NAKAHARA-LAB.net

2020.6.24 07:57/ Jun

あなたの会社には「出社する人が一軍、リモートワーク組は二軍」という分断が生まれていませんか?

「微妙な雰囲気が流れてますよ。うちの会社は、出社しても、リモートでもどっちでも選ぶことができます。一応、仕事に応じて、考えて出社せよ、ということになっている。
  
でも・・・それは建前。実際は、出社するひとが”一軍”、出社しないリモートワーク組は”二軍”みたいな分断が生まれているんです。というのも、役員やら部長が、たいした用事もないのに、リモートは苦手で、出社するからです。
  
役員や部長のお近くで、直接コミュニケーションとれたほうが、覚えがめでたくなる、という雰囲気が、流れてますね。会社への忠誠心を測られているような気がする。仕事ができるか、できないか、じゃないんです。出社するか、しないか、なんです。
  
今年の評価や昇進とかが、見物ですね。若いやつらは、もう愛想を尽かしつつありますね。あほらしい、やってられるかってね」

 
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 ここ一週間ほどで、さまざまな業界で働いている方々から、漏れ聞いたひと言です。物言いは、それぞれに異なりますが、嘆息の内容は一緒です。昨日の夜も、ある方から、そんなお話を伺いました(楽しかったです!、感謝!)。
  
 要するに

 「出社するか、しない」か
   
 という「働き方の選択」の問題が、
  
 上役とのコミュニケーションがとれるか、とれないか
  
 につながり、
  
 さらには、
  
 会社へのロイヤリティがあるか、ないか
  
 の代理指標として機能するのではないか、という疑念が生まれている。
  
 さらには、従業員の評価や昇進などに影響するのではないか、という「ビミョーな雰囲気」が、会社に流れている。
  
 本当に目も当てられない「アチャパー」といったような状況ですね。
  
 だって、
  
 評価の基準が「仕事ができるか、できないか」ではなく「出社するか、しないか」なんだから・・・。
      
 じゃあ、「仕事ができない困ったちゃん」で、バリバリ出社するひとが、覚えめでたくなるのでしょうか・・・(笑)
 これで、昇進が歪められたら、目も当てられないな。
   
  ▼
  
 この問題・・・出社してもしなくても、上役が「自分に近いところで働いているかどうかで評価する」ではなく、「成果でマネジメントや評価ができている」のならば、こういうことにはなりません。また、権力をもつひとが、学び直し、リモートワークを受け入れていれば、こういうことにも、なりません。要するに、新たな時代にあって「経営のマネジメント力」や「学習力」が問われています。
  
 でも、シャバワールドでは・・・
    
 出社するひとが”一軍”、出社しないリモートワーク組は”二軍”、という会社は少なくないんだと思います。
    
 問題は
  
「若いやつらは、もう愛想を尽かしつつありますね。あほらしい、やってられるかってね」
  
 の部分です。
  
 おそらく、市場でも評価されうる若年層、優秀層から、この状況には耐えられなくなるでしょうね。
 まぁ、それも「経営の意志決定」なんでしょうけれども。
   
  ▼
  
 今日は「リモートワークと評価」についてトホホな事例を引いて考えてみました。
 僕は、別にリモートワークを礼賛したいわけではないです。職種・業種によっては、それが不可能な職種もありますし、経営的判断にもとづき、「好きになさればいい」と思う。
 でも、新たな働き方をめぐって、こういう分断が、きっと、シャバに生まれているんだろうな、と思うと、すこし切なくなりますね。
  
 あなたの会社、出社するひとが”一軍”、リモートワークは”二軍”というレッテルが生まれていませんか?
   
 もしそうなら、危険信号かも。
  
 そして人生はつづく
  
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