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2016.9.28 07:01/ Jun

「週1日だけ、別の仕事をしてよい」と言われたら、あなたは何をしますか?

「育児は仕事の役に立つ!」
  
 現在、取り組んでいる書籍(新書)の一冊に、研究室OGの浜屋祐子さんとの、こんなタイトルの共著があります。
 なかなかセンセーショナルなタイトルですが、こちらは浜屋さんが、大学院修士課程で行った研究をベースにした本です。
  
 浜屋さんが修士論文で明らかにしたのは、
  
 共働き正社員の協同連携型育児が
 リーダーシップ行動の変化に与える影響の考察
  
 この論文では、
   
 1.共働き正社員の方々が、
 2.どのような育児を行えば
 3.仕事の行動にどのような変化をもたらされるか
  
 を実証的に考察しました。

 専門用語としては、仕事と生活の「ワークライフエンリッチメント」、ないしは「生活から仕事へのポジティブスピルオーバー」を研究した論文ということになります。
  
 こちらをふまえ、浜屋・中原が共著者になり、自らの育児体験を踏まえて「育児」と「仕事」の関係を考える本が、「育児は仕事の役に立つ!」です。
 実際の修士論文は「人材開発研究大全」(東京大学出版会)にも収録される予定ですので、学術的にはそちらをご参照下さい。
   
 刊行にあたっては、光文社の編集者の樋口健さん、ライターの井上佐保子さんにお世話になりながら、毎回明るく楽しく、ときどき(いや、かなり)脱線しながら打ち合わせをしております。
   
 樋口さん、井上さん、浜屋さん、僕も、お子さんがいらっしゃいます。
 それぞれのお子さまは年齢こそ違うものの、そのときどきの育児の苦労などを振り返りながら、「働くとはなにか?」「育児とはなにか?」を考えています。
  
 もしかすると、この執筆プロセスは、親同士のふりかえりの機会でもあるのかもしれません。
  
  ▼
   
 せんだっての打ち合わせでは、終章で論じる「これからの人材マネジメント」に関連した内容で、こんな話題がもりあがりました。
 
 ちょっと話は育児からは飛びますが、昨今、人事業界で広がる兼業、副業解禁のながれに関連して、僕が、こんな問いを皆さんに投げかけたのです。
  
 

もし、今、仮に、週5日のうち1日だけ、自分で、別の好きな仕事を選んでやっていい、と言われたら、いったい、どんな仕事をしてみたいですか?

  
 皆さんの答えはプライバシーもある?ので、ここで公開を差し控えるとして、この問いに対する僕の答えは、
  
 「翼の王国」に乗るような、かっこいい旅の記事を書いてみたい!
  
 でした(笑)。
  
 「翼の王国」は言うまでもなくANAの機内誌です。
    
 かっこいい写真に、流麗な文章。
 小生、どこかで旅行記事、旅行レポートのライターに憧れているところがあり、飛行機にのるたびに、「いいなー、いつか書いてみたいなー」と思っているのです。
 
  ▼
  
 ところで、先ほどの問い
      

もし仮に週5日のうち1日だけ、自分で、別の好きな仕事を選んでいい、と言われたら、今のあなたなら何をしますか?

   
 は、なかなか興味深いものです。
   
 兼業、副業解禁?のながれの中でも、この問いに全く答えられない人もいるでしょう。
    
「ひとつの組織のなかで、週5日はたらくのが当然であって、それ以外のことなんか、考えたことすらない」
   
 というような方。いわゆる組織キャリア、組織人をまっとうなさっている方です。
   
 もしかすると、どれだけスラスラとこの問いに答えられるかは、ひとのエンプロイヤビリティや、キャリアの考え方によって違ってくることが予想されます。
   
  ▼
  
 また興味深いのは、だいたい、ここであげた「週1日だけでやりたい仕事」は、やろうと思えばできてしまうものも多いものです。

 本気の本気でやろうと思えば、さまざまなツテを使って、なんとかできないわけではない?
  
 たとえば、樋口さんは
  
 靴の修理の仕事をしてみたい! 
  
 とおっしゃっていましたが(ごめん、いっちゃった!)、これなんかは、やろうと思えば、できる。駅前にほんの小さなスペースを借りて修理をしようと本気で思えば、靴の修理技術を学び、できないわけではない。
  
 僕の「翼の王国」ができるかどうかは、わかりませんが、何となくできそうな気もする。
 ちいさなツテをたよっていけば、ほんの囲みのコラム?くらいはかかせてくれるかも?しれない。
    
 要するに、
  
 兼業や副業なんて、やろうとするか、しないか
    
 なのです。
   
 その気になれば、兼業や副業、想像力の及ぶ、すぐ先にあるもの
   
 なのです。
    
  ▼
   
 今日は、現在書いている本の話題から、兼業・副業のはなしにぶっとびました。このぶっとび方が、なかなか、この本のチームらしいな、と思います。
   
 書籍「育児は仕事の役に立つ!」は、現在、急ピッチで作業をすすめており、おそらく年度内には書店にならぶものと思われます。その日がとても楽しみです。
  
 ところで、皆さんにも問いのおすそわけ!
 兼業、副業、みなさんだったらどうですか?
   

もし仮に週5日のうち1日だけ、自分で、別の好きな仕事を選んでいい、と言われたら、今のあなたなら何をしますか?

   
 週1日、あなたは、どんな別の仕事人生を生きていきたいですか?
  
 そして人生はつづく

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