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2021.10.6 08:04/ Jun

中年が頭に思い描く「脳内ヤング」はイリュージョンかもしれない件!?

 中年が頭に思い描く「脳内ヤング」はイリュージョンかもしれない件!?
    
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 最近、不肖・中原、ドキッとしたことがあった。
  
 最近の僕は、コロナ禍が長く続き、体調が余り芳しくないことから、通院したり、運動やらに心がけたりしているのだけれども(マインドはクソ元気)、ふとしたときに思い立って・・・
  
「ちょっと、背筋の運動でも、やってみるか?」
  
 と考えた。
  
 まぁ、いろいろあって、僕は、身体中の運動能力が落ちている。
   
 ここは、ひとつ「背筋」でもやってみると、劇的に「パンパカパーン」と体調がよくなるに違いない。最初は、ホントウに、軽い気持ちで、それを思い立った。
  
 考えてみれば、以前に背筋をやったのは、いつのことだろう?
   
 5年前?
 いや、10年前?
  
 仰向けになって、ぴょこたんぴょこたんと、背中を反り返らせ、両手をあげる、あの「背筋」という運動が、あまり好きな方ではなく・・・背筋は、ついつい、億劫になってしまう運動のひとつだった。
    
 意を決して、背筋。
 10年ぶりに?背筋
 背筋、やってみる。
     
 ぴょこたん、ぴょこたん
 ぴょこたん、ぴょこたん
   
 おっ、できんじゃん。
   
 ぴょこたん、ぴょこたん
 ぴょこたん、ぴょこたん
  
 ふぅ。変わんないね。
 若い頃みたいに、背筋、できんじゃん。
 背中はぐいーんって曲がってるし、腕もあがってるぜ。
   
 ふん、背筋ごときに、
 オレさまは、止められねーぜ
   
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 なんてことを考えていたのが5秒くらい。
 その後、僕は、腰が砕けるほどの「衝撃の現実」を知ることになる。
   
 ふと、横に目をやると「戸のガラス」にうつった、自らの「背筋運動」を見て、思わず「ウン○ョスを漏らしちゃいそうなくらいの衝撃」をうけた。
  
 だって、ガラスにうつっていた中年の背筋は
   
「陸に打ち付けられ、
  ピチッ、ピチッと身体を動かしている、死にかけの魚」
  
 のようだったからだ(号泣)

 まったく、ぴょこたん、ぴょこたんしていない。
 むしろ、ピチッ、ピチッと時折、身体を硬直させ、いまにも「死にかけ人形」である。
  
 あれ、この死にかけている魚? 誰?
 えっ、えっ、えっ、まさかオレ?(ここまで0.2秒)
  
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 要するにこういうことなのだ。
   
 自分の「脳内」にある「自己イメージ」は「ヤング(Young)のままの自分」なのである。僕のなかの「脳内ヤング」は「時計の針がとまっている」
  
 たとえ、実際は、両腕があがっていなくても、背中がそらされていなくても、ぴょこたん、ぴょこたん、していなくても、僕の脳内では「シャキシャキと背筋を行っている、若い頃の自分がいる」のである。
   
 しかし、現実は異なる。
  
 厳しい現実は、
  
「陸に打ち付けられ、
  ピチッ、ピチッと身体を動かしている、死にかけの魚」
    
 である。腕はあがっていないし、背中もそらされていない。
   
 中年のなかの「脳内ヤング」は「イリュージョン」だ!(号泣)
 喜んで、どうする?
     
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 これに似たことは、たしかに、過去にも一度会った。7年ほど前、長男KENZOの運動会で親子リレーがあったときのことである。
    
 バトンを渡され、全力で走る。
 僕としては全力疾走したつもりだった。
   
 きっと、妻も含め、近くのご婦人たちも、俺様の「子鹿・バンビ」のような走り(体育2のくせに)を見て、魅了されているに違いない。
   
 しかし・・・・現実は異なる。
 帰宅して、親子リレーのビデオを見る。
   
 そして、ビデオには
  
 足がこんがらかって、蝶々結びになって
 命からがらゴールしている中年のオヤジ
  
 が映っていた。
  
「えっ、これ、オレ」       
  
 子鹿バンビが、蝶々結びである。
 このギャップ、怖い。
 怖すぎる。ていうか、痛いわ。
     
  ▼
   
 今日は、中年のなかの「脳内ヤング」は「イリュージョン」だ、という身も蓋もない話をした。
 このことは、おそらく背筋や親子リレーだけではなく、あらゆるところで起こっているのだと思う。そう、仕事のなかでも、日々の業務においても。 自分としては、若い頃と同じように、ちゃんと働いてる。でも、動きがぎこちない。自分としては、若い頃と同じようにやっている。しかし、時計の針がとまっている。こういう事態は、仕事の現場で枚挙に暇が無い。
    
 やはり自分を見つめ、自分を客観視するほかはない。
 自分だけでできないなら、「ガラス」や「ビデオ」の力を借りるほかはない。
  
 リアル社会で、ガラスやビデオの役割を果たしてくれるのは「周囲の他者からのフィードバック」だろう。
  
 要するに、中年になればなるほど「Self awareness(セルフアウェアネス:自己認識)」を高めておくことを意識して行わなければならないのである。こんなことは、頭ではわかっていた。しかし、先日の「背筋事件」は、このことを僕に痛感させた。
   
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 あなたは、最近、ぴょこたん、ぴょこたん、できてますか?
 それは、もはやイリュージョンと化した「脳内ヤング」ではないですか?
  
 あなたは、最近、バンビのような走り、できていますか?
 それは、今のあなたではなく、「脳内ヤング」ではないですか?
  
 あなたは、最近、以前のように仕事ができていますか?
 あなたの「脳内ヤング」はイリュージョンと化していませんか?
  
 そして人生はつづく
    
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