NAKAHARA-LAB.net

2017.9.26 06:41/ Jun

僕らが「100%全力」で働いちゃいけない理由!?:「100%の内訳」を見直す知性とは何か?

  今の時代は「100%全力」で働いちゃいけない
  
  できれば「20%」を残す。難しければ「5%」でもいい。
 「100%」を使い切らず、余力を残した方がいい
   
  なぜなら、全力で走ると「学びなおす時間」がなくなるから。
  「新しいことをやる余裕」がなくなるから
   
  「脇目」もふらず、全速力では、むしろ危険だ。
  「脇目」はふったほうがいい。
   
  100年寿命時代にあっては、その2つを失うと
  途中で「息切れ」して「完走」できないと思うから
    
   ・
   ・
   ・
   ・
   
 先だって、あるビジネスパーソンが、こんなことをおっしゃっていました(お打ち合わせ感謝です!)。
 今年にはいって、中原研では「長時間労働と人材開発」に関するプロジェクトを、パーソル総合研究所さんや横浜市教育委員会さまと行わせていただいており、それらの研究の背後仮説には、
  
 長時間労働の最大の問題は「外部環境の変化に従い、学び直すことができなくなること」
 そのことが「仕事人生の長期化」を疎外し、さらには「組織へのぶらさがり」を生み出しやすいこと
  
 をゆるやかに掲げています。
  
「希望の残業学プロジェクト」+「子どもと向き合う時間づくりプロジェクト」
http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/8010
  
(希望の残業学は、パーソル総合研究所の小林祐児さん、青山茜さん、田井千晶さん、中原で推進しています。横浜市教育委員会のプロジェクトは、横浜市教育委員会・教職員育成課から立田順一さん、柳澤尚利さん、外山英理さん、根本勝弘さん、松原雅俊さん、東大側は辻和洋さん、町支大介さん、飯村春薫さん、中原で実行しています。お疲れさまです)
  
 先のビジネスパーソンのお言葉は、「全力で働くこと=長時間労働」と置き換えることが許されるのなら、この背後仮説にも通底するところがあり、非常に印象深いものでした。
 もちろん、100%で働くのか、そうでないかは、個人の自由です。

 ただ、この方は、わたしたちの仕事人生が長期化することを鑑みて、学び直すことや新しいことをなすことに時間を少しかけてみてはどうか、と提案してくださいました。

 現場の方々のお言葉は、いつだって、キラキラとしていて、しかも、生々しく、ハッとさせられるものがあります。ありがとうございます。
  
  ▼
   
 100%全力をだしてはいけない
  
 このメッセージは、決して「手を抜け」と言っているわけではありません。
 なぜなら、「20%」や「5%」のあいた時間は、漫画喫茶で過ごすのでは「なく」、「学び直すため」「新しいことをやる」ために使われるものだと主張なさっているからです。

 要するに、結局「100%」で働くのです。
  
 しかし、こうした考えに対して、わたしたちは、子どもの頃から、
    
「ただただ、全力を尽くしなさい」
「ただただ、ベストをつくしなさい」
「ただただ、がむしゃらにやりなさい」
  
 と言われて育つところも少なくないのかなと思います。
 ひとつのことに「ただただ」「全力」「100%の労力」を尽くし、それを全うすることがよしとされる傾向があるのです。もちろん、部活動やクラブなど、一時期、それに打ち込むことは大切なことなのでしょう。
  
 しかし、今の時代、変化の激しい時代にあって「働くこと」を考える際には、
  
 「全力」や「100%」の「内訳」考えてみる
  
 ことも大切なことなのかな、と思います。

 もちろん、いくつか留意しなくてはならないポイントがあります。
 第一に、最後の最後、どのように「働くか」は、個人の勝手です。自分で好きに決めればいい。ただ、先のお言葉は、こうした時代にあっては、その「内訳」を考えることも大切なのかな、という問題提起である、ということです。
 第二に、経験の浅い頃などは「100%全力」で働いても、まだまだ経験が蓄積されないこともあるでしょう。「脇目」をふったり、余力を残すことができるのは、ご本人が自分の仕事で十分「成長してから」のことでしょう。

 しかし、それらを差し引いたとしても、この問題提起は興味深いものです。  
 将来の自分のために、5%は「学び直し」に使おう。
 新しいことにチャレンジするために「10%」を使おう。
 今後の仕事人には、そうした「100%全力の内訳を考える知性」が必要なことなのかもしれません。これは自戒をこめて申し上げます。
  
 皆さんは、今、100%フルスロットルで爆走していますか?
 今のあなたには、5%の余力はありますか?
 それで、あなたは100年寿命時代を「完走」できますか?

 そして人生はつづく

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