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2019.9.12 06:48/ Jun

「仕事における成長」という言葉に秘められた「絶望的なすれ違い」!?

 最近「仕事における成長」という言葉の意味が変わっているのではないだろうか?
   
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 人事や採用の界隈を歩いておりますと、わたしたちは、すぐに「成長」という言葉にぶち当たります。
  
 わたしは、仕事をとおして「成長」したい
 僕は、「成長」できる環境を求めています
  
 うちの会社は、事業とともに「成長」できます
 うちの職場には、「成長」できる職場が多いと思います
  
 という「ものの言い方」をよく耳にします。
  
 こうした「考え方」の是非はさておき・・・最近、とみに感じているのが、この言葉にまつわる「意味のズレ」です。
  
 いわゆる「伝統的大企業の人事担当者」と「若手のビジネスパーソン」では、ここでいう「成長」の意味が、絶望的なまでに「ズレ」ているのではないか、ということを感じてしまいます。
  
 これは、データを取得したアカデミックな議論ではありません。ただ・・・企業を様々に聞き取り調査させていただいて感じた印象です。そのことを前提にお聞きください。
       
  ▼
    
 前者の伝統的大企業の人事担当者の方々にとって「成長」とは
  
「成長」=「うちの会社の、うちの事業での経験とおして、業務能力・スキルを高めて、うちの会社に貢献すること」
 
 をさすことが多いような印象を持ちます。
  
 しかし、同じ「成長」という言葉でも、若手ビジネスパーソンが思っていることは、上記とは異なり、微妙に「ズレ」ているように感じるのです。
  
 若手ビジネスパーソンにとっての「成長」とは
  
「成長」=「会社をとわずして通用する業務能力・スキルを高めて、自分が「意味」が感じられる貢献をなすこと」
  
 ではないかと思います。
  
 問題は、この両社が出会って話したときです。
 要するに「話がかみあいません」
  
 うちの会社は、事業とともに「成長」できますよ
  
 と企業人事担当者がしゃべっているときに思い描いているのは、
  
「今現在、伸びている事業とともに、あなたも能力を高めて、中長期にはうちの会社に貢献してね=貢献可能性を高めたい」
  
 ということです。
  
 一方で、若手が脳裏に思い描いていることは、

「今現在、伸びている事業を用いて、学べるもの は学んでおこう。中長期には、企業を問わず働けるようになりたい=エンプロイアビリティ(雇用されうる能力)を高めたい」
  
 ということです。
  
 おそらく「中長期の話」をしたときに、話が急にかみ合わなくなる。だって人事が「うちの会社で、うちに会社に貢献を」と考えているのに、若手の方は「企業を問わず」と考えているのですから。
  
 合掌。
      
   ▼
   
 今日は、近年、「仕事における成長」というひとつの言葉に、異なる意味が内包されはじめているのではないか、というお話をいたしました。
   
 あなたにとって「仕事における成長」とは何を意味しますか?
 あなたの会社の若手は「成長」をどのように考えていますか?
   
 そして人生はつづく
   
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