読書会は、まず手始めに、「組織開発の探究」という本を素材にできないかな、と思っています。この本は、とても分厚くて、なかなか読み切ることが難しいと思いますので、ちょうどいいのではないか、と。
      

      
 最近のテクノロジーについていけていないので、こんなことができるのか、どうかわかりません。
 ですが、実現したい僕のイメージは、下記の通りです。
   
1.まず読者には2層の方々がいらっしゃるとします。今仮に、それらの方々を「レジュメピーポー」と「コミュニティピーポー」とします。
  
2.レジュメピーポーの方々(10人くらい?)は、「組織開発の探究」を各自でお読みいただき、章ごとに内容を要約、レジュメをつくり、レジュメピーポーのひとびとの中だけで共有して、数時間かけて勉強会をする。勉強会の最後には、著者に聴いてみたいこと、著者とディスカッションしたいことをまとめていただく。
   
3.レジュメピーポーの方々の勉強会が終わったら、今度は、より多くのコミュニティピーポーの方々と著者もはいり、公開オンライン読書会を開催する。レジュメピーポーからの質問に著者はこたえ、ディスカッションを深めていく。
   
4.レジュメピーポーからの質問がひととおり終わったら、コミュニティピーポーの方々からの質問をうけつけ、あとは渾然一体で2時間くらい過ごす。
  
 いかがでしょうか? 複雑すぎますかね。それなりに分厚い本で、要約も必要かな、と思い、2層にわけたのですが、うまくいかないかな。こんな風にすると、分厚い本でも理解が進むかな、と思ったのですが、どうなんだろう。
  
 ぜひ、先達の方々がいらしたら、アドバイスなどをいただければ幸いです。先だって、ダイヤモンド社の永田さんとこの件で打ち合わせをしたのですが、なにせ、二人とも、テレビ会議には疎いもので(永田さんお疲れ様です)。「こんなことができるんですかねー」「お互い調べてみましょうか」で打ち合わせが終わりました。
     
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 今日はオンライン読書会のことについて書きました。
  
 書いていてすごく思ったのは、こうしたことができるのならば、大学のゼミや、大学院のゼミすら、なぜ、直接逢ってやらなくてはならないのか、すらわからなくなってきます。
 現状では、大学院ゼミでは、ホワイトボードをがんがん使ったりして、大学院生と仮説をつくっておりますので、これをオンラインに置換することは難しいのでしょうけれど、それ外のことは、オンラインでも可能であるような気もしてきます。
  
 このように、オンラインの普及は、「これまで、アタリマエのように存在していたもの」の「存在意義(レゾンデートル)」を疑います。「これまで、アタリマエのように存在していたもの」に「亀裂」をいれ、深い問いを投げかけます。
  
 あなたの周りの「それ」は、オンラインが普及する今日、なぜ、必要なのですか?
  
 オンライン読書会のことは、ぜひ実現したいと思っています。またアドバイスをいただけますと幸いです。1)何人くらいまで参加可能なのか、2)ファシリテータ(オンラインにも精通していてファシリもできる人)のようなひとは必要なのか、3)先ほどのような勉強会の構造は、オンラインには向いているのか、いないのか、などアドバイスをご教示いただければ幸いです。
  
 そして人生はつづく
  
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