NAKAHARA-LAB.net

2017.7.24 06:01/ Jun

「短くしてね、でも質は保ってね」に応える!?「人材開発の新たな挑戦」

 人材開発の世界に「働き方改革の影響」が、徐々に現れている気がします。
  
 長時間労働の是正
 様々な事情にあわせた多様な働き方を推進する動き
  
 そのような事柄を背景にしながら、「人材開発を行う時間の削減と質保証」が、同時に求められているような気がします。
  
 1.人材開発を行う時間を減らしてくださいね、見直してね
 2.でも、質は保ってね
  
 というのは、かなりの「無理ゲー」であり「無茶ブリ」です(泣)。
 実際は、かなり難しい。でも、これを「無理ゲーですね」と言って切り捨ててしまっては、そこで話は終わり。安西先生ならば「試合終了ですよ」と言ったでしょう。
  
 実際、こうした動きは否応なく進行しているような気がします。これまで2日で実施していた研修が1日になったり、研修内容が見直されたり。そのような動きを、ひしひしと感じます。
  
 そのような時間数削減と質保証の動きのなかで、これら2つを、何とかかんとか、両立させることをめざすための手段として用いられ始めているのが「デジタルメディア」です。
  
 スカイプなどを用いた研修の全国への配信・中継
 テレカンを使った1ON1ミーティング
 オンデマンドビデオを使った事前学習
  
 など、今、様々な場所で「デジタルメディアを活用した人材開発の取り組み」が試みられているような気がします。
  
 実際、僕も、ちょっと前のことになりますが、この一部を経験しました。先だって体験したのは、東京にいる80名の方への研修が、日本全国の22支店に中継され、合計500名の方々が受講してくださった、という経験です。
  
 こうした経験は、これまで10回ほどしてきています。1回に関しては効果測定も行っていただきました。
 1度行った効果測定の結果では、「対面で受講した群」と「テレビ会議で受講した群」の満足度はともに高く、統計的有意な差は認められませんでした。技術の進歩はすさまじいものですね。
  
 個人的な印象としては、下記の5点があるならば、デジタルメディアを用いた地域分散研修は、さらに「一般化」していくような気がしています。
  
1.接続試験
 事前準備として、十分かつ入念な接続試験を行うこと。特に、地域から講師への質問が寄せられたときに、音声がしっかりとおるようにしておくこと
  
2.ファシリテータの用意
 各支店には最低1名、研修内容を理解し、ファシリテーションを行える人材を用意し、事前にオンラインなどで内容や段取りを打ち合わせしておけること
  

3.双方向性の確保
 各支店には、研修参加者の名簿を事前に講師に提供してもらい、インタラクティブに指名・発問が行えるようにしておくこと
  
4.トラブル対応
 万が一のトラブル時の対応を決めておくこと。せめて、音声だけでも受講できるように「別のシステム」やスマートフォンなどを確保しておくこと
  
5.評価の準備
 新たな試みは評価の目にさらされることが多いものです。「対面で受講した群」と「テレビ会議で受講した群」の比較が行えるとよいと思います。
  
 などでしょうか。
 皆さんのご意見はいかがでしょうか?
  
   ▼
  
 今日は「働き方改革」をコンテキストにした、今後の人材開発を予想(妄想)しました。
 今後5年ー10年をとおして、この業界の受講や学習のあり方は大きく変わってくるような気がします。
 受験勉強の世界は、もはや、タブレット、オンデマンド、ネット中継があたりまえです。誰も、そうしたデジタルメディアが「特別のこと」だとは、意識しません。
 もちろん、受験勉強と人材開発を同値に扱うことはできませんが、いったん動き出した変化は早いものです。
  
 このような時代にあっては「人材開発の提供側のあり方ー講師側」にも、変化が生まれる気がします。
  
 講師側としては、個人的には、2つの方向性がありうるのでしょうか。
  
 ひとつは「デジタルにつきあう方向」です。
 空間を超えても人々を対話させることのできる「デジタルファシリテーション術」とか、オンデマンドビデオをちゃちゃっとつくってアップロードするデジタルリテラシーを高めていくことが、選択肢のひとつです。
  
 もうひとつの選択肢は「アナログにつきあう方向」です。
 デジタルやオンラインでは、決して出せないような学習効果、アナログでフェイストゥフェイスの環境だからこそ出せる学習効果に、徹底的にこだわっていく方向です。
  
 皆さんはいかが思われますか?
   
 梅雨明けで暑い日が続くのでしょうか?
 今週も頑張りましょう!
  
 そして人生はつづく
  
 ーーー
  
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