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2020.6.17 08:08/ Jun

今年の新入社員は「例年との比較」と「ふつうがズレてること」にモヤモヤしている!? : ニッポンの新人研修をアップデートせよ!

 今年の新入社員を襲うモヤモヤの正体は?
  
 今年の新入社員は、ひとによっては、まだ一度も出社できていない方もいるほど「特異な入社パターン」をしていると思います。
   
 入社式は中止か、リモート。
 続く研修は、自宅待機か、リモート。
 そして、仕事も、リモートがメイン
  
 という方も少なくありません。
 もちろん、どの程度出社できるかどうかは、業種・職種によって大きく違いがあることは言うまでもありませんし、必ずしもオフィスにいったからといって、社会化が進むわけでもないのですが、いずれにしても、前代未聞の状態が続いていることは言うまでもありません。
    
 ▼
  
 最近、新入社員の方と話す機会があって、どんな思いで仕事をしているのかを聞くチャンスがありました。
   
 まぁ元気そうで何より!安心はしましたが、
   
 曰く、
    
 1.「例年と比較される」のが気になる
 2.「以前のふつう」がわからない
 3.「自分は社会人になれているのか」と不安になる
  
 とおっしゃっていたのが非常に印象的でした。
 
 今日は、これについて書いてみましょう。
    
 ▼
  
 1の「例年と比較されるのが気になる」は、今年の新入社員は、ひとによっては「しょっぱなから研修もリモート、仕事もリモート」という特異なパターンに置かれているので、どうしても、組織のなかで「特異な存在」として注目されやすい、ということですね。
    
 とりわけ、今年の新入社員は
    
「今年の新入社員は・・・例年の新入社員と比べて・・・云々かんぬん」
    
 という議論に晒されやすい。
  
 研修でも、職場でも、そのような言葉をよく聞くそうです。この言葉を聞くたびに、「自分はちゃんとやれているのかな」と焦りを感じるそうです。
    
 なかには「例年の新入社員と比べて、自分はイケてない存在なのではないか」と、こうした議論を聞くたびに思ってしまうひともいるのだとか。
  
  ▼
  
 2の「以前のふつうがわからない」は、今年の新入社員のなかで「しょっぱなから研修もリモート、仕事もリモート」の方は、こうした働き方が「ふつう」なので、「コロナ前」の「以前のふつう=以前の働き方」がわからないそうです。
   
 つまり、コロナ前から職場にいたわたしたちにとっては、「コロナ前の働き方」が「ふつう」であって、「今現在」は「特異な働き方のパターン」ですよね。
 しかしながら、新入社員の方にとっては、それが違う。
 彼らは、コロナ前の働き方が「ない」ので、今が「ふつう」。
  
 つまり、「ふつう」がズレている。
  
 この「ふつう」のズレが、職場でのオンライン会議などで気になるそうです。みんなにとって「ふつう」のことが、自分だけは「わからない」。「以前のふつうを、みんな知っていることを前提にして、会議や議論や商談が進む」ので、めちゃくちゃ焦るのだとか。まぁ、たぶん、悪気があってやっていることじゃないんだと思いますけどね。
  
 意外に「ふつう」がズレている
    
  ▼
  
 もうひとつは、1と2の結果、「自分は社会人になれているのかな」とときに不安になることもあるようです。
   
 毎月決まった日にお給料が振り込まれるのは嬉しいんだろうけれども、「これで本当にいいのかな」とついつい不安になる(泣)
    
「ま、もらえるものはもらっときなよ」
「そうですね」
  
 なんていって、明るく別れましたが・・・。
 
  ▼
    
 今日は新入社員の気持ちを書いてみました。もちろんN=2くらいなので、すべてに当てはまるわけではありませんが、そんな気持ちで働いている方も少なくないようです。
  
 100年に1度の災害は、今もとどまることを知らず、おそらくリモート、オンラインでの働き方は、若干の揺り戻しはあるとはいえ、このまま根付いていく企業も少なくない、と思われます。
  
 今年の新入社員は、企業がその準備を完全に行う前に、入社しているところがあります。もちろん、このことは今年の春に中途採用で入社した社員の方にも、ある程度は言えることかもしれません。人事としては、彼らに対するケアや支援は、やはり重要なことのように思います。
   
 そして人生はつづく
  
  ーーー
  
【無料オンラインイベント開催:中原も登壇させていただきます!】
  
 ニッポンの「新入社員研修」をアップデートせよ!
  
 上記のような背景に鑑み、今年、中原はダイヤモンド社さん(永田正樹さん、田村淳一さん、広瀬一輝さん、井上直さん)、ラーニングクリエイト社の鈴木英智佳さんと「新人研修のアップデート」に取り組む共同研究・共同開発に着手しました。新入社員に対するケアはもちろん、ピンチをチャンスにかえて、このさいだから、「ニッポンの新人研修をアップデートする機会」にしたほうがいい。
 そのコンセプト、カリキュラムを発表する会を6月30日にオンラインで開催させていただきます。中原も講演させていただきます。このプログラムは、新人を、中長期の視点にたって、オンラインでサポートし「仕事人・組織人」への「トランジション」を着実に支援することをめざしています。
  
 

  
 2020年6月30日(火)14:00~15:10(リアルZOOM配信)と、2020年6月30日(火) 18:00~19:10(14時の会の録画配信)の2つがございます。無料ですので、どうぞお越しくださいませ。
  
ダイヤモンド社さん セミナー案内(こちらからご応募くださいませ!)
https://jinzai.diamond.ne.jp/seminar/

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