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2017.2.22 06:52/ Jun

人前にでて「話」をする人に必要なものとは何か?

 先だって、僕が某所で行った、ある講演の「テープおこし(逐語録)」を、いただきました。拙い講演にもかかわらず、3時間にもわたる講演の逐語録をおつくりいただいたことに、まずは感謝いたします。
  
 逐語録は、過日、印刷物になるということで、校正のチェックが僕にまわってきました。そこで、僕が目にした原稿は・・・・。
  
 いや、びっくり。
 話、はしょりまくり。
 きっと、聴衆の方々は、僕が言い足りていない分を補って、聴いて下さったんですね。
 本当にごめんなさい
 
 最初に申しあげておきますが、逐語録のクオリティはまったく問題がないのです。それをおつくりいただいた関係者のみなさまには、心より感謝しています。
   
 むしろ、それよりも何よりも、びっくりしたのは「僕の話の下手さ」です。
 特に「省略の多さ」
 きっと「話の省略」を、その場の雰囲気や、身振り手振りで誤魔化しているんです。
 自分としては、まったく気づきませんでした。
  
  ・
  ・
  ・
  
 結局、原稿には、大幅大量に加筆することになりました。赤びっしり。
 ものすごい時間がかかりました。
  
 しかし、これで、何とか意味が通じるとよいけれど。
 みなさま、ごめんなさい。
 足りないところを補って、聴いて下さっていたんですよね。
 ありがとうございます。
    
  ▼
    
 講師、ファシリテータ、ワークショップをする人、マネジャー・・・人前にでて、何かを話をしなければならない職業には、何でもよいですが、やはり「鏡」が必要だと僕は思います。
  
 自分が何を言い過ぎていて、
 自分が何を言い足りていないのか、
 を理解するための「鏡」が必要だと思います。
  
 人は、おそらくほおっておけば
 言い過ぎるか、言い足りないかのどちらかになる。
 ちょうどいい按配ってのは、なかなか実現が難しいものです。
  
 しかし、そうしたことは、なかなか自覚しにくい。
 その際、「鏡」がなければ、「暴走」する可能性が高いのです。
   
 鏡として、自分のパフォーマンスをビデオ撮影して、あとで見るのは、よくやられることです。
 しかし、おそらく最も効果が高いのは、「逐語録をつくり、それを自分で訂正すること」ではないか、と思うのです。これは「じわじわ」ときます。
   
 今回は、わたしの場合は、第三者が逐語録をつくってくださいましたが、おそらく最も効果が高いのは、
  
 「自分でテープ起こしをして、自分で訂正して原稿にすること」
  
 です。
  
 これは強烈ですよ。否が応でも、自分と向き合わなくてはならなくなる「強烈ミラー」です。素人さんにはおすすめできませんが(笑)
  
 ▼
  
 今回は、僕は「素晴らしい鏡」を賜りました。
 不肖・中原、これに負けず、精進を続けたいと感じています。
 押忍、ありがとうございました!
  
 そして人生はつづく
  
   ーーー
     
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