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2021.10.1 07:55/ Jun

人や組織が「ちょっと変わる」だけでもスゴイことである!?

 人材開発・組織開発の仕事をしておりますと、つくづく思うことがあります。
   
 それは
  
 ひとが変わるためには、時間がかかる
  
 ということであり、
  
 組織が変わるためには、さらに時間がかかる
    
 ということです。
   
 人材開発や組織開発に「特大カビキラー」なみの即効性のある手段をもとめる方には恐縮ですが、事実なんだから仕方がありません(泣)
     
「死んだ魚のような目」をしているひとが、某研修やワークショップをきっかけに、少女漫画なみの「大きなキラキラとした瞳」に変わることは、まずありません。
 ワンショットの研修で実現可能なのは、さしずめ「目の濁り」が少し減るくらいです。
     
「ホーンテッドマンションのような組織」が、従業員サーベイをきっかけに建て変わり、「美女と野獣」に出てくるような「素敵な城」になることは、まずありません。さしずめ、死臭が少し減ったかな、くらいのイメージです。
   
「変わらない」といっているのではありません。
「もちろん変わらない」という「残念な可能性」もゼロではありません。
   
 わたしが申し上げたいのは「変わるためには、時間がかかる」ということに尽きます。変わるためには、地に足をつけて、地道に地道に働きかけていく必要があるということであり、それには時間がかかる、ということです。東レ経営研究所の手計仁志(てばか・ひさし)さんの名言を借りれば、必要なのは「継続」ならぬ「超継続」です(笑)
  
 かつて河合隼雄さんは著書「カウンセリング講座」において、こんなひと言を残されています。
  
「ちょっと変わるだけでも、すごいのです」
  
 河合さんの、この感覚に、わたしも共感します。ひとっこひとりが、ほんとうに「ちょっと変わる」だけでも、大変なことなのです。
  
 大事なことは、望ましい方向に「ちょっと変わる」を積み重ねていくことです。
 その先には、もしかすると「望ましく変わる」という地平がありうるかもしれません。
    
 もちろん、このことは逆も言えます。
  
 間違った方向に「ちょっと変わる」を積み重ねていけば、その先には「死んだ魚のような目」と「ホーンテッドマンションのような組織」が待ち受けています。
   
 学習(変化)は、いつだって、望ましい方向にも、間違った方向にも、オープンにひらかれています。
 ちょっとずつ、ちょっとずつね。
    
 ・
 ・
 ・

 あなたは、いま「ちょっとずつ」変わっていますか?
 それは望ましい方向ですか、それとも間違った方向ですか?

 そして人生はつづく
      
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中原研究室では、一般社団法人ピアトラストさんとの共同研究で、相互称賛アプリ『Peer-Trust(ピア・トラスト)』の研究を行っています。
       
相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が導入された職場では、職場のメンバー同士が、お互いの日々の仕事を観察し、そこにキラリと光るものがあったときに「称賛カード」というものをメッセージとともに送りあいます。1カ月間は無料トライアルだそうです。ご興味があえば、ぜひ、ご利用くださいませ。
     
強みの自己認知と意欲を高める『ポジティブ1on1』
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000007.000059483.html
   
仲間から実際に認められた行動のデータから、自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加されました。職場における相互称賛を、自分の強みの発見と目標設定に役立てられます。
 
自身の強みと職場での関係を定期的に把握できるレポーティング機能も追加!
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000059483.html
   
あなたの会社のリーダー・管理職は「部下の強み」を観察できますか?:相互賞賛アプリ「ピアトラスト」が示唆する「リーダーの条件」とは?
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/12062
    
ピアトラストお問い合わせ
https://www.peer-trust.com/contact/
   
ピアトラストの効果まとめページ
https://www.peer-trust.com/research/2020/
    
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