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2021.8.3 07:58/ Jun

アイデアがバコバコ生まれる「ブレインストーミング」のたったひとつの「コツ」とは何か?

 アイデア爆増!よきブレインストーミングを実現する「コツ」とは、いったい何か? 
    
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「研究者」という仕事柄、新しいアイデア、新しい発想を、常に求めています。共同研究者でブレインストーミングを行うことは、日常茶飯事です。わたしの日常は、「アイデアだし」の連続といってもおかしくはありません。
  
 ここでブレインストーミング(略:ブレスト)とは「自由に自分の意見や発想を出し合う、グループワーク」のようなものとお考えください。みなさんも、やったことがおありではないでしょうか。どのような会社・組織でも、そのような会議が時折組まれることが多いのだと思います。
  
 ここで課題になるのは「よいブレインストーミングのコツとは何か?」ということです。「おおっ!」と思えるような斬新な発想が生まれるブレストには、いったい、何が必要でしょうか?
  
「うーん、斬新なアイデアを出せる個人かな」
「物事を斜めから考えられるひと、かな」
  
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 などなど、この問いに対しては、様々な答えがあることでしょう。
 しかし、わたしは、ひとつ確信に満ちた「私なりの答え」をもっています(どれほど、一般性があるかは承知しません)。
  
 みなさんは、それは何だと思われますか?
  
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 端的にいってしまえば、
  
 よきブレインストーミングに必要なのは「ハードルを下げること」です。
  
 ここでハードルとは「発言をする際のハードル(心理的障壁)」。「こんなことを言ってもいんだろうか」「こんなことを言ったら、つまんないやつだと思われるかもしれない」という無意識の「発言のハードルを下げること」が、一番効果性の高いブレストになると、わたしは信じています。
  
 それなれば、こんどは「どのようにハードルを下げるのか」?
  
 それは「クリエィティブなアイデア」では1ミリもありません。
 むしろ「アホなこと」「しょーもないこと」「とるにたらないこと」の百連発で、発言のハードルを下げるのです(笑)
    
 すなわち、ブレインストーミングの冒頭で「アホなこと」「しょーもないこと」「とるにたらないこと」を率先して自ら言ってのけ、「こんなことまで、言っていいんだ」とみんなが思えるように、「発言のハードルを下げること」が、実は、一番よい結果をもたらす、とわたしは確信しています。
   
 といいますのは・・・ブレストでは、一般に、「どんな発言をしてもOK」「発言はすべて受け入れる」という風に言われています。しかし、これは「能書き」です。本当に、それが履行されるかはわからない。みんな疑っているのです。
  
「本当に、何をいってもいいんだろうか?」
「こんなことを言ったら、つまんないやつだと思われるんじゃなかろうか」
  
 と。
  
 なので、ブレインストーミングの際には、「発言のハードルを下げなければならない」。みんなが「ここは何を言っても大丈夫だ」と実感できるまで、「アホなこと」「しょーもないこと」「とるにたらないこと」を繰り返す(笑)。
  
 しょーもないこと百連発(笑)
  
 そんなことを繰り返して、「こんなことまで、言っていいんだ」とみんなの「発言のハードルがさがれば」、おのずと、あとは和気藹々と、いいアイデアが生まれてくるものです。
  
 一方、「面白いことを言わなくてはならない」「クリエィティブなことを言わなければならない」「ちゃんとしなければならない」という風に「ハードルが上がったまま」だと、たいてい、「クリエィティブなアイデア」は生まれません。
  
「こんな発言をしたら、面白いやつって思われないかもしれない」
「こんなしょーもないアイデアを出したら、凡庸な人間だと思われるかもしれない」
  
 そんな風に、みなが思う場では、「面白いアイデア」や「クリエィティブなアイデア」は、かえって、でてこないのです。
  
 だって、そうでしょう?
  
「笑わせよう、笑わせよう」という「魂胆」丸出しの「お笑い」は、面白くないでしょう?
  
「頑張って、頑張って、ふんばって」も、「出ないとき」は「出ない」でしょう? 
    
 それと同じです(同じか?笑)。
  
「クリエィティブになろう。面白いことを言おう」と思えば思うほど、ひとは、面白くなくなるのです。全然、クリエィティブにはなれない。
  
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 いいんです。
 ブレストでは、しょうもないことを「連発」していれば(笑)
  
 いつか、いいアイデアが生まれてくるから。ハッと思えるようなアイデア、、、「ハッとしてグー」がいつかは生まれてくるから(古い・・・笑。でも、最近、復活なさっているのですよね。うれしいことです)。
  
 ブレインストーミングとは「よいアイデア」を連発する会議ではありません。
  
 むしろ、
  
 ブレインストーミングとは、「しょーもないアイデアの百連発」をみなで楽しみながら、「ハッとしてグー」の降臨を「待つこと」なのです。
    
  ▼
  
 今日はブレインストーミングのコツを書きました。
   
 今日も朝から晩まで、たくさんの会議が入っています。
 しょーもないこと百連発(笑)
 
 今日も、ハードルさげて、行きましょう。
 大丈夫。
 
 ひとは、もともとクリエィティブ!
  
 そして人生はつづく
 
 ーーー
        
中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
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自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
ピアトラストお問い合わせ
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