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2017.5.23 06:49/ Jun

あったら怖い!?「謝罪のテレビ会議」!?

 ビジネスのシーンでも、アカデミックな研究の現場でも、昨今「テレビ会議(テレカン)」を用いることが多くなってきました
 先だって某所にて、ヤフー株式会社の本間さん、パーソル総研の渋谷さん、マクロミルの湯浅さんと、「テレビ会議」について雑談をしていたときのことです。
  
 これだけ、世の中にテレビ会議が普及してくると、
  
 何を「テレビ会議」にするか、どのような会合ならば「リアルな会議」にするか?
  
 が非常に興味深い研究テーマになりますね、という話で盛り上がりました。
  
 すぐに思いつくのは、「情報を一方向的に伝達する」だけなら「テレビ会議で十分ではないか」、ということです。わざわざ時間をかけて「リアルな会議」をひらかなくても、「情報を伝達する」だけの目的ならば、テレビ会議でもいけそうな気もしますし、もっと踏み込むならば、「オンデマンドの映像」でもOKのようにも思えます。

 まぁ、「テクノロジカルには一方向的に情報を伝達」できている気になっていても、「テレビ会議やオンデマンド映像は、内職率が高い」ことも予想されますので、それがどの程度、学習されているかは意見のわかれるところです。
  
  ▼
  
 しかし、「情報伝達=デジタル」という風にも簡単に割り切れないのも、また事実です。
 たとえば多くの人事部では「人事制度の説明」というのを現場で行わなくてはならない場合もございますが、
  
 「現場での人事制度説明」をテレカンで行うか?
  
 というと、やはり慎重になってしまうところもあるようです。
  
 「相手に誤解が生じそうなものは、単なる情報伝達であっても逢って伝える」
 「大切なものは口で伝える」
  
 ということがありえるのかな、と議論していました。
  
 また、「テレビ会議」が普及した今だからこそ、「リアルで逢うこと」の意味や価値が高まっている、ということもいえそうです。たとえば、営業マンなどが、地方への出張を控え、テレビ会議で済ませてしまうことが増えていますが、そんな時代だからこそ、
  
「営業マンのBさんは、新幹線に乗って、実際に逢いにきてくれる」
  
 という価値が生まれるのかもしれない、と話になっていました。
 要するに「何をやりとりするか」が問題ではなく、「会いに来てくれるかどうか」が価値をもつということです。
  
  ▼
  
 今日は、「わたしたちは、何をテレビ会議でよくて、何をリアルな会議でよい」と思うのかについてお話をしていました。
  
 還元するならば、
  
 わたしたちは「テレビ会議」にどのような社会的意味づけを行っているのか? リアルな会議に、どのような意味づけを行っているのか、ということになります。
  
 最後に、全員が同意し、絶対に「リアル」の方がよいと思うものがありましたので、ご紹介させていただきます。
  
 「謝罪」のテレビ会議
 「御礼」のテレビ会議
 「異動のご挨拶」のテレビ会議
  
 これは、テレビ会議に向かないし、むしろ、これをやるくらいなら、やらないほうがまし(?)という感じがいたしますが、いかがでしょうか?
  
 そして人生はつづく
  
 ーーー
  
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