NAKAHARA-LAB.net

2018.10.23 06:55/ Jun

「学生 vs 社会人」の境界をぶっ壊せ!:「未来の学びの場」がこうなればいいのに!?

 「学生」と「社会人」が渾然一体となって「学ぶ場」ができたらいいのに・・・
  
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   ・
  
 最近、そんなことを本気で考えます。
  
「ここは学生が学ぶ場」「あちらは社会人が学ぶ場」という風に、それぞれの学びの場が「別れて」いるのではなく、もう、双方が渾然一体となっている。そんな「学びの場」ができたら、きっと、双方にとってメリットがあるのにな、と思うのです。
これは分野によるのかも知れませんが、僕が担当する「人材マネジメント・人材開発・組織開発」あたりについて学ぶ場であると、本当にそう思います。
  
  ▼
  
 そう思うのは、「理由」があってのことです。
  
 実は、ことし、僕が担当している、いくつかの「社会人の学びの場」に、「志と希望を自らもっている学生」に「オブザーバ」として参加を許しています。「強制」ではありません。あくまで「自主的な参加」です。
  
具体的には、慶應丸の内シティキャンパスで実施している授業「ラーニングイノベーション論」や、パーソル総研さんが実施なさり、わたしも監修・登壇させていただいている「HRリーダーズフォーラム」などです(学生のオブザーバ参加をご許可いただき、ありがとうございます!)。
  
ラーニングイノベーション論
https://www.keiomcc.com/program/lin18a/
  
HRリーダーズフォーラム
https://rc.persol-group.co.jp/hrlf/
  
学生は「オブザーバ参加」と書きましたが、基本的には、参加者と同じです。様々なワーク、グループでのディスカッションにも、社会人と同じように参加を求めています。
     
 そうしますと、結構、興味深いことが起こります。
    
 学生は、いわゆる大学で学んでいることが、実社会で、どのような課題にリンクしているか、がわかります。また、現場の人々の悩みや、問題をビビットに感じることができます。
 あんまり言うと「調子こき太郎」や「お調子姫」を生み出してしまうので何なのですが(笑)、彼らの中には、「大学の中」だけで学ぶ学生に比べて、ぐんぐんと問題意識が成長していっているひともいます。
      
 社会人とともに学ぶことにおいて、学生にとっては、デメリットはありません。
 いいえ、学生にとっては、メリットだらけです。
   
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 反対に、社会人はどうでしょうか。
 僕は、社会人の皆さんにとっても、メリットが起こるような気がしています(受け入れてくださって本当にありがとうございいます。学生がよく学べているのは、社会人の皆さんが快く、かつ、温かく迎えてくださっているからです。心より感謝をいたします)。
  
 今のところ、僕が、「学生が参加すること」に関して、彼らからもっともかけられた言葉は、
  
「最近の学生は、優秀ですね。こちらも、背筋が伸びますよ」
  
 というものです。
  
 もちろん、この中には、たぶんに「お世辞」も含まれているので、これらを額面通りに受け取ることはできないのですが、学生の学びを彼らが見ていて、刺激を感じることも多いようです。
  
 せんだっては、ある方から、こんなお褒めをいただきました。
  
「XXは、優秀だ。あいつは、議論から、逃げない。知識の面では、そりゃ、差はある。だけど、XXは、社会人から、逃げずに、向き合っている。こっち(社会人)もシャンとしないとならない」
  
 なんだか、教員として、とても嬉しくなりました。
 ありがとうございます。
  
 少なくとも現段階にいたっては、社会人においても、メリットが目につきます。
  
  ▼
  
 今日は、「学生」と「社会人」が渾然一体となって「学ぶ場」ができたらいいのに・・・という僕の妄想を書きました。 
  
「ここは学生、あそこは社会人」という学びの場ではなく、彼らが渾然一体として、それぞれの経験をリスペクトしながら学び逢うことができる場・・・そういうものをつくることが、僕の次の挑戦なのかもしれないな、と思い始めています。
  
 もしかすると、僕は、「学生 vs 社会人」という境界さえ「無化」したいのかもしれません。
 仕事をしたことのあるひとも、そうでないひとも、肩を並べて、学べばいいじゃないか。そう思っているのかも知れません。
  
 具体的に、何を、どうする?
 いや、それは今後のお楽しみに(笑)
  
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