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2018.10.12 06:31/ Jun

「ちゃんぽん」と「今さらジロー」は通じない!?:横道にそれまくりの続・新刊紹介

 昨日のブログでは、中村和彦先生(南山大学)との共著「組織開発の探究:理論に学び、実践に活かす」の刊行をお知らせしました。おかげさまで、AMAZONマネジメント人材管理分野で1位を記録しています。ありがとうございます。
  

  
 昨日も申し上げたように、組織開発とは、
   
 「組織をWORKさせる意図的な働きかけ」
     
 のことをいいます。
  
 別の言葉で申し上げますと、
  
 1.ひとを集めても、テンデバラバラで、
 2.なかなか組織やチームとしてのまとまりが生まれず、成果を産出できないようなときに
 3.組織やチームをまとめ、WORKさせていくための技術やスキル
    
 が組織開発です。
  
 多様性のあふれる職場や組織が次第に増えてきた現在、組織開発は、新たな人材マネジメントの手法として、近年、注目されるようになりました。
   
 で、もう1日だけ、この刊行に関する話題を!
  
  ▼
  
 といいますのは、昨日のブログで僕は「本書で僕が言いたかったこと」は
    
 よき組織開発は、人材開発とともにある
 よき人材開発は、組織開発とともにある
  
 という2行に凝縮される、ということを述べさせていただきました。
 この件に関して、学生さんから、ご質問がございましたので、今日は、これに関してお答えします。
  
 ご質問は、
 
 よき組織開発は、人材開発とともにある
 よき人材開発は、組織開発とともにある
  
 とは、どういう意味ですか?
  
 です。
  
 素晴らしい問いだ。
 シンプルであり、美しい。
 なるほど、わかるよ。
 今日は、これにお答えしましょう!
   
  ・
  ・
  ・
  
 できれば、あとで、図書館で借りて読んでね(笑)。
   
  ▼
  
 よき組織開発は、人材開発とともにある
 よき人材開発は、組織開発とともにある
  
 とは2つの意味が込められています。
  
 まずひとつめ。
 これは「理論的」な意味です。
  
 僕は、端的に申し上げれば
  
「人材開発(正しくは経験学習論)」と「組織開発」のルーツは「同じだよ」
  
 ということを申し上げたかったのです。
  
 本書をお読みいただければおわかりになるとおり、ふたつの鋭意は起源をたどっていけば、デューイのプラグマティズムなどにぶちあたります。
  
 世間では、組織開発と人材開発は「別物」だと思われているけれど、それは理論的には「違います」、「同じです」。
  
 このことをもって、僕は
  
 「人材開発は、組織開発とともにある」
  
 と申し上げました。
  
 で、どうせ、図書館にいくのなら(学生の皆さん)、これを機会に、ジョン・デューイの書いた「経験と教育」、そして、プラグマティズムというものも調べてごらん。
 プラグマティズムの入門書としては、大賀祐樹さんの「希望の思想 プラグマティズム入門」がいいんじゃないかなぁ、と思います。
    
  
  
 何かひとつのことに疑問をもったら、その疑問は大切にしよう。
 で、調べはじめたら、調べ続けることが、さらに大切です。
  
 端的にいえば、
  
 調べ始めたら、芋づる!
  
 気がついたら、いろいろわからないことが、わかるようになってきていると思います。
  

  
  ▼
  
 ふたつめ。
 これは「実務的」な意味です。
  
 このたび本書では、キヤノンさま、オージス総研さま、豊田通商さま、ベーリンガインゲルハイムさま、ヤフーさまのご協力を得まして、ふだん、なかなか外部の目に触れることのない組織開発の実践事例を5つ収録させていただきました。
  
 これらの事例のほとんどが、
  
 人材開発をしていたら、組織開発をすることになったか
  
 ないしは
  
 組織開発をしていたら、人材開発をすることになったか
  
 ないしは
  
 組織開発ともいえるし、人材開発ともいえる事例
  
 でした。
  
 要するに(少なくともこの5事例に関する限り)「実務的」には、さほど分ける意味がない、ということです。
 実務の目からみれば、そうなのです。
  
 実務家に関心があるのは「その実践が、組織開発であるか、人材開発であるか」ではありません。
 実務家は、組織を「ある状態」から「ゴール状態」にもっていくことに関心をもっているのです。
 ですので、そこで選ばれる手段は「組織開発的」でもあり「人材開発的」でもあり、またその「混成体」になります。
  
 このことをもって、本書の中では、
  
 人材開発と組織開発は「ちゃんぽん」になるよ
  
 とも申し上げています。
   
  ・
  ・
  ・

 ちなみに、、、本当に余談です。これから、脇道にそれて「たき火」をたいて、鍋食っているような「道草」をしますけれども、
  
 このあいだ、「ちゃんぽん」という言葉が、学部生に通じなくて、びっくりしました。
  
「ちゃんぽん」って、「まぜこぜ」「混成体」っていう意味ですよね。
  
 先日の授業で、学生の皆さんに
  
「だからさー、人材開発と組織開発は”ちゃんぽん”になるよ」
  
 って僕が申し上げたら、
   
 学生A「えっ、リンガーハットですか?」
 ぼ く「・・・・それ、長崎ちゃんぽん」
 学生B「えっ、お相撲さんのこと」
 ぼ く「それ、ちゃんこ」
  
 という会話になりました。
  
  ・
  ・
  ・
  
 いやー、面白いでしょ。
 愉快で愉快でたまりません。
 ナイス、愛すべきキャラクターです。
  
 まず、第一に、君たちに通じない言葉を使った僕が悪い。
 こないだ、そういえば「今さらジロー」も通じなかったね。
  
 「この理論は、今となっちゃ、今さらジローだわな」
  
 という僕の言葉のあと、「シーン」としたよね(笑)
  
 ごめんね、古くて。
  
 でも、これも機会だ。
「ちゃんぽん」、図書館いって、辞書ひいてみよう!
  
  ▼
  
 嗚呼、最後は何の記事なんだか、よくわかんない感じになってしまいました。
   
 でも、
  
 よき組織開発は、人材開発とともにある
 よき人材開発は、組織開発とともにある
  
 の意味は、おわかりいただけましたでしょうか。
   
 本書は、僕と中村先生で書いた本であり、その意味でも、「人材開発は、組織開発とともにある」ですよね。
   
 秋の夜長、ひとり、本書をぜひ手に取ってみませんか?
 気の置けない仲間と、ともに読書会をしてみませんか?
    
 どうぞご高覧くださいませ!
   

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