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2017.9.28 06:15/ Jun

「新卒化」していく中途採用社員のイマドキ採用事情!?:オッサン変われば、日本も変わる!?

 中途採用社員は、ただちに「即戦力」になるわけではない
  
 前任の企業で培われた「知識・スキル」が、
 そのまま他の企業で「転用」できるわけではない
   
 中途採用社員が力量を発揮するためには、
「上司や職場からのサポート」が必要である
    
   ・
   ・
   ・
   
 これは僕が、5年前「経営学習論ー人材育成を科学する」という著書の中で、論じたものです。中途採用研究は、当時、それほど数が多くなく、一揃いの論考としてはわりと珍しいものであった、と記憶しています。
  

  
 最近、いろいろな場所で、「中途採用」の話題を聞くことが多くなってきました。
「超人手不足」の影響もあるのでしょう。中途採用市場ににわかに活況を帯びており、人の流動性が上がってきている印象を持ちます。
  
 しかし、中途採用社員をノンサポートで「即戦力」にしていくのは、難しいものです。中途採用社員だって、それなりに組織からのサポートがかかるものです。最近おこっている新しい動きとしては、下記のようなものがあるようです。
  
1.中途採用社員であっても、「業務経験の有無」を問わず、新卒社員と同じように「ポテンシャル採用」している事例
 =人手不足なので「業務経験の有無」を問うてもいられないのは事実
 =しかし「業務経験の有無」を問うたところで、ただちに使えるわけではない
 =ならば「育成」を行うことに「腹をきめて」、組織に順応しやすいかどうか、というポテンシャルで判断してしまう
  
2.中途採用社員であっても「即戦力」とみなさず、新卒社員並とは言わないまでもしっかりとした社員教育(研修・OJT)を行う事例
 =中途採用社員を「即戦力」というラベルでとらえてしまうと、「経営学習論」で論じたように、中途採用社員に職場メンバーが声をかけにくく、さらには、中途採用社員の側も「ヘルプ」がだせなくなる。
 =中途採用社員にも新卒までとはいかないまでも、研修やOJT機会が必要である
  
 さらに興味深い事例としては、「森下仁丹」さんの「第四新卒」の事例があります。
 これは中途採用社員を「第四の新卒」とみなし、さらにはその経験を「会社の組織変革」「事業の活性化」にまで高めていこうという試みかと思います。
  
森下仁丹 第四新卒
http://www.jintan.co.jp/corp/recruit/daiyonshinsotsu/
  
 オッサンも変わる。
 日本も変わる。
  
 というコピーはまことに鮮烈ですね。
  

  
 オッサンも変わる。
 日本も変わる。
 そうだと思うわ(笑)。
 
 ▼
   
 今日は中途採用社員のお話をしました。

 パーソル総合研究所さんが昨年だした未来の労働推計によりますと、このままいけば、2025年には583万人の人手不足が生じるのだといいます。
  
労働市場の未来推計
http://rc.persol-group.co.jp/roudou2025/
  
 最近は、人手不足で「事業拡大」ができないばかりか、「倒産」にまで追い込まれるケースが増えてきているのだといいます。「人」をめぐる戦いが、ますます熾烈になりそうです。
  
 そして人生はつづく
  
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