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2016.9.24 05:13/ Jun

夏休みの宿題にだすのなら「書くこと」や「探究すること」をちゃんと「教えて」ほしいのです!:朝日新聞記事「読書感想文マニュアル、あり?なし?」に関する雑感

 ふだん、あまり「時事ネタ」にはコメントをしないのですが、どうしても、この問題だけは「看過」できないので、コメントさせていただきます。
   
 我が積年のルサンチマンである「読書感想文」についての朝日新聞の記事に、ソーシャルメディア上で議論が沸騰しているようですね。
   
 読書感想文のマニュアルを配付した学校があって、それに関する是非が、ツイッター上で盛り上がっているようです。
   
読書感想文マニュアル、あり?なし? 配布する小学校も
http://www.asahi.com/articles/ASJ8W4RCMJ8WUTIL00M.html
   
 僕は国語教育や作文教育が専門ではないですけれども、「読書感想文の指導の現状」は「看過」できない副作用を生み出していると、ずっと感じてきました。
   
 下記は門外漢がFacebookの方に書いていた文章ですけれども、こちらにも転載させて頂きます。一部、加筆・修正してあります。
   
  ▼
  
(以下、Facebook上の文章)
  
 まず「読書感想文」の現在のあり方に関しては、僕は非常にとてつもない厳しい見解をもっています。
 夏休みの「自由研究」についてもしかり、厳しい意見をもっています。
 自らの子ども時代も、人の親になってからも、それに苦しんだ経験をもっています。ゆえに、どうしても「看過」できません。
  
下記、朝日新聞の記事にあるマニュアル配付の是非なんてものは、この際、どうでもいいのです。それが教え方として適当なのか、そうでないのかは現場で判断すればよろしいと思います。あるいは、教育業界で、話し合って、ケジメをつけてください。
   
読書感想文マニュアル、あり?なし? 配布する小学校も
http://www.asahi.com/articles/ASJ8W4RCMJ8WUTIL00M.html
   
問題は「それ以前」です。
  
読書感想文に関しても、夏休みの自由研究に関しても、事前にそれが何たるかを「教えられていない」ままに、大切な事を伝えられていないままに「宿題」としてだされ、それがきっかけで、これらが嫌いになっている子どもがいることの方が、よっぽど「大問題」です。
   
きちんと「教えたもの」を宿題にして欲しい、その1点につきます。
それができないのなら、辞めて欲しい、それだけです。
もし教育上必要なものなら、しっかり教育業界で指導方法を議論してください。
   
読書感想文は「書き方」をきちんと教えてから、宿題にして欲しいと思います。
「本を読んで文章を書く」とは何かを教えてください。
   
自由研究も同じ。
「研究とは何か」を教えてから、宿題にしてください。
   
ちゃんと教えている先生も数多くいらっしゃるのかもしれません。
そういう先生方のご尽力には頭がさがります。お疲れ様です!

でも、悲しいかな、僕や僕につながる人のなかで、これが話題になるとき「ちゃんと教えられたという人」を僕は知りません。
どれだけ一般性のあることかは知りませんが、なぜか、本当に「身近」にはいらっしゃらないのです。まことに残念なことです。

なので、読書感想文も、自由研究も「きちんと教えて頂きたい」と思います。
そういう問題提起をさせていただきたいのです。
          
公教育は「何も教えられなくても、自然と勝手にできてしまう90%の優秀な子ども」を対象になされるものではないはずです。
公教育は「先生が教えてなくても、”作文教育や自由研究が何たるか”を代行して教えることのできる親の存在」を前提にしてなされているものではないはずです。
   
読書感想文と自由研究については、はっきり言いますが「放置」しすぎだと僕は思います。
   
  ▼
   
本来「放置」されては困るのです。なぜなら、それらが極めて大切だからです。
文章を書くことも探究も、これからの時代を生きる子ども達が、それができないと困るのです。
     
文章を書くとは極めて重要な事なのです。このままでは文章が嫌いになってしまいます。
さらに読書も嫌いになります。
書くことや読むことを「いやだなー」と思ってしまう先入観がついてしまいます。
   
将来、文章が苦手な大人は、就業という意味では不利益に甘んじることになります。
読書が嫌いな大人も、知識を蓄積するチャンスを逃します。
   
研究や探究も大事なのです。このままでは、研究も嫌いになってしまう子が増えます。
あるいは研究や探究に関する激しい誤解が生まれます。
もはや、自由研究は「プラモデルをつくって学校にもっていくこと」になってしまっている子どもがすでにいるのではないでしょうか?
     
結局、読書感想文も、自由研究も、もし続けるのなら、ちゃんとやってください。
やれないのなら、やめてください。
続ける必要があって、しかも、やりたいのなら、教育業界できっちり議論をしてください。
   
文章を書くことや、本を読むこと。
自分で主体的に物事を探究することは、子ども達の将来にとって、とてつもなく大事な事です。
働く現場での人材開発・マネジメントを研究している僕には、そのことがどうしても、気になって仕方がありません。
   
今のままでは副作用が大きいと思います。
読書感想文と自由研究は「放置」しすぎだと僕は思います
皆さんのご意見は、いかがでしょうか?
   
 珍しくマジメに書いちゃいました(笑)
 そして人生はつづく
    
夏休みの宿題「読書感想文」とは、いったい「何」で、どのように書いたらよいのか?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaharajun/20140828-00038635/
  
悩める親のための読書感想文にわか指導法:長い文章には「糊しろ」が必要である!?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaharajun/20150813-00048438/
   
「夏休みの自由研究」とは何か?:研究テーマを選ぶときの3つのポイント!?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaharajun/20150819-00048621/

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