NAKAHARA-LAB.net

2020.11.30 08:20/ Jun

「わからないように書くこと」と「難しいことをやさしく書くこと」

 先日、ある書籍を読んでいたら、興味深いことが書いてありました。原書を研究室に送ってしまったので、以下、思い出して書きます(すみません)。
  

  
 上記の書籍に曰く(趣旨はこんな感じ)、
  
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 フランスの学術界で認められるためには、わざと「わからないように書くこと」が重要だ。
    
(フランスの哲学者の)ミシェル・フーコーは、自分の文章の「10%」は「わからないように書いている」と述懐している。
  
 一方、(フランスの社会学者の)ピエール・ブルデューは、「10%」では不足であり、「20%」はわからないように書く
  
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 めちゃめちゃ興味深いですね。「わからないように書かない」と「フランスの学術界では認められない」なんて(笑)。
 たしかに「わからないこと比率:20%」を超えているブルデューは、難しい。下記の文章を読んでみましょう。これはブルデュー&パスロンの「再生産」の冒頭部です。
  
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「およそ象徴的暴力を行使する力、すなわちさまざまな意味を押しつけ、しかも自らの力の根底にある力関係をおおい隠すことで、それらの意味を正統であるとして押しつけるにいたる力は・・・」
(ブルデュー&パスロン「再生産」)
   
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 たしかに難しいね。
  
  ▼
  
 ともかく、先ほどの書籍を読んで、ひとつだけ感じたことは、自分のこと。僕自身、自分の作品のなかで「わからないように書いたこと」は1度もないな、ということ。
   
「だから、お前はダメなんだ」とか「そもそもお前は、高尚な文章は書けない」んだ、とか、そういうツッコミがくるのは、わかっていますけれど・・・(笑)。
  
 でも、僕は「わからないように書いたこと」は、たぶん、ない。もしあるとすれば、それは「本当に書けなかった」ということなのかな、と思います(笑)。
  
 むしろ、僕が座右の銘にしてきたのは、
  
 難しいことは やさしく
 (井上ひさし)
   
 です。
   
 ただ、この文章は「やさしいことは 深く」と続きがあって、そのあたりからは、かなり怪しくなるんだけど(笑)
  
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 ともかく、フランス人じゃなくてよかったわ(笑)。
 (えっ、、、そのオチ?)
  
 ああ、今週もまた、超絶ゆるいブログからはじまってしまった。
    
 今週1週間、また頑張りましょう!
     
 そして人生はつづく
   
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