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2020.11.20 08:54/ Jun

僕の愛読書はパスカルの哲学書「パンセ」です!?

 僕の愛読書はパスカルの哲学書「パンセ」です(キリッ)。
  
  ・
  ・
  ・
  
 なんて、キザな言葉を言ったら、
  
「何、朝っぱらから、すかしてんだ、このヤロー」
  
 と便所スリッパでカンチョーされて、わたくし、あまりの痛さに、やっぱり朝から「悶絶」してしまいそうです。でも、これは本当のことなのだから、仕方がありません(笑)。
  
 パンセは、17世紀後半に書かれた、天才パスカルの哲学書ですね。いくつもの「断章」からできていて、その日の気分で、好きなところから読んでいける本です。
  

  
 僕の場合は、パンセを読むのは、いつも寝る直前。
 1ページくらいを読んで、「おやすみ3秒のび太君」で、ダークな世界に落ちていくのが、日々のわたくしです。
  
 ZZZ…
  
  ▼
  
 なにせ、パンセは「素晴らしい」です。
   
 まず、記述は平易ですが、そこそこ難解な部分もあるので、すぐに「寝落ち」できます。
 おまけに、書籍はいくつもの短い「断章」から構成されています。今日はここから。明日はそっちから。どこから読んでも楽しめるので、寝る前に最適です。
   
 というのは冗談で・・・・(笑)
  
 パンセの素晴らしいところは、17世紀、すなわち、今から400年も前から、今の世界にも通じる「人間の世界の真理」を「ズバリ」と言い当てているのです。
 凡庸なるわたしに言われたくないとは思いますが、天才パスカルの明晰さに、舌をまきます。
 (以下は、パスカル「パンセ」より引用)
   
 ・
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 ・
  
 人間というのは
 概して
 自分の頭で見つけた理由のほうが
 他人の頭の中で発見された理由よりも
 深く納得するものだ
  
  ▼ 
  
 人間は
 小さなことにたいしては
 敏感であるが
 大きなことに対しては
 ひどく鈍感なものだ。
  
  ▼
  
 人を効果的にたしなめ
 その人が誤っていることを教えるには
 その人が
 どの方向から、ものごとを見ているかを
 しっかりと見極めなければならない
  
 というのも
 その人がみている方向からは
 ものごとはたしかに「真」に見えるからだ
   
  ・
  ・
  ・
  
 おっしゃるとおり!
  
 そして、400年前の天才パスカルの名言を拝見しつつ、日々、自分も似たようなことを、人前で話しているな、と思ったりもします。つまり、僕らは、すでにパスカルの「手の上」にいる。
   
 そうすると、まことに憎らしいことに、パスカルは「ダメ押しのひと言」でとどめを刺しにきます。
    
 ・
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 ・
  
 作家によっては
 自分の著作を語るときに
 わたしの本、わたしの注釈、わたしの物語
 などという人がいる。
  
 彼らはむしろ
 わたしたちの本
 わたしたちの注釈
 わたしたちの物語
 と言うべきなのである。
  
 なぜならば、概して
 彼らの著作には
 自分のものよりも、他人のものの方が
 多く含まれているからだ。
  
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 ・
 ・
  
 もうグウの音も出ないね。そうですね。わたしたちは、過去の先人たちの人類の知性の「上」にいるのですよね。
   
 ああ、ごめんよ、パスカル。
 ぼくは、ハナクソレベルだったよ。
 でも、おやすみなさい
      
 ZZZ…
    
  ▼
   
 今日はパスカルの「パンセ」について書きました。この本、天才パスカルの名言をまえに、つねに謙虚でいられる本かもしれません。自己啓発書を読むくらいなら、パンセでともに「寝落ち」しましょう。
 秋の夜長に、ぜひ手にしてみてください。おすすめの一冊です。
    

  
 それではみなさま、よい週末を!
  
 そして人生はつづく
  
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