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2019.11.12 07:01/ Jun

将来、あなたの「賃金」はどうなると思いますか?:「働かないおじさん」問題は「中年男性」の問題ではない!

 先日、知り合いの人事の皆さまと議論した内容がございます。
  
 それは、
  
 未来の「賃金カーブ」がどうなるか
  
 という、まことに「しょっぱい議論」です(皆さん、ありがとうございました!・・・・1時間以上、うんうんと考え、皆さんで議論しましたね)。
  
 もちろん、この「議論」に「唯一の答え」はありません。
 究極には、その企業、その組織が、どのように賃金カーブを設計するのか、というお話です。
  
 ただ、そういってしまうと「以上。」で終了ですので、今回は、やや大雑把な議論になることは承知しつつも、将来をマクロに、「まるっと」見ていくと、何がいえるのか・・・を考えてみました。
  
  ▼
  
 その内容が、朝日新聞の真海喬生記者の取材によって、下記のように記事になりました(ありがとうございました)。
  
 朝日新聞のサイトで、途中まで無料でお読みいただけるようなので、どうぞご笑覧ください。
 

 
特集:老後レス社会 会社にすがる「働かないおじさん」 もう逃げ切れない?
https://www.asahi.com/articles/ASMBL4H8TMBLUHBI01S.html?iref=comtop_rnavi_arank_nr02
    
 記事には途中までしか乗っていませんが、一連の取材、人事の皆様とのディスカッションによって、考えさせられたことがあります。それは下記の点です。
    
1.「働かないおじさん」とは「中年の男性」をさすのではなく、「生産性と賃金」が合わなくなってしまう「状態」のことをいう。だから、「働かないおじさん」は、「誰もがなりうる問題」であり、「みんなの課題」である。加齢に応じて、学び直しの不全によって、誰もが、そのリスクを抱えている。
  
2.国は、社会保障がままならないため、企業に70歳までの雇用を求めているが、それは、ただちに人件費の高騰を意味する。企業は株主の手前、人件費をただちにあげることはできないので、結局、賃金の問題に手をつけざるをえない。というか・・・もうすでに、給与は「一律にあがりつづけることができない」状態に「フラット化」しつつある。
  
3.しかし、さらに「賃金」に手をつけるといっても、生産性の高い若年層は賃金を下げられない。人手不足問題に対処するため、生産性の高く賃金が比較的高くない世代は、雇用したい。むしろ、IT専門人材にいたっては、高い処遇をもって遇しなければならない。
  
4.そうなれば矛先は「働かないおじさん」の解消に向くはずである。おそらく、給与の分岐は、現在よりも「早期化」して出現する。たとえば、35歳あたりをめどに「上昇」「ステイないしはダウン」という風に、いくつかのコースにわかれる。みんなが一律ではなくなる。
  
5.60歳以降の雇用は、それまでの働きぶりによって、さらに大きくコースがわかれる。要するに、みんなが一律ではなくなる。生産性に応じてコースが変わる。
  
6.長期的には「年齢」を横軸、「生産性や給与」を「縦軸」にとった賃金カーブは描けなくなる社会になるのではないか(無理矢理描こうとすればできるけど、描いても、あまり意味がなくなる・・・)。つまり、年齢におうじた賃金カーブは、実質的には「過去の遺物化」する。職種、職位によって、多様な賃金コースが生まれうる。
  
7. これからの世代は、転職や兼業など、それぞれのひとびとが、多様な働き方を「選択」する時代になる。経済産業省の試算によると、すでに、正社員になりひとつの会社で、定年までつとめあげる生き方は、かつては34%いたが(かつても30%台しかいない!)、これからの世代は27%しかいない。みんな一律ではなくなる。
  
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 もちろん、上記は「予想」でしかありません。
  
 また、これは「予想」なんかじゃなくて、すでに起こっていることでもあり、企業によっては「今さらジロー感」のある議論かもしれません。というよりも、これからは、十把一絡げに、賃金を語れなくなる。しかし、その最大公約数をおおざっぱにとれば、こうなるのかな、と思います。
  
 今回の取材で、いろいろなことを考えさせられました。わたしにとって、もっとも学びが大きかったようにも思います(心より感謝です)。
  
 この問題、皆さんはどう思いますか?
 
 未来のあなたの「賃金」はどうなると思いますか?
  
 そして人生はつづく
    
 ーーー
   

  
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