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2018.3.19 08:17/ Jun

「女性がいきいき働くこと」×「組織開発(職場開発)」=「みんなが多様に働くことのできる組織づくり」

「女性がいきいき働くこと」×「組織開発(職場開発)」=「みんなが多様に働くことのできる組織づくり」
    
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 ちょっと前のことになりますが、トーマツイノベーション株式会社が開催なさった「第三回人材育成イノベーションフォーラム」で、同社と東大・中原淳研究室ですすめてきた共同研究の成果を発表させていただきました。
   

     
 会のテーマは
  
 「女性が働きやすい職場環境を、いかにつくりだせばいいのか?」
  
 会場には、主に、中堅中小企業の人事責任者や管理職、女性社員など411社、716名の皆さまにお集まりいただき、いかにこれを実現するかを考える機会を得ました。
  
 同日の様子は、下記のレポートをご覧くださいませ。
 当日の知的興奮が伝わってきます。
   
女性活躍「実践」をテーマに「第三回人材育成イノベーションフォーラム」を開催!
https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/event/detail/article10.html
   
 同社社長の眞﨑さんによりますと「女性活躍推進に手応えを感じている中堅中小企業はわずか1.5%」なのだそうです。それほどまで、この問題の根は深いのだ、と思います。
  
  ▼
   
 最近、このテーマを考えるたびに、脳裏にうかぶ等式がございます。
  
 それが冒頭の
  
「女性がいきいき働くこと」×「組織開発(職場開発)」=「みんなが多様に働くことのできる組織づくり」
  
 です。
  
 これまで長く女性活躍推進の言説空間では、
  
 「女性が長くいきいき働くこと」=「女性自身の努力・意識改革」
  
 と考えられてきた時代があります。
  
「意識改革」とは「どんだけ上から目線やねん」と思わずつっこみを入れてしまいたくなりますが、要するに、女性が長く働くこと、女性が長期間にわたってキャリア積むことのの解決は、「女性個人の努力や資質」のみに帰属されて考えられてきた経緯があるということです。
  
 しかし、トーマツイノベーションさんと僕の調査では、これに「懐疑の目」を向けることからはじまりました。むしろ、

 女性の労働問題を「女性個人の問題」だけとは考えない

 具体的には「女性の労働問題を、職場ぐるみの問題としてとらえていく」という仮説のもとで調査を行いました。それが先ほどの「等式」における「組織開発(職場開発)」の部分です。
  
 先ほどの「等式」における「左項」、
  
 「女性がいきいき働くこと」×「組織開発(職場開発)」
  
 とは、端的に申し上げれば、
  
 女性が働くことを、組織ぐるみ、職場ぐるみの問題として「見える化」する
  
 という「意志」です。
  
 この仮説のもと「長時間労働の是正」や「職場のマネジメントのあり方」や「仕事の振り方を見つめ直すこと」が重要になってきます。
  
 すると興味深いことがわかってきます。
  
 先ほどの左項では「女性」がハイライトされていましたが、おそらくは、これが「右項」では、様々な主体に転換する。すなわち、長く働きやすい職場で恩恵を受けるのは「女性」だけではなく、「みんな(より多くの人々)」になってくる可能性があるのです。
  
 すなわち、左項「女性がいきいき働くこと」×「組織開発(職場開発)」は、右項「みんなが多様に働くことのできる組織づくり」に転換する可能性を有している

 と考えられるのです。
    
 これからの職場には、共働きで育児をしつつ働き続ける人、介護を行いながら仕事をする人、重い病気から復帰しつつ働く人々・・・多種多様な働き方をする人々が増えてくると思います。
 「女性の働く」を研究しておりますと、ついつい、こうした人々が、希望すれば、長く働き続けることができる環境を整えていくことが「究極の目的」なのではないかな、とすら感じるようになってきます。
    
 まぁ、いつもの妄想なんだろうけれども(笑)
      
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 なお、今回の試みはこれで終わりません。
 調査結果は、ダイヤモンド社より書籍化が決まっています。こちらは敏腕編集者の藤田悠さんとのお仕事になっております。現在、本文とグラフをととのえ、おそらく秋くらいまでには出版ができるものと思います。
     
 また「女性の働くを科学する」プロジェクトは、専用特設サイトをもっております。
 こちらもぜひ、今後ともアクセスをお願いいたします。調査データに関する様々な情報をこちらでも公開していく予定だそうです。
   
女性の働くを科学する
https://www.ti.tohmatsu.co.jp/npro/2017/
    
 最後になりますが、トーマツイノベーション株式会社の研究チームの皆様、眞﨑大輔さん、川合真美さん、伊藤由紀さん、平井裕介さん、渡辺健太さん、加藤理夏さん、山崎佳奈さん、飯田裕介さん、塩塚万理さん、木下桃子さんには、本当にお世話になりました。
  
 またロジスティクスから、質問紙回収、各種デザインなどをご担当いただいた同社の皆様には、心より御礼申し上げます。ありがとうございました。中原研は去年まで研究室にいた保田江美さんにご尽力いただきました。
  
 お疲れ様&ありがとうございました。
 実は本日3月19日は、大阪で「人材育成フォーラム」に登壇させていただきます。今日も、この内容について300名のみなさまと、内容を深めることができたとしたらうれしいことです。
    
 そして人生はつづく
  
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新刊「事業を創る人の大研究」(田中聡・中原淳著)、発売10日で重版決定、AMAZONカテゴリー1位(リーダーシップ、オペレーションズ)を記録しました。本書は、「人と組織」の観点から、「新規事業づくり」を論じた本です。新規事業に取り組む人をどのように選び、どのように仕事を任せ、そして支援していけばいいのかを論じています。イノベーション人材、次世代経営人材を育成している教育機関の方にもおすすめの内容です。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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新刊「働く大人のための学びの教科書」、AMAZON総合13位、AMZONカテゴリー(仕事術・整理法)1位を記録しました。人生100年時代、私たちは、しなやかに変化しながら、長く働くことが求められています。学校では教えてくれない「大人の学び方」。7人のビジネスパーソンのリアル学びストーリーも収録しています。ぜひご笑覧いただけますと幸いです。
  

   
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