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2019.3.18 06:23/ Jun

学ぶことは「特権」だったのもしれない!? : 「学べる」のに「学ばない」ひと、「学びたい」のに「学べない」ひと

 40代とは「学びたいのに、学べない時期」なのではないだろうか?
  
 自分が40代になってつくづく思うことは、このことです。
「学びたいのに、学べない時期」とは、より正確にいえば「自分としては学ぼうと思っていても、他のことに時間をかけざるをえず、自分の学びがもっとも後回しになっていく時期」という意味です。
  
 20代ー30代の苦闘のすえに、組織や社会のなかで、ようやく腰の落ち着けられる役割を見つけ、バリバリ働く40代。
 子どもがいらっしゃる方ならば、一番手のかかる時期にちょうどぶち当たる40代。
  
 かくして、
  
 新しいことを学ぼうと思っても、仕事にかかりきりになり、ついつい後回しにする「自分の学び」
 何かを学び直そうと思っても、ついつい子どもや家庭にかかりきりになり、後倒しにしていく「自分の学び」
  
という状況が生まれます。
  
 泣き言をいえば、まぁ、キリはないのでしょうけれども、このことを思います。
  
 あの論文や本を読みたい
 あの学会やイベントにいってみたい
 あんな調査や実験をしてみたい
 
 そういう思いは次から次へとわいてくるのに、つぎに口からでてくる言葉は
  
 でもなぁ・・・
  
 「でもなぁ・・・」のあとは、もれなく泣き言です。自分の「学びの時間」が、それについていかない。「やりたいこと」と「学ばなければならないこと」が「ちぐはぐ」になってしまうのです。
  
(50代ー60代の方にとってみれば、僕らの世代もそうだよ、とおっしゃるかもしれません。ただ、僕はまだ50代ー60代はわかりません。ご意見をお聞かせください)
  
  ▼
  
 そんなとき、僕は、悟りに向かいます。
 ちぐはぐな自分に焦るのではなく、悟る(笑)
  
 端的にいえば、
  
「まぁ・・・それも人生の一時期、仕方がないことなのかもしれないな」
  
 と思うようにするのです。
  
 四の五のいっても、時間が増えるわけではない。ならば、この「ちぐはぐ時期」を楽しむしかない。思うようには学べないけれど、歩みはノロノロと遅いかも知れないけれど、エッチラオッチラ、学びながら、進むしかない。
  
 日は昇り、明日はまた来る。この時期が長く続くわけではない。だったら、この「ちぐはぐな時期」も、楽しんでいこうではないか。
  
 僕はそう思っています。
  
  ▼
  
 今日は40代について書きました。
   
 僕の仮説に基づくならば、40代とは「学びたいのに、学べない時期」です。
 これに対して、一般には「学べるのに、学ばない人生の一時期」を「学生」とよびます。
  
 最近の学生は、僕が学生時代だった頃よりは100倍学んでいるとは思いますが、自分が「学びたいのに、学べない時期」にさしかかると、「学べるのに、学ばない時期」がうらやましくてなりません。
  
「だったら、おまえ、学生の頃に、もっと学んどけよ」とう感じですけれども(笑・・・自爆)
  
 今から考えると「学ぶこと」は「特権」だったのだな、と思います。
   
  ▼
  
 学生の皆さん、持っている「特権」は行使してください。
  
 そして、40代の皆さん、「学びたいのに、学べない時期」も謳歌しましょう。
 20代から40代にいたる、わたしたちの人生が「あっという間」だったように、日はまた登り、明日はまた来る。状況は、また変わる。今はのんびり、ゆっくりな学びでも、前に進みましょう。
  
 そして人生はつづく
  
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