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2023.1.16 08:57/ Jun

人材開発・組織開発のプロフェッショナルとして必要な「資質」とは?: 人材開発・組織開発の仕事に向き不向きがある理由!?

 人材開発・組織開発のプロフェッショナルとして必要な「資質」とは?
     
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 最近、毎日毎日執筆に向かっています。新刊「人材開発・組織開発コンサルティング」という本です。
  
 この本は、
  
1.組織内部のコンサルタント(支援者)、組織外部のコンサルタント(支援者)の方々が
  
2.自らクライアント組織をさがし
  
3.クライアント組織の現状を調査・データ分析したうえで
  
4.現場にとって最適な人材開発・組織開発を自ら実行し
  
5.その成果を評価する
   
 といった一連の「人事の課題解決行動」をまなぶことができるようになっています。
    
 この本は、立教大学大学院LDCコース(人材開発・組織開発のプロを養成する大学院)の、「人材開発・組織開発IとII」の教科書になります。
   
立教大学大学院LDCコース
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
    
(ただいま絶賛願書提出中です!)
   
立教大学大学院LDCコース・願書受付!
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/2023/0106/
  
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 さて、かくして構想から2年・・・もはや23万字!
     
 毎日毎日、書き続けていますが、なかなか終わる気配がありません。それでも残り150pくらいまでのところには来ているのですが、書き足していくと、脚注だけで200を超え、本当に終わるのかな、と著者が一番心配しているところです。
      
 デザイン・レイアウトは、下記のように、すでに編集者の広瀬さんからいただいているのですが、なんと、「本文」が、まだない(笑)。
  
 
 
 もう少し脱稿までには時間がかかるようです。
  
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 ところで、この本の一部分に
    
 人材開発・組織開発のプロフェッショナルとして必要な「資質」とは?
    
 という問いをかかげたところがございます。
    
 書籍のなかでは、たくさんの資質を例をあげながら論じているのですが、それらを列挙していて思ったのは、やっぱり、人材開発・組織開発の仕事は「複雑だ」ということです。
 もしかすると、人材開発・組織開発の仕事は「人工知能化されるー」とか「機械化されちゃうかもー」からは、もっとも遠いところにある仕事かもしれません。
    
 対人接触が多く、即興性が求められ、かつ、曖昧で不確実な世界を相手にする仕事なのかもしれないな、と思います。
      
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 まず、人材開発・組織開発の仕事には「曖昧さ耐性(tolelence of ambiguity)」が必要です。
   
 ひとは、そのひとの置かれている立場、状況、職位によって、様々な意見をもっています。同じものを見ていても、意見は異なり、この意見とやらも、すぐに変わる。昨日までスッキリしていたものが、誰かのひとことで、すぐ「モヤモヤ」する。
    
 人材開発・組織開発の仕事では、組織内部のひとの意見を調査することが求められます。つまり、この変わりやすく、移り気な多種多様なひとの意見と、付き合わなくてはならない。
    
 人材開発・組織開発の仕事では
    
 曖昧さに翻弄されずに、
 ときに曖昧さを華麗にスルーし、
 しかし、曖昧さと付き合うスキル
   
 が求められます。
   
 ひとがモヤモヤしている様子に、そのたびごとにキレていたら、この仕事はできません。
   
  ▼
     
 また、それらに加え、人材開発・組織開発の基礎には「ひとと組織を解像度をあげて観察するちから」が求められます。端的にいえば「観察力」です。
 が、もうちょっと気の利いた言葉を出すのだとすると、資質的には認知的複雑性(Crockett 1965)とか、知覚的複雑性(Bennett 2017)といったものも必要になるのかもしれません。
    
 認知的複雑性とは「物事を、ひとつの視点から見るのではなく、複数の視点を併置しながら観察していくこと」です。別の言葉でいえば「複雑なものを、多様な角度から見る力」ですね。
     
 知覚的複雑性とは「これまでは大雑把にとらえていたものを、より細分化し、より解像度をあげて見つめること」です。
    
 このふたつは、要するに「複雑なものを観察し、複雑なままにつきあう力」とも形容できそうです。
   
 組織のなかの「複雑なもの」に、いちいち「右往左往」していたら、この仕事はやってられません。
    
 このように人材開発・組織開発の仕事は、曖昧で、複雑な世界を相手にします。だから、この仕事には向き・不向きがあるのだとわたしは思います。向いていないことが、悪いといっているのではありません。向いていないのに、取り組もうとすると、つらい、ということなのかな、と思います。
   
 ▼
  
 今日は人材開発・組織開発にとって必要な資質を紹介しました。他には共感力とか、データ分析力とか、いろいろあるのですが、今日はこのあたりで!
  
 あなたは人材開発・組織開発に向いていますか?
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
    
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>主催:経営学習研究所
>共催:コクヨさん、セルムさん、日本ファシリテーション協会
   
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 同書の内容をサクっと学べる動画も公開されています。どうぞご笑覧くださいませ!
     
■仲が良くても心理的安全性が低い残念な理由【中原淳 立教大学経営学部教授】
   

    
■“残念な話し合い”5つの病【中原淳 立教大学経営学部教授】
   

  
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立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース(以下、LDC)では、経営学を基盤にしながら、次世代のリーダーシップ開発(人材開発・組織開発)を企業・組織で推進することのできる高度プロフェッショナル人材を育成しています。
  
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■立教大学大学院・採用情報発信サイト■
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ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
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チームワーキング座談会
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 どうぞご高覧くださいませ!

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職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発) 
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https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
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「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
  
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新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
     

   
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【泣くな!新米管理職!】
  
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
    
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「新人研修をアップデートするための5つのコンセプト」に基づいて開発された、中原が監修をつとめる新人研修プログラムです。全4回にわたって実施する「オンライン研修」と「現場での実践&振り返り」を往還することによって、新人期に直面する壁を乗り越え、トランジションを果たせるよう手厚くサポートできるようになっています。経験学習を習慣化するほか、ストレスマネジメント、フィードバック、ジョブクラフティングなどについて学ぶことができます。
  

Diamond Transition Program for Freshers(オンライン新人研修)
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/k00HD0024/
          
OJT指導員向け・短時間&動画で学べる 部下育成スキルの動画もございます。中原が新人育成のポイントについて解説しています!
   
短時間&動画で学べる 部下育成スキル・解説動画
https://jinzai.diamond.ne.jp/items/000HD6260/

    
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