NAKAHARA-LAB.net

2019.1.10 06:43/ Jun

「いいねカルチャー」の浸透が「ネガティブ・フィードバック」を阻害しちゃうかもしれない「仮説」の是非とは?

 ソーシャルメディアの普及以来、「いいねカルチャー」がすっかり世の中に浸透したように思います。
    
 テストの点数がよかったら「いいね!」
 社内表彰を受けたら「いいね!」
 自分の子どもが、はじめて立ったら「いいね!」
    
 ひとは生きていれば、たくさんのメデタイことがあります。そんなときは「いいね」のシャワーで結構だと僕は思います。しかし、この「いいねカルチャー」は、浸透度がまことに強い。
   
 今日の昼に、大盛りカレーライスを完食しても「いいね!」
 味噌汁の具の「しじみ」が多くてラッキーと思っても「いいね!」
  
 たぶん、日本の歴史で、どんなものにでも、ポジティブなフィードバックを返し合うことが、これほどまでに浸透したことはなかったのではないでしょうか。そして、ポジティブなフィードバックを返し合うことが、カルチャーのように人々の行動規範に埋め込まれた時期はなかったように思います。
  
 それはそれで素晴らしいことでもあります。
 といいますのは、もともと、日本人は、ネガティブなフィードバックしか返さない。ポジティブなフィードバックはどちらかというと苦手である、と言われてきた向きもあります。ですので、この「いいねカルチャー」の浸透は、それこそポジティブに評価できるところもあります。
  
 しかし、一方で思うのは、こういう課題が生じていたら、困ったことだな、という懸念です。
  
 それは
  
「いいねカルチャー」に浸っていて、きっちりと「ネガティブなフィードバック」を他人から受ける経験を持てないでいるとしたら問題だろうな
  
 ということですね。ふだんから「いいね」「いいね」と人に返されることになれきっていて、「ネガティブフィードバック」をしっかり受け止めることができないでいたり、それらを過剰に怖がる現象も起こりえます。
  
 あるいは、反対に、指導する側の立場にたってみます。
   
 経験の浅い方を指導をしていれば、本当ならば「ダメなものはダメ」と言わなければならない局面もあるのですが、そういうとき、ついつい「いいねカルチャー」にほだされて、ネガティブなフィードバックを逸していた
   
 としたら課題だろうな、ということです。ふだんから「いいね」「いいね」と相手に言っているので、今更「ネガティブフィードバック」をと言われてもやりにくい、といった現象も考えられます。
  
 もちろん、これらの諸問題は「いいねカルチャー」だけから生じるわけではないのですが、ついつい、ソーシャルメディアをツラツラ見ていると、そんなことを思いました。
  
 あなたのまわりでは「いいねカルチャー」の浸透で、ネガティブフィードバックが不足していませんか?
  
  ▼
  
 今日は「いいねカルチャー」について書きました。
  
「いいね」カルチャーそのものが悪いわけではないのですが、結局、フィードバックとはバランスなのかな、と思います一方のフィードバックが「行きすぎたもの」になってしまい、他方の働きを「阻害」してしまうしてしまうところに課題が生じるのかな、と思います。
  
 過剰ポジティブフィードバック>過小ネガティブフィードバック
  
 でも案配が悪かろうし、
  
 過剰ネガティブフィードバック>過小ポジティブフィードバック
  
 でも、きっとシンドイですよね。
  
 たまにでもよいので、自分の組織やチームのフィードバックのバランスを考えてみるといいのかもしれませんね。
  
 あなたの組織は、フィードバックのバランスがとれていますか?
  
 そして人生はつづく
  
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