NAKAHARA-LAB.net

2019.9.24 06:45/ Jun

1on1を組織に定着させるための5つのポイント:1on1をただちに形骸化させる「呪いの言葉」を口にしていませんか?

 1on1を組織に定着させるためには、何が必要か?
 1on1をただちに形骸化させる「呪いの言葉」とは何か?(笑)
     
   ・
   ・
   ・
    
 ここで、1on1(ワン・オン・ワン)とは
    
 1.上司と部下が
 2.隔週から一ヶ月に1度くらい
 3.1回15分ー30分程度の面談を行い
 4.日々の業務の振り返りをおこなったり、相談をすること
   
 のことだとします。
    
 上司ー部下の面談・相談と申しますと、これまで日本では、「期初」と「期末」に評価面談を行っていました。評価面談の実施はたいてい「期初」と「中間」と「期末」の3つで、その頻度は数ヶ月から半年。
  
 僕が、かつてTwitterで行った簡単なアンケート調査によると(N=136)、この期初期末の面談では、「仕事のPDCAサイクル」や「仕事の振り返り」を行うことはかなり厳しいことがわかっています。
  
 そもそも「期初」に握った目標すら、覚えていない。
 目標を覚えていないんだから、振り返りも、クソもあったもんじゃない。
  
 簡単なアンケート調査によると、
  
 従業員の37%は「期初に決めた目標」を期中に自ら思い出さない!
 常に目標を心にとめている社員は14%
  
 です。
  
 ま、そうだろな、と思いますよね(笑)。
 このクソ忙しいのに、そんなの、覚えちゃいないよ。
 しょうがないところもある。
 そもそも、期初ににぎった目標が、事業の進展とともに変わるし。
   
  ▼
    
 今、仮に、下図のように、頻度が半年くらいにくる期初期末の面談を「大きなくるくる」とします。
  
 
  
 かつては、この「大きなくるくる」だけが上司部下の面談として機能していました。でも、昨今は、市場がスピード感を求めたり、事業成長を早めなければならない理由があって、この「大きなくるくる」だけでは、持たなくなっている組織もあるかもしれない。
  
 よって、「大きなくるくる」だけでは不足なので、「小さなくるくる=頻度をあげて時間は短くてもいいから振り返りを促すサイクル」が欲しい。この「小さいくるくる」にあたるものが、「1on1」による「頻度をあげた振り返り」なのかな、と思います。
  
  ▼
  
 1on1は、一部の外資系企業、ヤフーなどのIT企業などでの実施がきっかけとなって5年ほど前から、様々な組織で実施されはじめました。
  
 しかし、1on1導入に対する、組織への定着度は、ほんと様々、悲喜こもごもです。
  
 ちゃんと、組織に定着して、どんな従業員でも「1on1」という言葉を使うようになった企業もあります。
  
 一方、組織によっては、人事がかけ声をあげても、全く組織に定着せず、誰もやっていない企業もございます。
  
 この「差」はどうして生まれるのか。
  
 僕は、様々な企業を訪問させていただき、横串でものを見ておりますが、1on1が組織に定着するかどうかは、5つほどポイントがあると思います。それは下記のとおりです。
   
1.経営者が動き、1on1導入を自社の経営課題(理念)や自社のデータに紐付けて、自社の社員に話すことができる
(≠1on1を人事課題、人事のトレンドとして絶対に語らない)
  
2.経営者や人事が管理職に対して、1on1導入の意義を繰り返して話している
(≠1on1の導入をメイル一通で通告するようなコミュニケーションを行わない)
  
3.管理職に1on1の学習機会が与えられている
(≠武器・防具を渡さないで、ほらやってみろ、という風に放り出さない)
  
4.1on1の実施状況や職場状況を定期的にモニタリングしている
(=職場の状況の見える化は必要)
  
5.従業員に「1on1」の意義、意味を理解させている
(=従業員も1on1の意義や意味を理解させないと、形骸化する)
  
 このうち、組織の定着という意味で、他のどれよりも一番大切なのは、僕は、冒頭の1で述べた「経営者が、1on1を自社の経営課題に紐付けて語れるかどうか」であろうと思います。より具体的には、事業・経営に紐付けて、1on1を導入する意味を語れるか、どうか、それが管理職に伝わるかどうか、だと思うのです。
   
 たとえば、
  
事業が・・・・のようになるから、人は・・・・のようになってほしい。だから、今、1on1を導入することが必要だ
   
市場が・・・・のようになるから、事業成長を見込める。よって、組織は・・・・のようにならなくてはならない。ひとは・・・・のようになってほしい。だから、今、1on1を導入することが必要だ
  
 のように語れる場合には、可能性が高まる。
  
 すなわち、1on1導入に絡む意義を、
  
 Why do?(なぜやるのか?)
 Why now?(なぜ今なのか?)
 Why me?(なぜ自分なのか?)
   
 に留意して、自社の事業・自社の経営課題・自社のデータに紐付けて語ることができることが、もっとも基礎になるのだと思います。
  
 逆に、1on1を1ミリも組織に定着させたくなければ、こう言い放てばいい。
 1on1をただちに形骸化させる黒魔術というか、呪いの言葉(笑)。
    
 あのー、人事業界で最近、1on1って流行なんすよ
 だからやりません?
 同業他社もやっているみたいで、
 うちもやったほうがいいんじゃないかな。
 ヤフーでもやってるらしいんすよ
  
  ・
  ・
  ・
    
 たぶん「定着しないこと」請け合いです。
    
 うちの会社は「ヤフー」じゃねー(爆)
(ヤフーの皆様、すみません。ペコリ)
    
  ▼
  
 今日は1on1導入に関することを書きました。
   
 あなたの会社では、1on1は定着していますか?
 1on1定着の障害になっている理由は何ですか?

 そして人生はつづく
  
 ーーー

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昨日の日経新聞・朝刊12ページに「大学教育と職業」について寄稿させていただきました。立教大学経営学部のビジネスリーダーシッププログラム、立教大学大学院リーダーシップ開発コースの試みも紹介させていただいております。ご笑覧くださいませ! 教育機関と職業生活のトランジションをいかに円滑にするか・・・「段差2」との闘いです。
  
※この原稿は7月のまだ暑い時期に書かれました。もう秋ですね。掲載されてホッとしています。編集委員の横山さんにはお世話になりました。ありがとうございました。
 
大学教育と職業生活 広がる「段差」、実践で是正(有料記事)
立教大学教授 中原淳氏 課題解決力が重要/議論だけでは不十分
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO50093290R20C19A9CK8000/
  
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