NAKAHARA-LAB.net

2018.7.27 06:33/ Jun

今のあなたは「自分を知りたい」ですか? かつてのあなたは「自分を掘り下げて」みたかったですか?

「自分のこと、めっちゃ、知りたいんです」
「自分のことを、掘り下げてみたいです」
    
  ・
  ・
  ・
    
 立教経営に着任して3ヶ月がたち、春学期の授業をほぼ終え、さまざまなことを振り返ります。
「違和感ノート(新しい組織に入ったときに、違和感を記録しておくノートのことです)」を見返してみると、あるわ、あるわ。着任後の僕が感じていた違和感が50項目ぐらい書き付けられています。
  
新入生や新入社員におすすめしたい「違和感ノート」!? : フィールドワーカーになったつもりで「違和感」を笑い飛ばそう!
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/8750
  
 しかし、当初の僕の予想通り、当時感じていた「違和感」の多くは、もうすでに今の僕にとっては「違和感」ではない。今となっては「そんなこと、毎日のことやがな」という気すらしてきます。それは、僕が新しい職場に慣れ、この組織の人になっていることの証左なのかもしれません。
  
 ▼
  
 ところで、「違和感ノート」を振り返ってみて、その記述のなかで、とりわけ目をひいたのが
  
 学生は、みんな「自分が知りたい」という
 学生は、自分に「興味をもっている」
  
 という「違和感」です。当初の僕は、これがとてつもなく不思議だったことを記憶しています(今でもその意味は咀嚼できていません)。もちろん、「いい悪いの問題」ではありません。「自分が知りたい」「自分に興味があること」、すなわち探究課題があることは、とてもよいことだと思います。思う存分、分析みればよろしいと思います。
  
 学生さんたちと話していると、ときおり、冒頭のような台詞がでてきます。
  
「自分のこと、めっちゃ、知りたいんです」
「自分のことを、掘り下げてみたいです」
  
 そういうときの学生さんは、とても目がきらきらしていて、僕には眩しすぎる(笑)
  
「目が、目が~!」
  
 という感じで、ムスカ的に椅子から落下しそうです。
  
 でも、それだけ目をキラキラさせているんだから、きっと本心なんだろうな、と思うのです。
 わかったよ・・・「自分が知りたい」んだよね。
  
 ただね・・・僕には、この課題に、直接アドバイスするのが難しそうです。といいますのは、僕自身の学生の頃、自分が「自分のことを知りたかったか」「自分のことを掘り下げたかったか」というと、僕自身は、まったく記憶がないのです。むしろ、僕は「社会のこと」が知りたかったから。
  
 43になる今ではどうか、というと、
   
 自分のことを知りたい、と思うことはない。
 知りたいのかも知れないけれど、生活に追われすぎていて、認識できていない(泣)
   
 ただ、確実に知りたいなと思うのは
    
 近い将来、社会はどう変わるのか?
 もし変わるなら、自分は、そのなかで、何がしたいのか?
    
 です。

 くどいようですが、いい悪いではないのです。「自分が知りたい」のなら、思う存分、探究してもいいと思う。そのための学生時代なんだし、そのための時間なんだから。
  
 ただ、僕自身はどうだったのかを考えてみれば、僕は「自分の外部」のことばかり考え、分析していたような気がする。
 小生は、いわゆる「社会派」?(意味が違う)なんでしょうか。
 あと、セルフリフレクションが「絶望的」に足りてない、とも言えるのかも知れない(泣)。
  
 あべし
  
 ちなみに・・・学生さんたちには、こんな風にアドバイスをすることにします。
  
「じゃあ、自分を分析するようなエクササイズは、たくさん、人材開発の世界にはあるから、それ、ちょっとやってみようか?」
  
  ▼
  
 今日は「学生さんは、みな、自分が知りたい」という、という話題でした。
  
 このことの意味は、僕にとって、まだオチがついていないので、この話もオチがありません。来週あたりから、京都大学の溝上慎一先生(青年心理学)と一週間くらい御一緒するので、ちょっとご講義をうかがってみようかなと思っております。
  
「ははーん、、、中原君、それはな、あれやで・・・・」
  
 とかいいながら、教えてくれそう。
  
 皆さんは学生の頃、「自分を知りたい」と思いましたか?
 皆さんは、今、「自分を掘り下げたい」ですか?
  
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
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