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2022.1.19 08:00/ Jun

この国では、話し合いが、きちんと「教えられていない」のではないか、という疑念!?

「話し合いの教科書」を書いてます!?
        
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 この1年、いくつかの教科書!?(というよりも教材になるもの)らしきものを書いているのですが、そのひとつが「話し合いの教科書」です。
(最近、自分のやってきたことや、ノウハウを、わかりやすく後世に伝える仕事が多くなっていますね)
    
 ・そもそも話し合うとは何か?
    
 ・分かり合えない相手といかに話をすればいいのか?
    
 ・ひとびとが腹落ちして、物事を決めるためには、何が重要なのか?
    
 こうしたことは、ひとによっては、「レベルが低い」と言われることなのかもしれません。話し合いなんて、学級会もやってきたし、生徒会もあったし、クラブや部活でも、班会でも、定例ミーティング、いろいろやってきましたがな、と言いたくなる方もおられるでしょう。
 しかし、どうしても、最近のわたしは、これを書きたい、論じたい、という思いに駆られていました。
  
 といいますのは、多くの教育現場の教壇、人材開発・組織開発の現場に居合わせ、学生やマネジャーたちが話をする様子を見ていると、
  
 この国では、話し合いが、きちんと教えられていないのではないか?
   
 という疑念をもつようになったのです。
  
 実際、現場を支配しているのは、下記のような現象です。
  
・話あったって、どうせ、無駄だというあきらめ
    
・いいね、いいね、それな、それな、で、実質的な話し合いをさける雰囲気
    
・決めるときには、何も考えずに、ただちに多数決
  
・いいよ、勝手に誰かが決めてくれれば、という
 運命の放り投げ
   
・決まったあとには
 わたしはそもそも反対してた
 あとは知ったことじゃない
 という無関心
   
 そうしたものが学校の現場にも、会社のなかの打ち合わせや会議にも、社会にも蔓延しているような気がします。自戒をこめて申し上げますが。
     
 実際、わたしが、大学・学部で、身近な学生たちに、ときに教えることは「話し合いの作法」です。なぜ、そこからやるかというと、どうも、それがちゃんと「教えられていない」ないしは「実践できていない」と思うからです。わたしは教師です。学生ができていない、というものがあれば、どんなに基本的なことでも、指導します。
  
 実際、ある卒業生が、あるとき「中原ゼミで学んだことは、話し合いは、無駄じゃないってことかもしれない」と言ってくれた方もいました。すごく嬉しかったです。
     
 わたしが学生たちに伝えていることは、わたしオリジナルということではありません。むしろ、世間で、昔っから、なんどもなんども言い古されていることです。下記に10つだけ要点を書いてみましょう。下記は、末尾の3つの書籍の内容から引用し、一部、表現をアレンジしてあります。
     
■話し合いにとって重要な10つのポイント■
          
1.自分たちの未来は、自分たちで決めること。
  そのことを信じること
  (これは、中原の口酸っぱくなるワード。ゼミでは3万回くらい、言い続けている)
   
2.なるべく多くのひとびとが、
  話しあいに参加すること

            
3.オープンに、透明に、議論がなされること。
 それが、ちゃんと記録されること。
    
4.少数派の意見にも耳を傾けること
     
5.そう簡単に「わかりあえないひと」
  がいることを知ること

   
・わかりあえないものが
  どこからわかりあえないか
  その「分岐点」をともに「さぐること」
      
6.相手の主張に「見るべきところ」
  はないかを常にさがしつづけること

    
7.わたしたちには「対立や葛藤」も
 ときには必要なことを知ること。

  腹をくくること。
    
8.それでも、わたしたちは、いつかは必ず
 「意思決定」しなければならないこと

 ・決めることや決断することは
  やむをえぬことを知ること
        
9. みんなで決めたことには
 「自発的にしたがうこと」

  
 ・「おれの意見は違うから、
   あとは知ったこっちゃねー」
   にならないこと
   
10.少数派の意見を組み入れた
 「運用」をなんとか探ること。

  時に見直しを行うこと
  
参考・引用文献
宇野重規(2020)「民主主義とは何か」講談社現代新書
平田オリザ(2015)「対話のレッスン 日本人のためのコミュニケーション術」講談社学術文庫
岡田 憲治(2019)なぜリベラルは敗け続けるのか. 集英社インターナショナル
 
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 いかがでしょうか?
 皆さんの教室、研修、職場では、話し合い、なされていますか?
   
 ▼
   
 話し合いの教科書(仮題)は、PHPさんからの刊行です。高校生あたりにもわかるように、なるべく平易に、話し合いの作法をお伝えしようと思っています。おそらく、春あたりでしょうかね・・・(最近、猛烈に忙しいので、朝から仕事をしていても、全然終わらないんです・・・泣)。編集者は「フィードバック」以来のおつきあいをさせていただいている編集者の宮脇崇広さん、構成は杉山直隆さん(株式会社オフィス解体新書)です。今回の本でもご一緒できて嬉しいことです(感謝!)。
     
 何とかよい本に仕上げ、より多くの現場で読んでもらえたらなぁ、と思っています。
   
 そして人生はつづく
   
  ーーー
   
【参加者募集中】
BOXIL EXPO 第3回 人事・総務展というイベントに登壇いたします。1月25日(火)13:45-14:45です。テクノロジ・データと人材開発、ISOへの付き合い方、チームを動かすスキルなど、2022年を展望するような多様なテーマを、斉藤光弘さんと中原でお話をさせていただきました。どうぞおたのしみくださいませ!
  

https://expo.boxil.jp/event/hr-2022-winter/AGv3mjth?fbclid=IwAR3vsYvP5plEnDbn1QvlPtUS3df2SZos73TzH61z-xy9WlZmREWIU27ZAU4

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