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2021.11.12 08:01/ Jun

インタビューで「話を聞く側」は「問いの精度」を相手から推し量られている!? : インタビューとは「インター・ビュー」である!?

 仕事柄、他人からのインタビューをお引き受けすることが、多々あります。わたしのような人間の「与太話」を聞いてくださるのだから、感謝至極です。
      
 ただ、他人からインタビューがなされるとき、本当に「希」ではありますが「嫌な予感」がする時があります。
  
 端的にいえば、会話がかみ合わない(泣)。
  
 そんなとき、「やばい・・・このままだと、この方たちは、このままだと、文章をお書きになれないだろうな」と思います。
    
 文章を書けなければ、相手もお困りでしょうし、その文章は、結局、僕の所に、最後の修正が回ってきます。
      
 そうなってしまっては、お互いに大変なので、「こちらが文章の構成を考えて、話すようにします」。
  
  ▼
   
 経験上、
  
「このインタビュアーの方は、僕のことも、多分わかってないだろうな・・・突然、仕事をアサインされて、手ぶらできたんだろうな・・・」
   
 と僕が感じてしまうインタビューアーの方の記事は、その後にお書きになる文章の構成がねじれていたり、よじれたりする可能性が高いものです。そりゃ、そうだと思います。聞けてないのだから、書けるわけがありません。しかし、そのようになってしまっては、相手もお困りでしょうし、こちらも困ります。
      
 ですので相手の様子を、インタビュー時に判断して、対応を行います。その判断はどこで行うかというと、「問いの精度」です。
  
 僕に寄せられる問いが、しょっぱなから「あさって」になっていれば、答えようがありません。
 あのぉ・・・それは、僕の研究ではなく、僕の知り合いの先生の研究ですねぇ・・・。
   
 また、問いに「フォーカス」がなければ、話せません。
「日本の人材開発、さて、どうでしょう」と問われても・・・どうにも答えようがありません。
   
 問いを「繰り返されて」も、困ってしまいます。
 あのぉ・・・それ、さっきもお話ししましたけれども。
   
問いを「羅列」されても、あとあと構成できません。
  これ、あとあと、文章にならんだろうなぁ・・・。

  ・
  ・
  ・
   
 わたしもインタビューを多々行う側の人間でもありますので、自戒をこめてもうしあげますが、インタビューをするときは「準備8割、実施が2割」なのです。
   
 インタビューをする前に、最低相手のことを理解しておくことが重要です。
  
 もちろん、準備がきちんと出来たら、本番は「即興(improvisation)」です。相手の反応にあわせて、問いを即時につくり、相手と自分が「同じ風景」を脳裏に思い起こせるように、相手の見ていた世界を自分の頭の中にも再現できるように聞いていくことが重要です。
  
 なぜなら、
  
【インタビューとは「インター・ビュー」なのです】
  
 から
  
 ■インター(inter)=ひとびとのあいだに
 ■ビュー(view)  =同じ風景が浮かぶように聞くこと 
 
(スタイナー・クヴァール, ウヴェ・フリック)
   

   
 ▼
  
 今日はインタビューについて書きました。秋学期になり、卒論、修論、博論、はたまた各種のプロジェクトの課題解決が進んでいます。学生のみなさんには、ぜひ、しっかりとした準備と覚悟をもって、インタビューにあたっていただきたいものです。
 
 インタビューをするときには、事前のイメトレ・準備をかかさず、相手にとっても「よきリフレクション」が生まれるような「よい時間」を提供さしあげたいものです。自戒をこめて。
  
 そして人生はつづく
     
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