NAKAHARA-LAB.net

2018.12.6 06:31/ Jun

世に生を得るは「事を為す」にあり!:事を為すなかで、自分を変えよ!

 世に生を得るは、事を為すにあり
 (龍馬)
   
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 仕事柄、さまざまな研修、セミナー、私塾スタイルのコースなどを、いくつか担当しておりますので、年間に、卒業証書や修了証を手渡す方々の数は、3桁を超えると思います。
  
 晴れて卒業証書やコースの修了書を手にした皆さんは、どの方も、希望にあふれていらっしゃいます。たいていの場合、いずれかの局面で、僕や周囲から「スパイシーなフィードバック」を受けてきて、それでも、最後まで修了なさったみなさんです。充実感や達成感を感じていらっしゃる方がほとんどです。
    
 卒業や修了の式においては、たいていの場合、僕は、「最後のご挨拶」を求められることがあります。そうした場合に、よくご紹介させていただくのが、冒頭の「坂本龍馬の言葉」です。
  
 世に生を得るは、事を為すにあり
  
 この言葉の意味は、おそらく「あなたがこの世に生まれてきたのは、何かを成し遂げるためなのですよ」というものだと思います。まことに龍馬らしい言葉です。
  
 この言葉をもって、僕がみなさんに申し上げたいのは、
  
 世に生を得るは、学ぶことにあり「ではない」よ
  
 ということです。先ほど龍馬は「世に生を得るは、事を為すにあり」といったのです。決して「学ぶこと」ではない。
 すなわち「学ぶこと」が目的ではなく、あくまで、「事を為すため」の「手段」である。だからこそ、今、修了証をなどを手にしいる皆さんは、はやく教室を出て「事を為すこと」が必要である。皆さんの背中を押す思いで、この言葉を紹介させていただいております。
  
 中には、まだ「尻込み」をしていらっしゃる方もいるかもしれない。
 コースは終えたとしても、まだ、わたしは十分な知識やスキルをおさめられていないですから・・・と。
 まだ、わたしには実践は「荷が重い」です・・・と。
  
 しかし、そんなとき、重ねて申し上げたいのが
  
 自分を変えてから、「事を為す」のではない。
「事を為していくなか」で、自分を変えよ
  
 ということです。
  
 事を為すために「完全な準備」などは存在しない。
 なぜなら「事」とは、いつだって、現在の自分のスキルや知識を超える「挑戦」であるからこそ「事」なのであって、それが含まれないのであれば「事」にはならないからです。
 だからこそ、ひとかどの知識やスキルを納めたみなさんには、「事」に向かっていただきたい。そのなかで、必要に応じて、自分の行動を振り返り、自分を変えていっていただきたいと思うのです。
  
 世に生を得るは、事を為すにあり
  
 という言葉で、僕が申し上げたいことは、そういうことです。
 ちなみに、教師とは「渡し守」のような存在だ、と、希代の実践家「大村はま」さんは喝破します。「事を為しとげよ!」と僕が思いを募らせるとき、いつも、心にあるのは、下記の大村さんの言葉です。
  
わたしは「渡し守り」のような者だから、「向こうの岸」へ渡ったら、さっさと歩いて行って欲しい、と思います。後ろを向いて、「先生、先生」と泣く子は困るのです。「どうぞ、新しい世界で、新しい友人をもって、新しい教師について、自分の道をどんどん開拓して行きますように」そんな風に、子どもを見送っております
(大村はま)

     
 「向こうの岸」で事を為すにあり!
  
  ▼
  
 今日は「事を為す」ということについてお話をしました。これと類するお話は、実は、先だって「学びモード」と「ネオ学びモード」という怪しい記事で、ご紹介させていただいた内容に似ておりますね。
  
 この記事、実は、筆者の予想外に好意的に受け止められたので(すごいPV!)、「お調子こき太郎」的に今日の記事を書いてみました。この「お調子こき」の部分は、小生、生涯、変わらないと思います。
  
 
   
「わたし、まだ、学びモードですから」と予防線を張って「実践を尻込みしたくなるとき」に考えたいこと
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/9692
  
 ネオ学びモードでは、学びは「教室」を出たから終わるものではなく、「実践=事を成し遂げる」なかで常に起こっております。そして、その中核にあるのは「振り返り」です。
  
 世に生を得るは、事を為すにあり
  
 あなたは、今、どんな「事」を為していますか?
 そして
 事を為すなかで、自分をどのように変えていますか?
  
 そして人生はつづく
   
  ーーー
  
追伸.
 今日は大学院+学部の授業がつづく日です。大学院のゼミは朝の8時30分ー10時30分の「朝一」に行っています。最も頭がクリアなときに、最強に頭を使う「大学院生への研究指導」ができるので、ぼくとしてはかなり気に入っています。
  
  ーーー
        
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