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2022.6.10 08:11/ Jun

「働きやすさ」と「働きがい」こそが「最強の採用メッセージ」である!? : いまどきの学生の、ワークライフバランスへの執着の強さ!

 いまどきの学生の、ワークライフバランス(WLB:Work Life Balance)への執着の強さ!
   
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 せんだって慶應丸の内シティキャンパスの僕の授業「ラーニングイノベーション論」に、学習院大学の守島基博先生にお越しいただき、「経営に資する人事とは何か?」「全員戦力化をめざす人事とはいかにあるべきか?」についてご講義をいただきました。  
    
 ラーニングイノベーション論がはじまって、もう14年。守島先生におかれましては、初回14年前から、素晴らしい講義をいただき、ありがとうございます。めまぐるしく変わりゆく人事の世界のなかで、毎年、講義内容をアップデートしてくださっておおられることに、心より感謝いたします。
  
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 守島先生の授業内容は、どの内容も素晴らしいものでしたが、参加者のリフレクションシートを拝読しておりますと、
  
 いまどきの学生の、ワークライフバランス(WLB:Work Life Balance)への執着の強さ!
   
 というお言葉が、何名かの受講生の皆さんの琴線に触れたようです。
  
 守島先生は、本講義において、これからの人事部には「従業員に個別に丁寧に向き合い、彼らの働きがいや、成長実感、エンゲージメントを高めていくような人事施策が必要であること」を丁寧に解説なさっていました。
  
「いまどきの学生の、ワークライフバランス(WLB:Work Life Balance)への執着の強さ!」というお言葉は、これから組織にエントリーしてくる世代は、「働きがいや働きやすさなどを重視して、自分の就職する企業を選びますよ」というお話であったと解釈しています。
  
 つまり、
   
 人手不足の時代にあっては、長時間労働などの過剰な負荷がなく、安心・安全に働ける職場こそが「最大の採用メッセージ」になる
   
 人手不足の時代にあっては、仕事のなかでの成長実感を感じられる組織をつくることこそが「最強の採用レピュテーション」になる
   
 ということなのだと思います。
  
 わたしも、まったく同感です。
  
 とりわけ優秀層を採用したいのなら「働きやすさ」と「働きがい」が高い組織づくりをしていることが、マスト条件だと思います。
  
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 今年も、4月以降、自分のゼミ生(中原ゼミ)から、内定先と就職先のリストがぞくぞくとおくられてきています。
   
 今年、ゼミ生の採用先を拝見していて興味深いなと思うのは、学生が最終の就職先を選ぶときに、判断の材料になっていることがかならずしも「組織のサイズ」や「社格」に限られないということです。この傾向は、ここ5年、さらに顕著になっているような気がします。なかには、積極的にベンチャーを選ぶ学生もいます。
  
 学生のなかには、
  
 1.10年後の「その先」に、会社のどの事業が伸びそうかどうか?
  (ここ10年で新規事業が生まれているのか、既存事業を食い潰しているのか?)
    
 2.10年後の「その先」に、その会社は「なんの会社」になろうとしているのか?
  (事業計画には、どの方向に会社を伸ばすことが明言されているか?)
  
 3.自分が30歳くらいになった「その先」に、どういう働き方が可能になるか?
  (共働きが可能か、転勤があるかどうか、夫が転勤になったときにどうなるか、リモートがあるか)
   
 などを考えたり、既存の従業員に質問して最終の就職先を選んでいるひともいます。このなかで、もっとも学生が「執着」するのが、3の「ワークライフバランス」の問題だと思います。これは守島先生がおっしゃっていたことに、ちょうど符合します。
  
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 ちなみに「その先を考えろ!」「その先をイメージせよ!」は、わたしがキャリア選択のときに、学生に申し上げていることのひとつです。最終の就職先を決める上で、もっとも大事なことは、自分の人生を「まっとうする」ときに、何を大事にしたいのかを「その先の目的(めざす生活)」を「イメージすること」です。
    
 個人的には(中原の独断と偏見では)、
  
 ・職業は「手段」であり「目的」ではありません
 (これはひとによると思います。少なくともわたしにとってはそうです)
   
・目的は「well-beingの高い生活を、孤独に陥らずに、おくれるかどうか」です。
 (これはひとによると思います。少なくともわたしにとってはそうです)
  
 「その先を考えろ!」「その先をイメージせよ!」は、自分なりの「well-beingの高い生活」、すなわち「その先」をイメージするからはじまります。つまり「目的」をまずは、意識する。
 そして「その先のイメージ」を実現するためには、どのような場所で、どのような働き方をすればいいのか、という「手段」を考えればよいのだと思います。
   
 俗によく言われる言葉ですが、
  
 イメージできないものは、マネージ(やりくり・コントロール)できません
    
 まずは、自分が、どのような生活をしたいのか、それを「解像度」をあげて、イメージすることだと、わたしは思います。もちろん、思い描いたとおりになんて、人生はなりません。しかし、一度でも「解像度をあげてイメージすること」は、公開しない判断をするうえで、決して無駄にはならないのだと思います。
     
 人生の選択は「その先」をイメージせよ!
  
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 今日は就活のことを書きました。
  
 ハダカン的には、内定先から最終決定を選ぶ段階に、そろそろ入っている印象があります。
 
 自分の頭でじっくり考えて、
 自分の働き場所を
 自分で選んで
 自分で決めてください
  
 わたしは皆さんの自己決定を嬉しく思います。
  
 そして人生はつづく
  
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