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2007.6.3 07:00/ Jun

プロフェッショナルとして「書くこと」

 仕事柄、いろんな人たちの論文を読みます。苦労して苦労して書いて。書いては直し、直しては書き。そのプロセスの辛さは、痛いほどわかります。
 中には「書き終えること」に戸惑っている人に出会うこともあります。「これで本当によいのだろうか」・・・かつて、僕も、それに似た経験がありました。
 —
 でも、ひとつだけ間違いのないことがあります。
 「書き終えたものがよい論文」
 つまり「書き終えないもの」は、どんなに構想がよくても「ダメ」だということです。それは「論文」ではなく、未だ「雑文」です。まずは、どんなに言い足りない部分があっても、「書き終えない」と話にならない。
 プロフェッショナルの仕事には〆切があります。そして〆切は絶対です。いろいろ書き足りないことはあるだろうけど、プロならば〆切までベストをつくして「書き終えるべき」です。
 そして、どんなに不本意でも、書き終えたものには「自分の名前」を刻み込まなくてはなりません。
 中には、自分のクレジットを入れたくないクオリティのものもでてくるかもしれない。いろいろな制約の中で、本来の趣旨とは異なるものもできてしまうかもしれない。
 しかし、どんな制約の中であっても、読む人にはそんなことは関係ありません。「書いたのは、あなた」です。自分の生み出したものには責任をもつのがプロフェッショナルです。
「○○の制約のせいで、こうなった」「僕の名前が入るのは不本意だ」と言わないのがプロフェッショナルだと、僕は思います。
 書くこと、論じることは、かくも辛いことなのです。 

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