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2020.2.5 06:35/ Jun

「フィードバック鵜呑み」で「フィードバック思考停止」しちゃった結果が「フィードバック坊主」!?

 他者からのフィードバックをいかに「受けとめるのか」?
   
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 ここ5年ほど、フィードバックについての実践的な研究を、ほそぼそと進めています。ここでフィードバックとは、
  
1.よいことも、悪いこともふくめて、「相手の行動が、自分からみて、どのように見えるか」を、相手に通知すること
   
2.相手の行動の立て直しをうながし、目標と現状のギャップを埋めるよう働きかけること
   
 をいいます。
    
 狭義には1だけをフィードバックということもありますが、結局、「効果性の高いフィードバック」とは、2のプロセスも駆動しなければなりません(目標設定や振り返りなど)。
  
 よって、僕は、フィードバックは1と2のプロセスすべてを包含するものとして捕らえることをおすすめしています。
  
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 ここ3年ほどにいたっては、フィードバックを「する側」だけではなく、フィードバックを受ける側(フィードバックされる側)の研究や、実践も、重要だと思うようになってきました。  
 といいますのは・・・フィードバックをする側の研究に比べて、フィードバックをされる側(受ける側)の研究は、それほど多いわけではありません。
    
 しかし、実際に、他者が、相手の成長を思い「言いにくいこと」を言ってくれたのに、そのフィードバックが活かされないことは、ままあるものです。
  
 今日は、学生の指導などをしていて出会う「トホホな状況」をレビューしてみましょう。
  
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 たとえば、「フィードバック恐怖」
  
 これは、「フィードバック不安」といってもよいのかもしれません。他人から何か言われるのが、怖くて、不安でしかたがない。過剰にフィードバックを恐れてしまう状態を、ここでは「フィードバック恐怖」といいましょう。
  
 こうしたフィードバック恐怖や不安が生まれてしまう理由のひとつとして、過去に受けた「過剰なフィードバック」ーすなわち「フィードバック虐待」が影響を受けていることも少なくはありません。
  
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 次に「フィードバック鵜呑み」
 これは、引き受けたフィードバックをまったく「拒絶」してしまう「フィードバック拒絶」とは、まったく反対の状況です。引き受けたフィードバックをまったく、自分でいったん咀嚼せず、単に受け入れてしまう。
  
「Aさんの行動って・・・のように見えるんだけど、それについてはどう思う?」
「うっす、あざっす」
  
 みたいな感じ。
 あんたさ・・・もうちょっと、自分の頭で考えなさいよ(笑)
 思考停止してませんか?
  
 フィードバック思考停止?
    
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 次に、複雑骨折的な話です。
  
 それは「フィードバックする上司がクソだ症候群」です。これは、上司が、フィードバックしてくると、それをいったん咀嚼しようとせず、その上司の存在自体にネガティブな感情をもったり、上司に陰口をたたいたりする、厄介な病です。
  
 要するに、自分がイケてないのは、「自分のせい」ではなく、「他人のせい」だと思っている。徹底的な「他責思考」のフィードバック亜種?が、「フィードバックする上司がクソだ症候群」ですね。
  
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 最後に、もっとも多くのひとびとが罹患しやすいのは「フィードバック(三日)坊主」でしょうか。
  
 要するに、引き受けたフィードバックを、いったんは引き受け、行動を変えるのだけれども、その効果が長続きせず、三日坊主で終わってしまう。行動改善に継続性がない状況をいいます。
  
 おあとがよろしいようで。
  
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 今日はフィードバックを「受ける側」についての実践的な研究?のお話をしました。これについては、かなり前から、PHP研究所さんと新たな企画をスタートしています。PHPの村上雅基さん、的場正晃さん、海野翔太さん、加藤五士さんらとともに、フィードバックを受ける側向けの新たなワークショップ(研修)を開発しているところです。
  
 フィードバック恐怖をやわらげ
 フィードバック鵜呑みを防止し、
 フィードバックする上司がクソだ症候群の罹患をふせぎ
 フィードバック坊主にならないようにするためには、何ができるか?
  
 新たな研究結果のアウトプットが楽しみです。
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
「フィードバック入門」10刷、「実践!フィードバック」が重版5刷です。ハラスメント時代に必要な部下育成の技術がフィードバック。耳の痛いことをいかに部下に通知し、そこから立て直しをはかることができるか。全国各所の管理職研修で用いられています。はじめてリーダーになる方、管理職になる方におすすめの2冊です。どうぞご笑覧くださいませ! この書籍をベースにした映像教材、通信教育教材、研修などもございます。
      
 
   
DVD『フィードバック入門』、通信教育、研修はこちら
https://www.php.co.jp/seminar/feedback/
  
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