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2021.2.24 08:05/ Jun

ザ・研修評価!:人材開発に残された「大きな課題」を乗り越える!

「研修評価」というものは、人材開発の領域で、この過去20年で、ほとんど改善がなされていない領域のひとつかと思います。
  
 過去20年を振り返ってみるとき、大きな変化があったのは
  
1.教育の手法の転換 
 ・教え込み重視から、学習者の主体的な学び重視へ
 ・たとえばワークショップなどの教育手法の広がり
  
2.介入の単位の広がり
 ・個人を対象にするだけでなく、チーム・組織を対象にした介入へ
  
3.データと理論にもとづく人材開発の企画
 ・勘と経験と度胸にもどづく、いわゆる「KKD型人材開発」からの脱却
 ・データと理論にもとづく企画
  
 かなと思います。
  
 しかし、個人的な印象で恐縮ですが、研修評価に関しては、あまり大きな変化が起こっているとは言えません。
  
  ▼
    
 一般には、研修の評価には
    
1.反応レベル(ex. 研修終了後のアンケートで満足度などをとる)
  
2.学習レベル(ex. 研修終了あたりに到達度テストを行う)
   
3.行動レベル(ex. 研修終了後に、職場の実践度合いを問う)
   
4.成果レベル(ex. 研修終了後に、職場の成果の向上を問う)
    
5.利益レベル(ex. 研修終了後にいくら儲かったかを問う)
   
 といったレベルがあると言われています(識者のオジサマによって違う)。
 しかしながら、ブログ記事なので細かいことは、はしょりますが、今現在の定番の考え方は、
  
1.研修が4や5までに直接影響は与えない。4と5を支えるための人的資本の整備(職場での実践の改善)を行うことが研修の仕事。4と5に対しては間接効果をもっているが、直接効果はもたない
   
2.研修は3の「職場の実践の改善」までは保障しなければならない。だから、研修評価は3の「行動の変化」までは最低とりましょう!(ここは最低限)
   
 ということになるのかなと思います。
  
 ま、レベルを細かく分けたくなる気持ちもわかるし、より高次のものまで追いかけたくなる気持ちは、わかるっちゃわかるけど、結局、3までが守備範囲かな、というような「ゆるやかな合意」らしきものが業界にはあります。
    
 しかしながら・・・日本の現状は、どうでしょう。
    
 多くの現場では、研修の評価は、1のレベル、おそらく、研修終了後の満足度調査になっているのではないか、と思います。
  
 多くの組織の研修評価の現状は、
  
Q.今日の研修内容には満足しましたか?
 とてもそう思う
 ややそう思う
 どちらともいえない
 あまりそう思えない
 まったくそう思えない
  
 という設問に答えるということですね。
  
 もちろん、感覚的には2割から3割くらいでしょうか・・・研修終了後しばらくしてから、職場での実践度合いなどを問う企業も、以前よりはずっと増えてきていると思います。しかし、多くの組織では、そこまでは数字を追えていない印象を持ちます。
   
 その原因のひとつは、マンパワーが足りないこともあります。が、研修評価というものの考え方や知識が、まだ不足していることも事実です。
   
 わたしとしては、研修開発の実務、研修転移・研修評価に関しては、下記の書籍を編んできたのですが、いまだ、不足がありますね。

 
  
 かくして・・・このたび、ダイヤモンドさんと共同で、研修評価に関するセミナーを開催させていただくことになりました。従来から関根雅泰さん、鈴木英智佳さん、島村公俊さんたちと主宰してきた「研修開発ラボ」という学びの場をお借りして、研修評価にまつわる半日セッションを開催させていただこうと思っています。
  
 以下、ご案内となりますので、どうぞご参考までに!
 研修開発ラボでお会いできますこと、楽しみにしております!
   
【研修開発ラボ:お申し込みはこちらから】
https://diamond-labo0315.peatix.com/
  
 そして人生はつづく!
  
  ▼
  

  
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「研修開発ラボ」とは?
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研修開発ラボは、立教大学経営学部・中原淳教授の
監修による「研修開発」に関する「ラボラトリー」です。
中原淳教授の『研修開発入門』に基づき構成された
プログラムを通して、企業において人材育成に携わる
方々が、組織・現場のニーズや経営戦略をふまえ、
経営に資する社内研修を構築できるようになること
に焦点を当てています。組織・現場の真なる問題を
掴み、適切に対処するために、学術的知見と経験的
知見を織り交ぜた統合知を学び、実践していく
プログラムです。
  
人材開発・組織開発研究の第一人者である中原淳教授
、研修開発コンサルタントとして活躍する関根雅泰氏、
鈴木英智佳氏、島村公俊氏の4名が講師を務め、参加
なさる方々自らが「自社にフィットした人材育成のあ
り方」を見出し、プランニングできるようにサポート
いたします。
  
第二回特別講座! では「研修評価」を扱います!
  
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第二回特別講座! 研修評価の理論・実践を学ぶ
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をテーマに、企業の人事・教育・研修担当者が「研修
をやりっぱなしにしない」ために押さえるべき研修
評価の基礎・基本について、中原淳教授に講義
いただきます。
  
そして、セミナー後半では、研修開発ラボ講師の
関根雅泰氏、鈴木英智佳氏、島村公俊氏が
ファシリテーターを務め、研修評価の実践に関する
事例・知見をご紹介するとともに、講義内容や
皆さまの疑問・お悩みを踏まえて、講師と参加者
参加者同士での意見交換・ディスカッションを
実施いたします。
  
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セミナー概要
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日 時:2021年3月15日(月)
    13:15~17:00(13:00~入室可能)
  
会 場:オンライン(Zoom)配信
  
対 象:企業の経営層、人事(教育・研修・人材育成)担当者
※個人の方、研修ベンダー(講師・コンサルを含む)の方、
その他上記の対象でない方のお申込みはお断りいたします。
  
参加費:¥10,000円/1名
  
定 員:100名(予定)
  
【研修開発ラボ:お申し込みはこちらから】
https://diamond-labo0315.peatix.com/
  
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