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2019.11.13 08:49/ Jun

キラキラHR業界が鼻息フンフン主張する「データ活用」の遙か遙か手前にある「泥臭い現実」!? : 「サーバのデータ漁り」と「わけわかんないマクロつきエクセ●」

「データを活かした人事に興味があるんですけれども・・・でも、うちの会社って、その遙か手前なんですよね。
  
 まず、何をするにしても「データを探す」ところからはじまるんです。「前任者の仕事」を引き継ごうといっても、「サーバのなかのフォルダを、適当に漁るところからはじまり」ます。
  
 心が折れるのが、「マクロのついた、わけわかんないエク●ル」なんですよね。前任者がデータを処理しているんですが、あとから見ても、わけがわからない。何、この数字って感じ。どこにも、メモがない。
  
 日本の会社は、マクロのついた、わけわかんないエ●セルを全廃しないと、データの活用なんて、絶対にすすみませんよ」

  
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 せんだって、都内某所で、志ある若手人事向けパーソン向けの勉強会で講師をつとめさせていただきました。僕に与えられたテーマは「人材開発」についてだったのですが、参加者のみなさまとランチをしておりますと、皆さんの興味関心が「データを活用した人事」にもあるということでした。
  
 急遽、午後の予定を変更し、「データを活用した人事」についてのショートレクチャーを「おまけコンテンツ」としてご提供させていただきました。
  
 ランチの最中に、何人かの方々から語られた内容を要約したものが、このブログの冒頭にあった文章です。録音をしていたわけではないので、一字一句、同じということはございませんが、ご主旨は、ご想像いただけるものと思います。
  
 要するに、
  
・データを活用した人事には興味がある
・だけれども、会社のデータ管理の体制は、その1000歩くらい手前にある
  
 ということですね。
 あべし・・・合掌。
  
  ▼
    
 このところ、わたしの研究室には、「データ×人材開発」で、ご相談をいただくことが多くなっています。よくよくお話をうかがってみると、このような悩みは、決して、この会社に特有の課題ではないように思います。
    
HR業界では、「データを活用した人事」とか「データアナリティクス」とか、そういう「キラキラした言葉」が踊っています。ビジネスの臭いをプンプンさせたコンサルタントや、ベンチャー企業の社長が、キラキラワードを連発します。
  
 しかし、問題は「キラキラワード」の遙か手前にある。
 「課題」は「泥臭い世界」にそもそも存在しており、それが乗り越えられない。
  
 問題は「重回帰分析とか、共分散構造分析とか」、そういう統計上の手法に存在しているわけではない。遙か遙か手前に、乗り越えなければならないものが存在している。それなのに、世の中で「データを活用した人事」ということで提供されているものは、「キラキラしたもの」ばかりである。
     
 たとえば、わたしのところによくご相談をお引き受けするのは、下記のように超絶泥臭い世界の話です。
  
・そもそも、データを分析する目的が不明瞭
 =データを活用せい!とフゴフゴと役員に言われる
  だけで、何を目的に活用するんだか、わからない
  
・そもそも、どこに「データ」があるかわからない
 =サーバを漁ることになる。
 =マクロつき●クセルで心が折れる
  
・そもそも、「データ」ってなに?
 =何がどのように活用できるんだか、わからない
  
・そもそも、データがつながっていない
 =バラバラにデータが存在しており、紐付いていない
 =紐付けようにも、情報子会社を通さなければならず
  30万かかると言われた・・・
  
・そもそも、データが分析できるひとがいない
 =というか・・・データを読める管理職もいない
  
・そもそも、データをフィードバックしたことがない
 =どうやってフィードバックして変革を導けばいいのか
  わからない
 =どうやって社内に対話を生み出せばいいのか、わからない
  
 要するに「そもそも論」から「つまづき」を感じておられるのです。
   
  ▼ 
   
 今日は「データを活用した人事」の「キラキラ世界」を揶揄したような物言いをしましが、僕は、「データを活かした人づくり・組織づくり」は、次の時代の人材開発・組織開発の課題になると思っています。
      
 実際、僕も関与している「人づくり・組織づくりの大学院」ー2020年新設の立教大学大学院 リーダーシップ開発コースでは、各種のプロジェクトで「データ活用」「データ分析」が用いられます。
(入学募集要項が公開されておりますので、ご興味がおありの方は、ぜひご高覧くださいませ!)
  

立教大学大学院 経営学研究科 経営学専攻 リーダーシップ開発コース
https://ldc.rikkyo.ac.jp/
    
 また、僕の書籍の次回作は、「サーベイフィードバック入門ーデータを活用した組織開発のすすめ」です(仮題)。僕は、次の人事のパラダイムのひとつに「データ」が位置づけられると思っているし、それが日本の組織の組織力を高めると思っています。
   
 しかし、どうやら、この問題の課題は、ずっとずっと手前から存在している。
 いずれにしても、「そもそも論」から教えていったり、解説していったりしなければならないな、と感じています。
  
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 あなたの会社のデータ活用は「サーバのなかのデータを、適当に漁るところ」からはじまっていませんか?  

 あなたのは、どこの誰が、いつ作成したんだかわからない「マクロつきエクセ●」に悩まされたことはありませんか?
  
 みなさまの会社に「データ」にまつわる課題をどうかお聞かせください。
 今後、折に触れて、一緒に考えていきましょう!
  
 そして人生はつづく
  
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「組織開発の探究」HRアワード2019書籍部門・最優秀賞を獲得させていただきました。「よき人材開発は組織開発とともにある」「よき組織開発は人材開発とともにある」・・・組織開発と人材開発の「未来」を学ぶことができます。理論・歴史・思想からはじまり、5社の企業事例まで収録しています。この1冊で「組織開発」がわかります。どうぞご笑覧くださいませ!
  

  
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