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2018.6.15 06:25/ Jun

自分のチームを「自分で組織開発できるリーダー」に育って欲しい!?

 昨日の中原ゼミ(学部2年生向けのゼミ)では、「組織開発(Organizational Development)」にとりくみました。ふだんは、人的資源管理の入門書を読んだり、ペアでの研究活動などをしているのですが、昨日は「特別プログラム」ということになります。
     
 ゼミ活動が、ちょうど、夏学期の折り返し地点を過ぎましたので、この機会をもうけました。
 今後、さらに力強く走り抜けるために、「組織開発」に取り組んでみたのです。もちろん、取り扱ったのは「自分のゼミのあり方」です。別の言い方でいえば、「自分のゼミ」を対象にして、組織開発がなんたるかを学びながら、そしき開発を実践してみた、ともいえます。
  
 自分のゼミメンバーの「関係の質」や「成果の質」を対象にして、半期の振り返りを行い、今後を構想することに取り組みました。
    
 具体的な手順は下記の通りです。
  
1.簡単な質問項目からなるサーベイに回答してもらいます。加えて、自由記述で、自分のゼミの「GOOD(よきところ)」と「MOTTO(改善点)」をゼミメンバー全員に書いてきてもらいました。これを「中原ゼミ・組織開発シート」といいます。
  
2.中原が組織開発のレクチャーを行います。立教経営の学生たちは、組織開発については断片的に知っているか、ないしは、すでに取り組んだことがある学生がので、それほどたくさん説明はいりません。でも、体系的に説明するのは、これがはじめてかもしれませんね・・・。
  
3.学生たちにグループにわかれてもらい、「いっせーのどん」で「組織開発シート」をグループで見せ合います。この「いっせーのどん」がポイントです。今までいえなかったこと、うすうす感じてはいたけれど、表面にだせなかったことを、しっかり顕在化させます。
  
4.その後、グループで話し合い、中原ゼミの「GOOD」と「MOTTO」をポスターセッションをして、ゼミメンバー22名に共有します。
  
 ▼
  
 本当ならば、このあと、自分たちのチームのあり方の「未来をつくること」や「アクションプラン」を実行することに取り組みたいのですが、90分授業では、ここが限界でした。時間切れです。
  
 「組織開発で顕在化した課題を、このままにしないでください。
 自分たちの未来をしっかり自分たちでつくってください」

  
 とつげ、あとは、ゼミメンバーに活動をゆだねることにしました。
 きっと、サブゼミや、放課後?などを使い、今回の振り返りを今後のゼミ活動にいかしてくれるのだと思います。
  
 「リフレクション」なき「アクション」は「徒労」が多いものです。
   しかし
 「アクション」なき「リフレクション」ほど「空しいもの」はないですので・・・だって、そこで終わったら、問題が顕在化しただけだよね(笑)
   
 ▼
  
 今日は、ゼミで行ったたわいもない組織開発のことをお話しさせていただきました。
  
 誰も「そんなもん、いらねーよ」と思うのですが、ゼミで使った組織開発シートも、下記に公開させていただきます。質問項目の信頼性は?とか、この構成の理論的根拠は?とか、「ビジョン共有度ってなに?」とか、ややこしいことは聞かないでください(笑)。
  
 うちのゼミの状況を踏まえ、うちの大学で実施できる制約内で終わるようにつくってありますので、完全「うちカスタマイズ」です。それでもよろしければご利用ください。あと、勝手に変えてもらっても結構です。
  

    
中原ゼミ組織開発シート(WORD)
nsemi2018survey
  
中原ゼミ組織開発シート(PDF)
nsemi2018survey
    
 最後に、自分のゼミで「組織開発」に取り組んでみて、僕が考えたことは、2点。
   
 ひとつめ。
 彼らには、自分のチームを立て直すことできる「たくましいレジリエンス力(回復力)」がある、のだということ。僕はまずそれを信じたいと思います。
  
 ふたつめ。
  
 今現在は、まだ19歳ー20歳の彼らが、将来、20年後に、自分のチームや自分の職場をもったときに、「自分のチームを自ら組織開発できるリーダー」になって欲しいな、ということです。
 40歳になったころの彼らは、きっと、自分の職場やチームのメンバーを前に「悶絶」しているだろうと思うから(笑)。
  
 19歳ー20歳の今現在は、
  
「なんか、先生が、今日は、組織開発やるぞーといって、変なアンケート用紙くばられて、ポスターセッションやった。

ちょっと何言っているかわかんないこともあったけど、まーいいか(笑)なんか、最近、外、熱いよね。授業終わったら、アイス食べよーよ」
    
 くらいかもしれない(笑)
   
 だけど、15年後ー20年後、いつか、その意味がわかるときがくるかもしれない。
 そのときには、自分の職場やチームのメンバーを対象にして「組織開発」に取り組み、成果を出せるリーダーになって欲しい、と思います。
    
 そして人生はつづく
    
 ーーー
    
株式会社パーソル総合研究所と中原の共同研究成果である「アルバイト・パートの採用・定着率改善をめざした店長・マネジャー向けの研修プログラム」が、第7回 日本HRチャレンジ大賞の人材サービス優秀賞(人材育成部門)を受賞したそうです。
  

   
この研修は、アルバイト・パートで働く2万5千人に対して実施した科学的な調査をもとに、両者で話し合い、独自協働開発しました。
   
受賞選定理由としては、「これまで科学的に調査されてこなかったアルバイト・パート領域において、定量的かつ大規模な調査を実施し、早期離職防止に向けて、そのデータを用いた採用面接時の対応や職場マネジメントの改善を図る研修が、受講者の納得感を引き出し、現場での行動を変え、採用力強化・退職率低減という成果を生み出す優れたサービスであると評価された」とのことです。うれしいことです。
   
 
    
日本HRチャレンジ大賞 人材サービス優秀賞
https://www.hrpro.co.jp/challenge.php
   
スタッフが採れる!辞めない!活躍する! 店長・職場マネージャー向け研修
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/arbeit-recruit.html
    
人手不足を解消のため、より多くの方々に、アルバイト・パート採用・育成の「きも」をつかんでいただけたら、開発者冥利につき、嬉しいことです。どうぞお楽しみくださいませ。

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