2020.11.11 08:02/ Jun
シャバの世界には「ひとの能力や資質を測る物差し=基準」がたくさんあるように思います。
歌がうまい、うまくない
スポーツが得意、得意ではない
お金がある、ない
絵がうまい、いまいち
健康である、健康でない
人に好かれる、好かれない
雑学がある、そうではない
研究ができる、できない
仕事ができる、できない
忍耐力がある、ない
人情がある、ない
部下に慕われている、そうではない
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しかし、子どもの時分、とりわけ思春期、具体的に中高生というものは、極めて限られた「単一の物差し」の錯覚に苦しめられ、今を生きているような気がします。もちろん、これは子どもが悪いわけではありません。社会には、そうした学校的価値観が蔓延している。
偏差値が高い、低い
内申点が高い、低い
テストの点数が高いか、そうでないか
要するに「学力」という極めて「単一の物差し」ではかられ、それによって「序列化」されているような感覚を持っている子どもが多い印象があります。
自分の子どもの様子をうかがっていても、そう思いますし、学生たちと接していても、そう思ってしまう瞬間があります。
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そして、この「単一の物差しによって評価されている」という感覚が、子どもたちの「自己効力感」を下げ、様々な「息苦しさ」を生んでいる気がするのです。
一方向にしか伸びていない「単一の物差し」の末端から、もうひとつの末端の「どこに」自分が位置付けられているのか、で「すべての人間の価値が決まる」とされ、その立ち位置がいったん決まりかけると、なかなか、そこから移動することが難しい、とすれば、あとに残るのは「諦観」です。
これはわたしの仮説的妄想でしかございませんが、
わたしなんか・・・取るに足らない人間だ
わたしなんか・・・さしてできることもない
という自己効力感の低さは、この「単一の物差し」がつくりだしているような気がします。もちろん、これは検証されている事実ではありません。今の所は僕の仮説、いわゆる妄想(笑)。
すなわち、子どもたちは、
1.まず自分と他者を比較する「単一の物差し」を「妄想」します
2.1でつくった「物差し」をもとに、自分と他者を比較評価して、自分は「とるにたらない」と勝手に思い込みます。
3.勝手に想定した「物差し」が、社会全般に通用するものであるかのように錯覚し、自己肯定感を低下させ、勝手に自分の将来を「呪縛」してしまうのです
やれやれ・・・とほほ。
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これに対して、おそらく、シャバの世界というものは、より人間の評価が「多元的」です。
いわゆる標準化テストで測られるような「学力が高い、低い」ももちろん大事な指標であるけれど、それに加えて「複数の物差し」がある。つまり、シャバの世界は「物差しが複数ある」のです。
どんなに頭がよくても、人に好かれなければ、営業の仕事はつとまりません
ここでは「人に好かれること、好かれないこと」という基準が大事になります
どんなに頭がよくても、体力がなければ、つとまらない仕事もあります
ここでは「健康であること」「体力があること」という基準が大事になります
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もう今から40年前くらい前でしょうか・・・いにしえの理論に、ハーバード大学のハワード・ガードナーが主張した「多元的知能論」というものがございました。
端的に申し上げますと、ガードナーが主張したのは「知能は単一で図ることはできないこと、それは複数存在すること」です。
ガードナーの主張した「多元的知能」とは8つあります。すなわち「音楽・リズム知能」「論理・数学知能」「対人知能」「博物的知能」「視覚空間知能」「内政知能」「言語語学知能」「身体運動感覚知能」・・・。
標準化テストで測定できる「単一の物差し」で知能をとらえるのではなく、より「多元的なもの」として把握していくことを彼は主張しました。
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「単一の物差し」に自分を「あてはめ」、自己効力を下げている子どもと接するたびに、僕は思ってしまいます。
ああ、世の中には「物差し」はたくさんあるのにな・・・。
「単一の物差し」なんて「幻想」みたいなものにな・・・。
もちろん、これは子どもが悪いわけではなく、そういう「単一の物差し」をあてはめる社会の仕組みの問題だと思いますが。。。
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くどいようですが、世の中には「物差し」はたくさんあります。
そして「学校的価値観の支配する世界」から「仕事領域」へのトランジションを果たすということは「単一の物差し」から「物差し複数社会」に移行することをも意味します。
大丈夫。
あなたにあった「物差し」は、どこに存在するから。
そして人生はつづく
追伸.
ちなみに「研究者としてやっていける、いけない」というものは、学力も関係しますが、それだけではない、と僕は思います。学力がいくらあっても、自分で課題設定できない、じっくり執念をもって探求できないひとは、少なくありません。
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