NAKAHARA-LAB.net

2020.7.20 09:03/ Jun

「まるごと、ごっそりオンライン化」のためには「全リソースを集中投下」することが重要である!?

 先週で、春学期のオンライン授業も、学部・大学院ふくめて、すべて終了しました。
  
 あーやれやれ。
  
 さて、今週からは、オンラインで行う集中講義の準備と、秋学期の準備をそろそろはじめなければな、と思っています。
  
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 今年の春学期は、本当にいろんなことがありました。今年の春学期は、たぶん、自分の仕事人生のなかでも、もっとも忙しかった時期であると思いますし、印象に残る期間になるでしょう。
  
 なにせ、わずか2ヶ月ほどで、僕の仕事のすべてが「オンラインに移行」したのですから。
  
 例えば、大学・大学院での授業、慶應MCCやHRリーダーズフォーラムでの講義、電通育英会さんや河合塾さんからご支援を受けて、溝上慎一さんと行っている一連の教育改革のイベント、そしてすべての共同研究が、「まるごと、ごっそりオンライン化」しました。これはとてつもない変化です。
  
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 もちろん、最初の一ヶ月間は試行錯誤を行い、躊躇もしました。
 しかし、緊急事態には「スピーディーに覚悟を決めること」です。そしていったん覚悟を決めたら、「必要なリソースを、ちょろりんこ、ちょろりんこと、逐次導入」するのではなく、思い切って、全リソースを「まるごと、ごっそりオンライン化」に傾けることだと思います。 緊急事態は「リソースの出し惜しみ」は、事態をさらに悪化させます。やるなら、やる。やらないなら、やらない。そして「やる」場合には、全リソースを集中投下して、なるべくはやく動き出すことです。
  
 なんとか、かんとか、危ない橋をわたりつつも・・・そのおかげでしょうか・・・今となっては、非常に軽快に、しかも、さらに生産性高く、仕事に取り組めている気がします。
  
 もちろん、これは僕だけの努力ではなく、すべての仕事・プロジェクトにまつわる関係者の方々、受講生の皆さんの努力・尽力によるものです。この場を借りて御礼を申し上げます。
  
 ありがとうございました。
  
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 しかし、一方で、懸念も感じ始めています。
  
 このところ、よく耳にするのは、授業や研修のオンラインへの移行がうまくいかず、あまり教育効果を上げられなかった、とか学習効果があがらなかった、という事例です。僕の周囲ではあまり聞きませんが、そういう事例もあるようです。そして、これはどうやら、研修にも、授業にも起こっているようです。
  
 わたしは、他の教員、講師の皆さんのオンライン講義・オンライン授業を拝見したことがないので、詳細は知りません。が、人材開発の研究者として、この社会課題にいかに取り組むべきかを、考えています。
  
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 考えてみれば、学生たちの学び方も、この間、大きく変化しました。
  
 よく耳にするのは
  
・聞くだけの講義は、2倍速で聞いている
・課題の提出率はあがった
・講義中の私語はない
・ドロップアウトの比率は総じてみれば下がるが、意欲の低い層はこぼれおちる
  
 といったところでしょうか。
   
 もちろん、これらも、正確なログ・データをとった議論ではありません。
 今後、様々なかたちで、こうしたデータが把握され、検証されていくのではないかと思います。こうした試みに、貢献させていただきたいと思います。
  
  ▼
  
 今日は「春学期終わってやれやれ」のお話をしました。しかし、まだまだ余談は許しません。夏の集中講義、秋学期に向かって、さらなる準備を進めていきたいと感じています。
  
 そして人生はつづく
  
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ニュース【ボッシュ株式会社×中原ゼミのコラボプロジェクトがはじまりました!】
  
 ボッシュ株式会社 × 立教大学経営学部 中原ゼミナールのプロジェクトがはじまります。2年生・3年生の有志が中心になり、ボッシュ株式会社さんで展開しているリーダーシップ開発プログラムに関して研究を行い、改善案を提案するという内容です。
  
 本日キックオフが開催されました(ボッシュのみなさま、感謝です!とりわけ、プロジェクトをご提案いただいたLinさんに心より感謝いたします!)
  
 コロナ禍で大変な時期が続きますが、精一杯頑張り、暑い夏を過ごしていただきたいと思います。各社のサマーインターンが縮小したり、中止したりしていますが、ぜひ、学生諸氏には、自ら機会をつくりだし、自ら学んで欲しいですね。
  
 なお、研究の知見は、9月、わたしのブログでも公開させていただきます! 私自身もとても楽しみにしております! そして人生はつづく
  

  
  ーーー
  
ニュース【週刊朝日に立教経営BLPのオンライン授業が取り上げられたそうです!】
  
 週刊朝日に、立教経営のビジネスリーダーシッププログラムが取り上げられていました。オンラインでもしっかり学べている様子がおわかりいただけるかと思います。
   
コロナ禍での授業の違いが「大学・学部の人気の差に」
https://dot.asahi.com/wa/2020071600012.html?fbclid=IwAR2krEk6jTjlV1dmGeUDUQE4Gt2zuBqWFqlujGcqA4xjCTU3XCvaiNS6KSo
  

  
 わたしは今年から学部BLPを離れ、大学院の立ち上げに尽力しています。BLPを率いる舘野先生はじめ、事務局、講師・SA・CAのみなさま、お疲れ様でした。どうぞご笑覧くださいませ!  
  
 下記の記事では、BLPを率いる同僚の舘野さんの下記の言葉が、とても印象的でした。僕もまったくの同感です。
 どうぞ記事の方、ご笑覧くださいませ!
  
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BLP主査を務める舘野泰一准教授は、「今年は昨年の対面の授業よりも学生のレベルが高くなった」と手ごたえを感じている。オンライン授業が続く状況について、こう話す。
  
「大学や学部によって取り組みの差が出てきている。今回、新型コロナに直面したことで、大学が学生をどう考えているのか、危機に対応する力があるのか、本音や地力が見えてきた。この差は今後の大学・学部の人気の差にもなって表れてくると思う」
  
コロナ禍での授業の違いが「大学・学部の人気の差に」
https://dot.asahi.com/wa/2020071600012.html?fbclid=IwAR2krEk6jTjlV1dmGeUDUQE4Gt2zuBqWFqlujGcqA4xjCTU3XCvaiNS6KSo

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