NAKAHARA-LAB.net

2020.4.24 08:26/ Jun

大丈夫、明けない夜はない!:悲しみやストレスから人が「成長」するとはどういうことか?

 大丈夫。
 明けない夜はない。
 止まない雨もない。
   
  ・
  ・
  ・
  
 最近、読んでいる本が「外傷後成長(ポストトラウマティク・グロース:Posttraumatic Growth)」とよばれる領域に関する本です。
  
 
  
 
  
 わたしはまったくの門外漢ですが、一般に「外傷後成長」とは、
  
「病気や災害など、わたしたちが、人生において経験する「危機」に対してもがき苦しんだあとに経験される、心理的な成長感」
  
 のことをいいます。
  
 重い病気や、とてつもない災害を乗り越えたあとで、ひとびとに起こる心理的な変化・・・たとえば、
   
 新たなことに「関心」をもつようになった
 友人関係などに、より親密感を感じるようになった
 たいていの困難は乗り越えられそうだと思うようになった
 他者に対して、より思いやりの気持ちをもつようになった
 自分の人生において、優先順位が変わった
  
 とったような心理的な変化を経験するのが「外傷後成長」です。
    
 分野的には臨床心理学の領域になり、僕はまったくの門外漢なのですが、最近、興味をもって立て続けによみました。
  
  ▼
  
 この本をよむきっかけになっているのは、言うまでもなく、「新型コロナウィルスの感染拡大」です。
  
 いま、わたしたちは100年に1度の災害、コロナウィルスによって「自宅」に「軟禁」されている状況が続いています。今日現在、ジョンホプキンス大学の調べでは、世界中で270万人弱がコロナウィルスに感染し、19万人のひとびとが命を落としています。
  
 このような未曾有の災害は、すこしずつ、わたしたちの「こころ」に何らかの影響をもたらしていると考えられますが、「外傷後成長」の概念は、そこに、わずかながら「ポジティブな可能性」を見いだします。
  
 こんな災害だからこそ、それを乗り越えたあとには、自分が一回り大きく感じられたり、今まで見えなかったものが見えるようになることもある・・・外傷後成長の概念は、そうしたことを教えてくれる気がします。

 未曾有の災害のあとに、希望がある。
    
 そういう思いから「外傷後成長」の本を読んでいます。
    
 ▼

 しかしながら、外傷後成長の「外傷」とは、非常にタフな経験です。このタフな出来事に負けず、レジリエンスを発揮するためには、生活における何らかの工夫を行っていくことも、また重要なことです。
     
 外傷後成長を経験するために必要な要因、コツの詳細は、実際に、本にあたっていただくとして、そのいったんをご紹介すると、わたしたちが日々の生活において、下記のようなことを意識的に経験することも重要である、という指摘がなされていました。
  
 自分のペースで無理なく暮らす
 テレビやゲームをしたり、気をまぎらわせる
 友人などと話す機会をつくる
 世界が終わったわけではないと自分に言い聞かせる
 時間がたつのにまかせる
 
  ・
  ・
  ・
  
 とりわけ最初の方の「自分のペースで無理なく暮らす」「テレビやゲームをしたり、気をまぎらわせる」「友人などと話す機会をつくる」などといったものは、僕自身も、意識的に行うようにしていますが、ハッとしたのは、
  
「世界が終わったわけではないと自分に言い聞かせる」
  
 の部分でした。
  
 実は、僕自身、最近、朝起きたときに、
  
「もうこのまま自宅から出られなくなるのかなぁ・・・」
「もう二度と、学生とかに会えなくなるんじゃないだろうか」
  
 と考えてしまう日が、ないわけではなかったのです。
  
 おお、危ない、危ない。
  
 もちろん、その時間は一瞬、とても少ないのですが、たしかにそれはありました。本を読みながら「ああ、僕も囚われていたわ」と内省できた瞬間でした。
  
  ▼
  
「時間がたつのにまかせる」は「時間薬」ともいうそうです。
  
 そうですよね、
  
「世界が終わったわけではないと自分に言い聞かせること・・・そして、そのうえで、時間がたつのにまかせること」
  
 も、わたしたちが自分自身を立て直すために必要なことなのかな、と思いました。
   
  ▼
  
 まもなく金曜日が終わります。
  
 なんだか、最近、僕は「曜日の感覚」がまったくなくなってきていて、朝起きて、仕事をして、夜寝るだけの単調な生活が続いています。
  
 そんな生活のなかにも、何らかの希望を見いだしていきたいものです。
  
 大丈夫。
 明けない夜はない。
 止まない雨もない。
  
 そして
  
 神は乗り越えられる試練しか与えない
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
追伸.
 4月28日(火曜日)午後7時から「サーベイフィードバック入門」の無料勉強会を開催させていたきます。この勉強会には、すでに100名を超える満席をいただいておりましたが、追加で200名分のチケットを発行させていただくことになりました。
  
 本日金曜日12時に、チケットの配布が下記にてはじまります。
 どうぞご興味がありましたら、お越しくださいませ。
  
 本は読んでいなくてもOKです!
  
 斉藤光弘さん(あまね舎)、PHP宮脇崇広さんと、開催させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
   
  
  
『サーベイ・フィードバック入門』オンライン勉強会
https://surveyfb200428.peatix.com/event/1456798/view
  
 ちなみに、立教大学経営学研究科 修士課程の塩川太嘉朗さんが、本書の要約を行ってくれております。あわせてご覧くださいませ(塩川さん、ありがとうございます)。
  
あらすじで読む『サーベイ・フィードバック入門』
https://note.com/takaos/m/m25d499f5649b
  
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新刊「サーベイフィードバック入門ーデータと対話で職場を変える技術 【これからの組織開発の教科書】」が好評発売中です。AMAZON人事・マネジメントカテゴリー1位を記録しました。組織調査を用いながら、いかに組織を改善・変革していくのかを論じた本です。従業員調査、HRテック、エンゲージメント調査、教学IRなど、組織調査にかかわる多くの人事担当者、現場の管理職の皆様にお読みいただきたい一冊です!
   

   
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