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2017.4.7 06:39/ Jun

新年度、なぜ組織は「ごったがえす」のか?

 新年度です。
  
 僕のマネジメントする研究部門にも、たくさんの出入りがありました。今週は、多くの方々に、新規参入メンバーとしてお越しいただくことになり、今年は19名でのスタートです。
  
 4月第一週は、これらの出入りに加え、旧年度の総括と、新年度から新しくはじまる様々な書類なども飛び交う季節です。いずれにしても、この時期特有の物事が、相乗効果(!?)をなし、部門内には、様々な「出来事」がおこります。
  
 現在、部門内で起こっているすべての「出来事」の最終責任は、部門責任者である僕が負わなければならないことです。「深い反省」のもとに、原因を探求し、再発を防止する必要があります。ご迷惑をおかけしている様々な方々に、この場を借りて、心よりお詫びをいたします。
    
  ▼
  
 この時期、僕は、いつも僕の専門分野の、ある概念を思い出してしまいます。それは「組織学習」という概念です。
  
「組織学習」とは、端的に申し上げますと、「組織内のメンバーが学習を行い、組織全体がスマートに振る舞えるようになること」です。
「組織内で生まれた様々な知識や習慣が、メンバー間に共有され、経験として蓄積し(ルーチンともいいます)、組織がそれまでよりも、スマートに合理的に振る舞えるようになること」を、組織学習といいます。
  
 この時期の研究部門は、「組織学習」がまだ進んでいない状況です。
  
 まず旧年度と新年度の境界において、いったん組織学習されたものに「亀裂」が入っています。
 旧年度において組織学習されたルーティンのなかで、新年度においては使えないものを、わたしたちは学習棄却しなくてはなりません。
  
 旧年度において旧メンバーだけが属人的にもっていた知識は、メンバーの出入りとともに失われていきます。
 本来、これを避けることが重要だったのもしれませんが、組織のなかで大切な知識であればあるほど、それを形式知にすることは難しいものです。新たなメンバーは、試行錯誤して、それらを模索しなくてはなりません。
  
 旧年度においても新年度においても使える知識は、ただちに新規参入したメンバーにも、学習してもわなくてはなりません。
 また、新年度において新たに発生した出来事は、メンバー全員が新たに学び直さなくてはなりません。

 これらがすべて学習され、ルーティン(日常的なあたりまえの手続き)になっていくには、そこそこの時間がかかります。
  
 現在、研究部門内には、激しい違和感をともないながら組織学習されたものが一時的に毀損されたり、新たなメンバーが組織学習をしている状態にあります。 「深い反省」のもとに、様々な出来事の原因を探求しつつ、一日もはやく部門全体の組織学習が進むように動かなくてはと思います。
  
 忙しい日々が続きます。
 新年度です。
   
 そして人生はつづく
  
 ーーー
     
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