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2022.2.16 07:59/ Jun

新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」が本日刊行されます!:人と組織の知恵を活かして「もったいないM&A」を根絶する!


   
 人と組織の問題に苦しみ、成果があげられない「もったいないM&A」を根絶する!
  
 M&Aという領域に、人材開発・組織開発の知を活かして、貢献する
  
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 新刊「M&A後の組織・職場づくり入門」が、いよいよ本日、2月16日に発売になります。
   

購入はこちら!「M&A後の組織・職場づくり入門」
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 本書は、大学院ゼミのOBの斉藤光弘さんがメイン編者をつとめ、中原も編者に加わりつつ、中原研究室(博士課程)・ミミグリの東南裕美さん、元・学部中原ゼミ生・サイバーエージェントの柴井伶太さん、公的機関でご活躍の佐藤聖さんが著者をつとめました(研究室、ゼミ生の若い皆さんと、ともに執筆にあたれたのは、教員としては、嬉しいことです。彼らのキャリアを応援できるのだとしたら、素敵なことです)。
 編集はダイヤモンドの小川敦さん、装丁は、萩原弦一郎さん、構成は井上佐保子さんにご担当いただきました。本当にありがとうございました。
   
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 本書では、これまで税務・アカウンティングの問題とされがちだったM&A(企業合併)の問題を、まったく異なるレンズから眺めます。それが「ひとと組織」の観点です。人と組織の知恵を活かし、どのようなマネジメントを行えば、「もったいないM&A」がなくなるのかを論じています。
   

   
 その際の根拠になっているのが、データです。M&Aを経験した315名の方への定量調査と、10社超の方々へのインタビュー調査からの分析を基に、具体的・実践的に、何を為せばいいのかを論じています。
(質問紙調査にお答えいただいた方々、個別のお名前はだすことはできませんが、ヒアリング調査にご協力いただいたすべての皆様に、この場を借りて御礼を申し上げます)
   

     
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 データはまことに多彩です。
  
 まず、M&Aは、従業員にとって「巻き込まれ事故」のように突然はじまりますが、しかし、「同じ経験」ではありません。つまり、M&Aは「生きられた経験」が、ひとによって異なるのです
  
 勤続年数や、職位など「どの位置」にたっているのかによって、多くの従業員にとって、M&Aの見え方は「まったく異なる」のです。すなわち、従業員を十把一絡げにはできません。まずはM&Aを「どのように受け取るのか」というところからデータで解き明かしていきます。
  

  
 そのうえで、スムーズにM&Aを進めていくためには、経営陣、人事、経営企画、現場の管理職、リーダーが、組織統合への努力や働きかけを積極的に行わなくてはなりません。
 

  
 必要に応じては、組織内の、管理職同士、また、部門内で対話をすすめていくことも、重要なことです。こうした組織開発の知恵を生かしていくところも、本ションの特徴です。
  

  
 また本書のコラムの一部には、学部中原ゼミのメンバーだった佐藤聖さん、柴井伶太さんの卒業論文「日本企業の従業員による M&A の統合プロセスにおけるセンスメイキング」(立教大学経営学部 中原ゼミナール 卒業論文)の知見も収録されています。M&Aのプロセスにおいて、従業員たちは、どのように納得していくのかについて学ぶこともできます。
  
  
  
 本書のいたるところには、ひとと組織の豆知識も掲載させていただきました。
  
 M&Aというと、これまで専門家の方や、トップ・マネジメント、経営企画等の一部の投資担当者向けの書籍が多かったように思います。本書は、経営陣や投資担当者だけでなく、M&Aの影響を最前線で受ける現場マネジャーの皆さんや、人事担当者の方にも読んでいただけるように留意しました。
  

  
 なお、M&Aの最前線で仕事をなさっている実践者の方々にも対談をさせていただきました。
  
 楽天グループのM&Aを人や組織文化の面から支える
 楽天ピープル&カルチャー研究所 日高達生さん、杉原祐紀さん
  
 M&Aの世界を牽引なさってきた
 明治大学グローバル・ビジネス研究科 専任教授 / 岡&カンパニー 岡俊子さん
  
 など、M&Aの実務にまつわる多様な語りも満載です(ご協力いただき心より感謝です)。下記は、本書の内容です。
  

   
 なお、本書の記述は、M&Aを経験した2つの会社の「架空のストーリー」で進行します。M&Aの本というと、どこか難しいイメージありますよね。でも、本書は、ストーリー仕立てになっているので、非常に学びやすいかたちになっております。どうぞご笑覧くださいませ。
   

   
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 今回の書籍、個人的には、人材開発・組織開発の新たな貢献先を「開拓(フロンティア)」する思いで取り組みました。また、これまで様々な企業の皆さんとかかわるなかで、「企業合併」の問題で苦しまれている組織が多いことも気になっていました。
  
 ようやく2年半にわたる研究、執筆にケリをつけることができました。今回も素晴らしい仲間と完走できたことを非常に嬉しく思います。
  
 どうぞご笑覧くださいませ!
  

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 そして人生はつづく

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