NAKAHARA-LAB.net

2022.6.20 08:05/ Jun

あなたが受けたコンサルティンは「ズブズブ・コンサル」ですか、それとも「エデュ・サルティング」ですか?

 Education(教育) + Consulting(コンサル) = Edusulting(エデュサルティング)
  
  ・
  ・
  ・
 
 先だって、あるところで、中原研究室OBの斎藤光弘さん(M&A本の共著書)とお話を伺っていたところ、彼が、共感している仕事の流儀が、冒頭の「Education + Consulting = Edusulting」にあるという話を伺い、感銘を受けました。
  
斎藤光弘さん:「あまね舎」
https://www.amaneya.net
   
斎藤光弘さん:note
https://note.com/saito_lab/
    
 Educationとは「教育」のこと、Consultingは「コンサルティング」ですから、Edusultingとは、その二つの特質を足し合わせたもの。すなわち
   
 Education(教育) + Consulting(コンサルティング)
   
 = Edusulting(エデュサルティング)
 (現場のひとに技術・仕組みを残し、コンサルタント自身はフェイドアウトしていくコンサル)
  
 ということになります。
  
 これはいったい、どういうことか?
  
  ▼
  
 エデュサルティングでは、まず、現場のひとに少しずつ、コンサルタントの技を伝承していきます。たとえば、人材開発や組織開発のコンサルティングを成しているのならば、そのエッセンスや手法を、コンサルタント自身が実行しながらも、少しずつ現場のひとに「教えていく」のです。時には勉強会などをしながら、知識・スキルを現場のひとにもってもらう。
  
 いつか、自分自身が「現場を引かなければならない日」のために、現場で自律的に物事を回していけるように、人に知識を残し、マニュアルをみなでつくり、しかけにしていきます。これがエデュサルティングです。
  
 一方、これは通常のコンサルティングから見ると、あまり、コンサルタント側に得のないやり方に見えます。
  
 なぜなら、現場のひとだけで物事が回せるようになると、コンサルタントは切られてしまい、仕事を失ってしまうからです。
  
 むしろ、コンサルタントが存在していなくては物事が回らないようにするほうが、常にフィーが発生するので、表面上は「得」です。
     
 また、クライアントからは、なるべくリピートをもらって、なるべく離れないでいる方が、効率的に物事を回せますし、儲けることができます。 
     
 コンサルタントは、決して、無料で仕事をしているわけではありません。
 そしてクライアントには、必ず予算というものがあります。ということは、コンサルタントとクライアントは「いつかは別れる運命」なのですが、その別れを、なるべく「遅く」して、ズブズブの関係に持ち込んでしまった方が、経済的なメリットが大きいのですね。
   
 しかし、エデュサルティングでは、むしろそうしません。
 むしろ現場のひとが「自律」するために、最初はコンサルタントが「他律」で現場に働きかける。しかし、その役割を徐々に減らしていき、現場で回る仕組みやしかけや、知識を、ひとに残すことで、「ヘルシーな別れ」のきっかけをつくります。
   
 現場のことは、現場のひとが中心になり、現場で回ることがもっとも重要ですから。
 斎藤さんの流儀、素晴らしいことだとわたしは思いました。
  
 一見、儲からないかもしれないけど(笑)
  
  ▼
   
 今日は斎藤さんの流儀である「Education + Consulting = Edusulting」から、コンサルタントのあり方を考えました。
  
 あなたが受けたコンサルティンは「ズブズブコンサル」ですか、それとも「エデュサルティング」ですか?
  
 そして人生はつづく
  
 ーーー
    

  
新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」発売中です。AMAZON「企業再生」カテゴリー1位を記録しました(感謝です!)。
  
これまで税務・法律の観点からしか語られなかった「企業合併(M&A)」の問題に対して、ひとと組織(人材開発・組織開発)の観点からアプローチし、シナジーを生み出す可能性を考えます。
  
M&Aという「巻き込まれ事故」に関わってしまった経営企画・人事・現場の管理者・リーダーの皆様にぜひお読み意いただきたい一冊です!
  

購入はこちら!「M&A後の組織・職場づくり入門」
https://amzn.to/3v0P0bE
     
 ーーー
          
【アンコンシャスバイアス研修・内製化ツールキット開発!】武蔵野大学・島田徳子先生、ダイヤモンド社の皆さん(広瀬一輝さん、永田正樹さん)との数年にわたる共同研究と、NPO法人日本ブラインドサッカー協会との連携で、スマホで手軽に受検できる「アンコンシャスバイアス測定テスト」と、内製化研修(プレゼンキット)を開発しました!。この問題は、学術的な背景などは、わたしどもが、テスト結果に基づき動画像(ビデオ)で解説させていただきます。ご利用くださいませ! ご自身の組織にもっともフィットしたアンコンシャスバイアス研修をつくることができます。どうぞご利用くださいませ!
      
  
■アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)のWebページはこちら!■
https://jinzai.diamond.ne.jp/ub/unconscious-bias/
     
 ーーー
            
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください! 
      
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
     
 書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
     
    
 
https://amzn.to/3esCOrW
            
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!           
       
 ーーー
    
 職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS(オーディ・アトラス)」が多くの職場で使われはじめています。サーベイはもとより、それをいかに「フィードバック」するかに焦点をあてたツールです。ワークショップも開発しております。どうぞご笑覧くださいませ!
   

職場診断ツール&ワークショップ「OD-ATRAS」 (パーソル総合研究所・中原の共同開発) 
https://rc.persol-group.co.jp/consulting/survey/service/od-atlas.html
   
  ーーー
       
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
  
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
  
 ーーー

新刊「フィードバック入門:耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術」絶賛発売中、13刷重版出来です!。AMAZON総合13位、1位(マネジメント・人材管理カテゴリー、リーダーシップカテゴリー)を記録!年上の部下、若手のトンガリボーイ、トンガリガール。職場には、多様な人々が集っています。難易度の高い部下育成に悩む管理職向けの新書です。どうぞご笑覧くださいませ。スピンアウト企画にDVD教材「フィードバック入門」、研修、通信教育もあります。こちらもどうぞご笑覧ください。
     

   
『フィードバック入門』スピンアウト企画
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/

 ーーー
  
【泣くな!新米管理職!】
  
おかげさまで10刷重版出来。「駆け出しマネジャーの成長論」は、「実務担当者」から「新任管理職」への役割移行をいかに進めるかを論じた本です。「脱線」をふせぎ、成果をだすためには「7つの課題」への挑戦が必要であることを解説しています!全国の管理職研修で用いられています。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
パーソル総合研究所と中原は、このテキストをもとにした「マネジャーになる研修」を開発しました。種部吉泰さんとディスカッションは、非常に楽しいものでした。このコースについても、どうぞご覧くださいませ!
  
「マネジャーになる」 研修:プレイヤーからマネジャーへの移行期支援プログラム
https://rc.persol-group.co.jp/seminar/become-a-manager.html
   
 ーーー 
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約37000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

自分の身体をどのように用いて、相手にプレゼンテーションを「お届け」するのか?:演劇の知とリーダーシップ!?

2024.4.26 10:34/ Jun

自分の身体をどのように用いて、相手にプレゼンテーションを「お届け」するのか?:演劇の知とリーダーシップ!?

褒め方ひとつ間違えると「怯える、いい子」を量産してしまうメカニズムとは何か?

2024.4.24 08:22/ Jun

褒め方ひとつ間違えると「怯える、いい子」を量産してしまうメカニズムとは何か?

2024.4.17 23:54/ Jun

給特法、および、それにまつわる中教審審議に対する私見(中原淳)

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.17 08:17/ Jun

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.15 08:05/ Jun

「タイパ重視の時代」だからこそ「時代遅れ!?のラーニング」を楽しむ!