NAKAHARA-LAB.net

2021.11.4 08:27/ Jun

キャリアの後半とは「引き算」である!?

 キャリアの後半とは「引き算」である!?
   
  ・
  ・
  ・
  
 最近、書架が満杯になってしまい、暇を見つけては本の整理をしています。
 書架の追加や、倉庫を借りることも考えたのですが、しばらく考えてやめました。それをすればキリがない、と思ったのです。
  
 むしろ、これを機会に考えることにしたのです。
  
 自分が最後まで持っていたい本とは何なんだろう?
   
  ▼
  
 考えてみれば、これまでの僕は、「増やすこと」ばかりを考えてきました。誰よりも本を読み、論文を読む。誰よりも「知識」を増やす。
  
 本の発注は、年間で三桁を超え、とにかく読む、とにかく増やすをモットーにしてきました。
 畢竟、書架はすぐに満杯になり、一時は、新たに借りた研究室にそれを収容してきました。
  
 しかし45歳を超えたあたりから、こうした仕事の仕方にも、疑問を持つようになりました。
   
 実は、僕は、若い頃から、自分の仕事人生を2つに分けて考える「キャリア前半・後半理論!?」を、ひそかに唱えていたのです。
    
 曰く、
 キャリアの前半は「25歳から45歳」
 キャリアの後半は「45歳から65歳」。
 自分の仕事人生を大きく分けて、それぞれを考えよう。
     
 自らも、キャリアの前半を終え、後半に入るに至り、すこし自分の仕事のあり方を考え始めるにいたったのです。
  
  ・
  ・
  ・
  
 キャリアの後半をいかに生きようか?
  
 これからの20本を増やすのではなく、減らすことが大事なのではないか?
  
 自分の作品も、少なくてもいいので、より理論的、思弁的なものを追求するべきなのではないだろうか?
  
 ▼
  
 実際に、そんなことを考えながら、満杯になってしまった書架を見つめ、本を整理してみると、
  
1.少なくとも10年は手に取ってすらいない本
  
2.時代遅れになって、もはや情報源として意味をなさない本
  
3.かつての自分には必要だったけれど、もう必要になることはない本
  
 など、たくさんの不要な本が目にとまりました。
  
 かくして、最近は、暇を見つけるたびに、本を少しずつ減らすことにチャレンジしています。体感では、ほぼ半分くらいには減ったと思います。
   
「自分が最後まで持っていたい本」を見いだす旅は、もう少し続きそうです。
  
  ▼
  
 今日は、書架の蔵書のことを書きました。
 今日の記事では、本のことを「話題」にしましたが、この主旨は、おそらくそれだけにとどまらない、のかもしれない、とも思います。
  
 キャリアの後半に至り、本だけでなく、自らがとるべき行動も選ばなくてはならないのです。
  
 キャリアの後半では「何をやるか」も重要ですが、「何をやらないか」を見いだすことは、より重要な気がします。
    
 僕はもともと「自分のやりたくないこと」は外科医・大門ミチコ風に「いたしません!」とお断りしてきましたが、さらに、それを徹底していきたいと思います。
   
 「何をやるか」をきっちりやり切るためにも、「何をやらないか」を徹底することだと、思います。
  
 嗚呼、キャリアの後半は「引き算」ではないか、と思うのです。
  
 そして人生はつづく
   
  ーーー
                    
新刊「チームワーキング」がオンライン管理職研修になりました。JMAMさんからのリリースです(共同開発をさせていただいた同社の堀尾さん、ありがとうございました。中原は共著者の田中聡さんと監修をつとめさせていただきました)。どうぞご笑覧ください! 
     
リリースしました!「チームワーキング研修版」
https://www.jmam.co.jp/hrm/training/special/teamworking/
   
 書籍「チームワーキング」おかげさまで「重版」を重ねております。応援いただいた皆様に心より感謝いたします。
   
    
 
https://amzn.to/3esCOrW
           
すべてのリーダー、管理職にチームを動かすスキルを!
ニッポンのチームをアップデートせよ!           
     
 ーーー    
       
【立教大学大学院で大学院生として学びませんか?】
 立教大学大学院 経営学研究科 リーダーシップ開発コースでは、経営学を基盤にしながら、人材開発・組織開発・リーダーシップ開発を実践できるアカデミックプラクティショナーを養成しています。別名、「ひとづくり・組織づくりの大学院」です。
 授業は「フルオンライン」。授業は金曜日夜と土曜日だけ行われており、2年間で、修士(経営学)が取得できます。
 今年は、3期生の募集になります!ご興味がおありの方は、ぜひ、お申し込みくださいませ!
   

      
 なお、在学生などの声、リーダーシップ開発コースでの授業の様子について知りたい方は、ぜひ、下記のニュース欄をお読みくださいませ!
  
ひとづくり・組織づくりの大学院での「学び」とは?
https://ldc.rikkyo.ac.jp/news/
       
  ーーー  
       
拙著「経営学習論」の増補改訂版が、東京大学出版会より刊行されました。新たに「リーダーシップ開発」の章を追加し、カバーの装いも変わっています。人材開発の基礎的な理論を体系的に学べる一冊です。どうぞご高覧くださいませ!
      

    

      
  ーーー
     
【好評発売中】1on1のコツをまとめた映像教材を、中原とPHPさんで共同開発しました。上司用、部下用あります。1on1について「同じイメージ」をもつことができます。どうぞご笑覧くださいませ!
     
上司と部下がペアで進める 1on1 振り返りを成長につなげるプロセス(上司用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061
  
経験を成長につなげる1on1(部下用)
https://www.php.co.jp/dvd/detail.php?code=I1-1-061   
  
  ーーー
   
【祝・eラーニング完成!】中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース完成しました。リーダー・管理職になる前には是非もっていたいフィードバックスキルを、PC、スマホ、タブレット学習可能です。ケースドラマでも学べます! 
     
中原淳監修「実践!フィードバック」eラーニングコース:Youtubeでデモムービーを公開中!
https://youtu.be/qoDfzysi99w
   
「実践!フィードバック」コース ありのままを共有し、成長・成果につなげる技術(PHP)
https://www.php.co.jp/el/detail.php?code=95123&fbclid=IwAR2he6Z_PTe3YiahcnCv3z9pNRXvrajPwVaRS8LLAYFkbWVH167qHDfYF5Q    
  
 ーーー
   

     
「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
    

     
 ーーー
    
新刊「中小企業の人材開発」(中原淳・保田江美著、東京大学出版会、2021年)マニアックなガチ・学術研究書なのですが、発売10日で重版出来となりました。ありがとうございます。中小企業の人材開発メカニズムに接近を試みています。どうかご笑覧くださいませ!
   

   
 ーーー
        
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
 
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
   
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
    
 ーーー 
    
【注目!:中原研究室記事のブログを好評配信中です!】
中原研究室のTwitterを運用しています。すでに約34000名の方々にご登録いただいております。Twitterでも、ブログ更新情報、イベント開催情報を通知させていただきます。もしよろしければ、下記からフォローをお願いいたします。
   
中原淳研究室 Twitter(@nakaharajun)
https://twitter.com/nakaharajun

ブログ一覧に戻る

最新の記事

2024.4.17 23:54/ Jun

給特法、および、それにまつわる中教審審議に対する私見(中原淳)

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.17 08:17/ Jun

たかがタイトル、されどタイトル!?: 研究タイトルを「一字一句」正確に書いてきてね!

2024.4.15 08:05/ Jun

「タイパ重視の時代」だからこそ「時代遅れ!?のラーニング」を楽しむ!

2024.4.15 07:29/ Jun

【参加費無料】リーダー育英塾2024募集開始!:特色ある学校づくり+持続可能な学校づくりを進めたいあなたへ!

日本の企業はホワイトになったのか?:あなたの周りには「ノスタルジー温泉」につかって「昔」を懐かしんでいるひとがいませんか?

2024.4.4 08:57/ Jun

日本の企業はホワイトになったのか?:あなたの周りには「ノスタルジー温泉」につかって「昔」を懐かしんでいるひとがいませんか?