NAKAHARA-LAB.net

2020.3.16 08:02/ Jun

あなたの組織は「面白いこと言わなかったら、怒るからな!」というイノベーション促進策を行っていませんか?

「面白いこと言わなかったら、怒るからな!」
  
 おそらくは、このように他人から脅されて、「面白いこと」を言えるひとはそういないでしょう。
   
「ありきたりのこと言ったら、しばくど、コラ!」
   
 と言われて、「ありきたり」じゃないことを言える人も、あまりいません。
 恐怖におののき、どうしようもないことを言ってしまいがちです。
 おそらく、本当に「ありきたり」で「つまんないこと」を(泣)。
  
  ・
  ・
  ・
    
 結局、背中に包丁をつきつけられるような環境で、相手に新しい発想を生み出させようとするのが、厳しいのです。
  
 むしろ、「面白いこと」や「ありきたりじゃないこと」は、相手に対するプレッシャーをなくし、自然と、自由に発想できる環境を整えなくてはなりません。
 もちろん「クリエィティブであること」に「制約」は必要です。しかし、ひとが安心してクリエィティブであろうとできるのは、「制約」の中から生み出されたものは、いったんは、受け入れられ、承認されることだと僕は思います。
  
 極端な話をいえば、
    
 ひとは、もともとクリエィティブなのです。
(少なくとも子どもの頃は皆そうでしょう・・・一日3歳児とつきあってみてください。その発想のフレキシブルさにびっくりしますよ)
    
 一番重要なのは、もともと「クリエィティブなひと」を「クリエィティブ」ではなくしてしまう環境や働きかけを減らすだと僕は思います。
  
 しかし・・・シャバの世界は、これとは逆です。
  
 我が社に必要なのはイノベーションだ。イノベーション生み出せなければ、我が社には「未来」はない!
  
 とか
  
 イノベーション生み出せなければ、おまえの評価下げるからな!
  
 とかいう「背中に包丁的発想」で、従業員にイノベーションの発想を求める組織は少なくないな、と思います。
  
 要するに
  
 クリエィティブであることを「強制」する
  
 のです。
  
 さすがに後者は、極端すぎて少ないだろうけど。
 皆さんの組織はいかがでしょうか?
  
  ▼
  
 今日は「クリエィティブであること」について考えてみました。「面白いこと言わなかったら、怒るからな!」というひとは少ないけれど、「イノベーション生み出せなければ、オワタ」的な発想で、クリエィティブであることを強制する組織は、少なくないなと僕は思います。
  
 そして、おそらくなんだけど、本当にクリエィティブなひとは、そういう組織には愛想を尽かして出て行くだろうな、と思います。「あほらし」。なぜなら、「強制されたクリエィティブ」は、本当にクリエィティブなひとびとが、もっとも忌み嫌うものだからです。
  
 皆さんの組織は、「面白いこと言わなかったら、怒るからな!」というメッセージを発していませんか?
 
 そして人生はつづく
   
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