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2021.10.4 08:03/ Jun

オンデマンド講義を「倍速ラーニング」で聞いていると、ふつーの授業が「もっさり」聞こえてしまう件!?

 今年から大学院の授業を大幅に変更しています。これまで行っていなかったオンデマンド授業(予習における知識伝達)を追加したことが大きなポイント。
  
 今年の授業からは
  
1. オンデマンドビデオ(予習)
 ・一方向的な情報伝達
  
2. Zoomでの双方向リアルタイム授業(メインの授業)
 ・学生さんによる発表やディスカッション
 ・ゲスト講義
 
3. チームでの課題解決(授業外での活動)
  
 を組み合わせ、より多くの専門知をお伝えするべく奮闘しているところです。
   
 これが結局よかったかどうかは、授業評価アンケートの結果のフィードバックを見るまではわかりません。
 春学期に関して言えば、去年の結果をおおむね上回ったので、ホッとはしております。が・・・しかーし「人間万事塞翁が馬」「油断大敵、火が、ボーボー」です。
  
 最後までしっかり頑張っていきたいと思います。
 大変な授業ですが、大学院生の皆様には、ぜひ、ついてきていただきたい、と願っています。 
    
  ▼
    
 ところで、コロナ禍で広がったオンデマンド授業は、学生さんたちの学習行動に多くの変化をもたらしました。
   
 オンデマンド講義にひきつけていうならば、「倍速ラーニング」もそのひとつでしょう。
 ここで「倍速ラーニング」とは「Youtubeなどにアップロードされたオンデマンド講義を倍速再生して視聴すること」をいいます。
     
 学生さんの話を聞いてみますと、正確にいえば、1.2倍ー1.5倍くらいで聞くのがちょうどいいようです。むしろ、オンデマンド授業を正規のスピードで聞いているひとは、少ないのではないでしょうか。
 おそらく、設定で1.2倍ー1.5倍くらいのスピードに再生スピードをはやめて聞きながら、資料を見ているか、いないか、といったところかな、と思います。
   
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 先日、ある学生さんから、大変興味深い指摘を受けました(ありがとう!)。
   
 僕のオンデマンド授業を倍速ラーニングで聞いている学生さんは、僕のZoomでの「授業での語り口」が「ゆっくり」に感じられるのだそうです。まことに興味深いことです。
  
 本来、
  
 Zoomのリアルタイム授業が1倍(ふつうのしゃべくり)
 オンデマンド授業が1.5倍なのに(倍速ラーニング)

  
 倍速ラーニングを経験なさっていると・・・これが反転し・・・
  
 オンデマンド授業が1倍で
 Zoomのリアルタイム授業が0.5倍速

  
 に「聞こえてしまう」ということですね。
    
 そりゃ「もっさり」してるわな。
 牛が口のなかでモグモグ食物を反芻しているかのような「もっさり度」に聞こえるのかなぁ、と想像していました。こりゃ、いかんかなぁ・・・。
     
 ということは・・・ふだんの授業も、1.1倍くらいにするのがちょうどいいのでしょうか。はたまた1.2倍? いや、それをするのは可能なんだけど、学習効果はどうなるんだろう、とか思い始めると、だんだんワケがわからなくなる(笑)。
  
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 嗚呼、また新たな課題が生まれました。
  
 オンデマンド講義を組み合わせるときには、Zoom上での語り口は、どのように変えなければならないのか、変えなくてもいいのか? まだ、わたしには、よくわかりません
  
 また新たな「教育実験(Educational Experiment)」を実施していきたいと願っています。
  
 そして人生はつづく
     
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中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
 
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
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http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
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